アルバム感想(温)

My Favorite Music

「2021年5月ベストアルバムTOP10」感想

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5月のアルバムはランキング選ぶのがウルトラスーパー難しかった、、、泣
2021年5月の大好きな新譜、トップ10の感想をランキングで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10. St. Vincent - "Daddy's Home"

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大人の高級感

 今作のSt. Vincent様は、余裕たっぷりの大人なムードや、それらの高級感が目一杯堪能できるアルバムだと思う。この"高級感"がめちゃ本格的な感じで本当に大好きなのだけど、特に2曲目のDown And Out Downtownとか超最高の曲だと思う。今までずっと培ってきた歌メロとギターメロのよさをフルで使った、ジャズ、R&B・ソウルのとっても濃厚な音楽。ヴィンテージな趣やビターな味わいをすごく大切にしたような曲で、大人の贅沢気分が満喫できるような、上物のワインを嗜むような、そういう"大人素敵"な瞬間を最高に楽しめる。エモーションを高めていくような曲の見せ所も設けてあるし、そのタイミングでシタールのような ほどよくスパイシーな弦楽器の音色を魅せるとか、音楽が本当に絶妙...。そこからDaddy's Home (M3)、Live In The Dream (M4)、The Melting Of The Sun (M5)...という風に、それらの大人の高級感を繰り広げまくって...。こちらのSt. Vincent様の作風もめちゃめちゃいいと思った。今までとはまた違うキャラクターのよさ。ジャケットを見たときは正直従来のイメージと全然外れてて「誰だこれは、、、(゜-゜)」ってなってたけど 笑、さすがは女王様だった。

上品でメロディアスな歌と、男性が求めるそれらの"女性らしさ"に対して中指を立てまくるようなバリバリのロック。St. Vincent様は常に自分らしくあることを忘れずにいて、自由でカッコよくて、これまでずっと皆から愛される女性のヒーローであり続けてたんだと思う。今作Daddy's Homeは70年代の古風なアレンジが特徴的だけど、メロディアスな歌要素とロック要素の二刀流の発揮とかではなく、自分らしさのアピール以上にアーティストとしてのワールドの創造に注力した作品なのかなと思った。ソウルミュージック系のコーラスはもちろん、ファンクチックなギタープレイやブラスバンドの活用など、細部まで徹底した世界観作りの感じ。2017年のMasseducationとかもオリジナリティの高いワールドを持っていたと思うけど、今作は高級感のあるムードがより一定に保たれてる感じがする。最初Daddy's HomeのSt. Vincentのアーティスト写真を見たときは、どんなところを目指してるのか掴めなかったけど、中身を開いてみたら納得のできる内容だった。

本音を言ってしまうとですね、実は本家のジャケット↑よりも、VMPが取り扱ってる別ヴァージョンとかのジャケットの方が好きです、、、笑。こっちのレコードが一番欲しい。どうにか再販してくれないか...泣。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9. Lydia Ainsworth - "Sparkles & Debris"

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エクスペリメンタルでマジカルなインパク

 Lydia Ainsworthのエクスペリメンタルポップ(アートポップ)は、デビュー作のRight from Real (2014)のときから只者ではなかったと思う。エキゾチックな民族音楽系のグルーヴ、現実離れした存在感のめちゃめちゃ神秘的なストリングス、その他これまでに聞いたことのないような実験的なサウンドとメロディー...。Lydia Ainsworthのポップは、それらの強力な数々の魔力を装備した状態のパフォーマンスだということ。言うなれば"めっちゃヤバいAURORA"みたいな 笑。今作Sparkles & Debrisはよりシティポップ・R&B寄りのロマンチックな作風だけど、10曲目のQueen of Darknessがほんとにほんとに素晴らしかった。金属楽器のような響きは宗教音楽のような雰囲気を醸し出しているのに、何かクリスマスソングで用いられる鈴のようなとても素敵な音色も持っているサウンド。Lydia Ainsworthのエクスペリメンタルで魔法的な作家性のセンスが炸裂しまくってる、今作屈指の大名曲だと思う。そんなサウンドのパフォーマンスなわけだから、もう本当にゾクゾクが止まらない。ポップスでこんな音響芸術をできるアーティストは本当に少ないと思う。このQueen of Darknessが1番大好きだった。

Right from Real (2014)はワイルドなのに幻想的で、とても独創的なポップスだったと思う。それ以降はどんどんメインストリームな方向に行ってる中で、今作は「メインストリーム系なのになんかこれヤバくない...?」みたいになる、また新しい境地を見せてくれたと思う 笑。メロドラマのような世界観にエンヤのような超ヘヴンリーなサウンドスケープをミックスさせたようなParade (M1)とかそう。ものすごくロマンチックで素敵なのに間違いはないのだけど、馴染みがあるようで全然聴いたことのないような、異色な雰囲気のあるポップスの感じ。この不思議な味わい、Lydia Ainsworthだからこそのエクスペリメンタルでマジカルなインパクトのポップって最高だと思う。料理で例えるなら、口に入れたときめちゃめちゃ美味しい~!ってなるのに、何のカテゴリーの料理かは分からない!って感じ 笑。バリバリにポピュラーソングな曲調に高潔なハープのサウンドを入れるForever (M2)とかもそう。Right from Realかそれ以上に大好きなアルバムだった。

今作はジャケットもかなり好きだった。アーティスティックなオブジェクト散りばめるというカッコよさ。遊び心も溢れていて楽しい。さすが魔法性の高いアーティスト、ジャケットのセンスも素晴らしいと思う。そういう点だとMVもすごくよかった。(てか渋谷来てたんだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8. Colleen - "The Tunnel and the Clearing"

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恐怖と安らぎの信じられないような中間領域

 真っ暗な背景の中に浮かび上がる半円状の光。ザラザラと霞んだサンドアートのようなタッチがあるそのジャケットは、鑑賞者を異次元に誘うような、幻覚をもたらすような、何か心惹き付ける魔法の特性を持っている。それはとても恐ろしく、一方でとても大きな安らぎも感じさせるもの。Colleenのシンセオルガンのアンビエントは、まさしくそういう音楽だと思う。夜空の星をぼーっと眺め、それらに吸い込まれてしまいそうになる錯覚の激しい恐怖と、満天の輝きのこれ以上ないほどの美しさ、それらのどちらも味わうような、とてもとても幻想的な時間。教会音楽のような神聖さ(The Crossing M1)、サイケデリックな瞑想(Revelation (M2), Implosion-Explosion (M3), Hidden in the Current (M7))、シンセオルガンの魅力をとことん突き詰めたような音楽性。今作も大傑作だと思う。魂を解放させるような浮力の発生、願いごとを唱えるようなメロディー、それらがふわっと消えたときの余韻、シンコペーションの反響、もう何もかもが素晴らしい。こういうヘヴンリーな音楽がツボすぎてツボすぎて、、、笑。ヴィオラ・ダ・ガンバのループで奏でるGolden Morning Breaks (2005)とかも超傑作だったと思うけど、エレクトリックなスタンスのこっち系も間違いなしなよさ。妖精と踊るようなGazing at Taurus - Santa Eulalia (M5), Gazing at Taurus - Night Sky Rumba (M6)なんかもすごくよかった。

今作で私的に1番やばいのがタイトルトラックのThe Tunnel and the Clearing (M4)。今作が象徴するようなジャケットの恐怖と安らぎ、それら2つのフィーリングの中間領域を実現したような曲だと思う。もうありえないくらい素晴らしい。人間が到底理解できないような、とにかくものすごくディープなものを与えてくれる。シンセオルガンのサウンドをオクターブ上げて、その存在をさらに強調するところで、もう死にそうになるくらい心奪われた。恐怖と安らぎの中間、そういう概念って音楽化してイメージできるレベルまで完成させられんだって本当に驚いた。今作で私が1番好きなシンセオルガンのサウンド。実際Colleenもめちゃ本気出してる気がする 笑。ジャケットのアート、サウンドメイキング、一種のヒーリングミュージックとしてもトップクラスの品質だと思う。

実は私のLINEのアイコンはColleenのGolden Morning Breaksです 笑。もう4年くらい前からずっとそう。天使、ユニコーン、それらのholyな要素、宗教的な世界観、スピリチュアルなテーマ性、感情、そして祈り...。私がこの世で1番好きなジャケット。(今作のジャケットもめちゃんこハイパー大好き)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7. Bachelor - "Doomin' Sun"

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深みのあるメランコリー+色鮮やかなノスタルジー

 ほっこりハピネスが摂取できる平和的なシューゲイザー・ドリームポップのやつ。Jay Somの光属性・センシティブさ、Palehoundの熱すぎないクールな温度感、それらのミラクルな作家性。すごく最高なコラボアルバムだと思う。Back of My Hand (M1)、Sand Angel (M2)、Stay in the Car (M3)の3曲とか本当に心に響きまくる。深みのあるブルーな感情のメランコリーと、色鮮やかで暖かい感情のノスタルジーを融合させるような、尋常じゃないくらいエモーショナルなことをしてる曲。まさか二人がここまで最強のよさを生み出すとは思ってなかった...笑。それは例えるなら、ひんやりと冷たいのに心温まるような、寂しいのに満たされるような、私にとって特別でかけがえのないフィーリングスを再現する曲。リラクゼーションが深くて、ものすごく素敵で、私がウルトラハイパー大好きなやつ。Palehoundならではのグルーミーでダークな曲調に、Jay SomのEverybody Works (2017)みたいな鮮やかな色のギターを使ってる感じが本当に美しい。頑張りすぎず落ち着きすぎずでとてもちょうどいいテンション感を維持してるし、リピート性の高い仕上がりなのもよかった。

6曲目のAnything at Allみたいなトーンの明るい曲もすごくいい。ほどよくポップで可愛いらしい雰囲気の中で、ゴージャスな轟音ギターの花を思い切り咲かせるような演出。メランコリックでノスタルジックなエモーショナルさだけでなく、高品質なシューゲイザーとしてのよさも兼ね備えてるということ。こういうノイジーなギタープレイもめちゃめちゃ好き。(もちろんStay in the Carも。)Jay Somの前作Anak Koでも、ギターでよく遊ぶおもしろさがあったと思うけど、ほっこりハピネスの曲調の中でのシューゲイザーとか、今作Palehoundとのコラボでもこれまたエモいギターが聞けたと思う。去年のRoutine (Chastity BeltのAnnie Truscottとのコラボ)も超最高だったし、これからももっともっと私のツボに刺さるロックをやってほしい 笑

私的には、今作は秋に聴きたいなってめっちゃ思った。1曲目から3曲目までのリードトラックとか、7曲目のMoonとか、秋の空気とすごくマッチしてる思う。また、どことなく90年代のYo La Tengoのインディーロックを聴いてるときのような、懐かしいときめきとかもそう。個人的にもともとPalehoundが秋のイメージを持ってるというのもあるけど。そういう意味で今作は聴きすぎず、秋までにとって置くのもありかもって思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6. Iceage - "Seek Shelter"

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ナイフで切りつけるのではなく、花束を贈るように

 世界に何かを訴えようとするロックンロールの革命。殺意すら感じさせるような怒りを放出したNew Brigade (2011)の頃からIceageは私達を奮い立たせ、胸が高鳴るような喜びを届けてくれたと思う。今作Seek Shelterは、そんな敵意剝き出しの頃とは全然違う、祝福や賛美を込めたような輝かしさと華やかさのあるタイプの作風。1曲目Shelter Songを聴いたとき、思わず「うわぁ、、、泣」ってなった 笑。近寄ってくる人全員にナイフで切りつけるのではなく、花束を渡すような、手を差し伸べるような、リスナーを心温まるフィーリングで満たしまくるようなロックンロール。復讐のようにして反乱を起こすような革命ではなく、誰かを愛するような、そういうもののために起こす革命。ゴスペルの聖歌隊を用意して、従来のIceageの攻撃力に希望とか勝利とかのテーマを寄与させるのが本当に素敵で素晴らしいと思う。もともとPlowing Into The Field Of Love (2014)や、Beyondless (2017)の頃からクラシカルなアメリカンロック、ブルース、モダンロックのスタイルを持ってたと思うけど、特にこのShelter Songのゴスペルの聖歌隊はこれもまた最高のアレンジだなって。ちゃんとIceageなのに、今までのIceageとは思えないくらいの大人の成長がある感じ。New Brigade (2011)から始まって今作Seek Shelter (2021)まで、覚醒に覚醒を重ねるように傑作アルバムを連続アップデートしてるのがすごすぎる、、、。ますますフロントマンEliasの大ファンになったし、Iceageというバンドがもっと大好きになった。

Shelter Song (M1)と並んで、ラストのThe Holding Hand (M9)もめちゃめちゃ名曲だと思う。こちらも輝かしさと華やかさを持ってる作風だけど、Iceageならではの灼熱のロックが繰り広げられてる。相変わらずハチャメチャにカッコいいし、今作がこれまでのIceageのアルバムとは違う方向性を持ってる分、彼らのロックの熱さがまた特別に影響するようなところも最高にグッとくる。ロックを鳴らすための理由は様々だと思うけど、やっぱりこうやって愛とか勝利とかのために革命を起こすようなロックンロールって格別だなと思う。ほんと、Iceageのことがもっと大好きになった。

他にも、5曲目のDrink Rainとかも最高だった。こちらはカフェで流れるようなほっこり系のジャズソングの感じ。意外性があってすごく目立つ印象があるけど、こういうビターでマイルドな曲もすごくIceageに似合ってて素晴らしい。雰囲気の作り方というか、バランスというか、アルバムの中でもいいポジションにある曲だと思う。アクモンのTranquility Base Hotel & Casino (2018)を思い出す...笑(あれ好きなんだよねー)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5. Sons of Raphael - "Full-Throated Messianic Homage"

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ドラマチックでグッときまくる

 コスミックなシンセサウンドが特徴的なスペースオペラのようなワールド、宗教や神話、それに関連する革命の英雄をモチーフにしたような勇敢で力強さのある曲想、それらの映画音楽的迫力、そしてたまらなくソウルフルな歌...。世界観もメロディーも本当に最強すぎてる...!泣。ジャンル的に言えばクラシカルなサイケポップだと思うのだけど、スケールが大きくて、ドラマチックで、最高にグッときまくるアルバムだと思う。各楽曲に必ずソウルフルなパートが用意されてる感じだけど、レトロチックなラブソングのようなロマンチックさ(On Dreams That Are Sent by God (M4))とかも抜群だし、オーケストレーションで感動をレベルアップさせまくるスキル(Let's All Get Dead Together (M9))とかも半端なくて...。まるでMercury Revのようなスウィートな夢の世界のひと時を提供してくれる。サウンドスケープも最高だけど、特にSons of Raphaelの今作は転調的な感情豊かな旋律を作るのが本当に見事だなと思う。特にLet's All Get Dead Togetherのメロディーはあまりにも素敵で美しくて心奪われまくってた。ほんと、マジでメロディーがヤバすぎる。

Sons of Raphaelの今作で私がもう完璧なまでに大好きになった曲は、なんと言っても1曲目のRevolution。全体的にサイケポップな今作の中でも1番ロックしてる曲だと思うだけど、この曲は最高すぎてどうかしてると思う、、、笑。スペースオペラ的ワールドのドラマチックさ、ソウルフルなメロディー、それらSons of Raphaelの素晴らしさをパワフルなロックンロールでさらに高めるような感じ。そういうパワフルなロックのスケールアップで、何か勇敢な姿を感じさせるようなカッコよさすらも発生させてる。この演出が本当にヤバい。。。笑。MVの世界観でも表現されてるように、"Sons of Raphael"ってバンド名とか、スペースオペラ的サイケポップのクラシカルな作風とか、作品が持ってる各要素が本当にぴったりハマってて、総合的に見るとなおさら魅力が光ってると思う。ライブのバージョンもめちゃ最高。この曲は紛れもなく今年のベストソングだった。

Sons of Raphaelのメロディーは本当にヤバかった。なんだかついつい口ずさみたくなるようなキャッチーなフレーズ。それでいうとSiren Music (M3)とかYeah Yeah Yeah (M6)なんかは、どことなくカラオケ感があったかも 笑。MVもすごくよかった。(Revolutionが1番好き)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4. Current Joys - "Voyager"

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素敵なものに一生懸命になる人

 Current Joysの今作は、情熱的で美しい冒険の物語で、純粋で真っ直ぐなラブソングで、それらの溢れる想いを詰め込んだ人間味の結晶なのだと思う。クラシカルなアメリカンロック系の力強いハート、正統派バラードのロマンス、そしてネオアコ系のたまらなく開放的で心地よいフィーリング...。Current Joysはきっと、情の厚いロマンチストで、素敵なものに一生懸命になる人で、純粋な人間性を目指した孤高のアーティストなのだろうなと思った。彼の曲を聴くと、まるで心に火が灯るように、自分の中で愛おしいエモのエネルギーが生まれていくをいっぱい感じる。こんなにも最高なのに、それが捨て曲なしのリードトラックだらけのアルバムとして出来上がってて本当に名盤だと思う。熱いビートにとっても華やかなピアノとストリングスをいっぱい広げていくDancer in the Dark (M1)から今作の最高さを決定づけてるけど、そこからのAmerican Honey (M2)とNaked (M3)のダブル傑作ソングコンボとか本当にヤバかった。American Honeyは海辺を1人歩く今作のジャケットのイメージに本当にぴったりな曲。しんみり系のとても切ない雰囲気を持っていて、Current Joysの歌声は今にも泣いてしまいそうな悲しい表情をしてるのに、音楽は夕日のように大きく、優しく、そして暖かくリスナーを抱きしめてくれる。なんというエモーショナルさ。切なさよりも暖かさの方が上回ってて、センチメンタルのダメージを負うことなく何度でも聴けるバランスなのが本当にいい。そこから次のNakedでは、しんみり系とは対極的な激アツのロックを爆裂してる。The War On DrugsのRed Eyesとかと同じ、胸がはちきれそうなほど情熱を込めまくってる曲。何かと激しく闘ってるみたいに、ドラムも歌も凄まじいほど熱量が高いのに、それらのエネルギーが爽快感や気持ちよさとして変換されてる。音楽の熱量が高すぎるから、そのエネルギー変換がめちゃめちゃダイナミックになってて本当にヤバい。あまりにも大好きすぎて泣いちゃう。この曲で、Current Joysが今作で描いてる情景・感情がいかに素敵なものかがよく分かる曲だと思う。バラードとロック、このAmerican HoneyとNakedだけでもうめちゃめちゃベストアルバムだった。

他にも、めちゃカッコいいギターロックのBreaking the Waves (M5)、Arcade Fireみたいなキャラに変身してるRebecca (M8)、ポストパンク感がツボに刺さるMoney Making Machine (M11)、そしてCurrent Joysらしい孤高の冒険ソングのVagabond (M15)などなど、本当に名曲ばかり。そんな中でも、タイトルトラックのVoyager (M12, M16)もとても強かったと思う。インストゥルメンタルのPt 1では、シンガーソングライターっぽい作風とはかけ離れたような、映画のサウンドトラック的印象を持ってる曲。クラシックなテイストで固めたシリアス調の曲だけど、この曲の美しさも段違いに素晴らしい。シンガーソングライターとしてのコンパクトな曲ではなく、もっとアルバムに大きな物語を付加させるように機能してる曲。バラードやロック、それ以上の才能も素晴らしい。

今作はSecret Canadianのメールで知ったアルバム。Stella Donnellyでお馴染みのレーベルだけど、6月はいよいよFaye Websterなんですよね、、、!!(楽しみすぎてヤバい)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. Squid - "Bright Green Field"

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友達になれそうな親しみと、関わりたくない狂人のような危なさ 笑

 Squidのポストパンクには、リスナーの調子を破壊しまくる最高の楽しさがあると思う 笑。安定と不安定が混同したような不思議さとクレイジーさ。楽しいのか怒ってるのかを全然教えてくれなかったり(G.S.K. (M2))、油断してるところにいきなりヒステリックに暴走を起こし始めたり、陽気でハッピーなんだけど、メランコリーに沈んだ美しいナンバー(2010 (M7))とかもあって...。ギターの演奏スタイルも、単音を器用に並べるような丁寧なのもあれば、ブラッシングとかのBattlesチックな実験的なのもある感じ。それは、ボロボロな状態で何かと激しく葛藤するCrack Cloudのポストパンクのキャラとも違う、マスロックのように複雑なアンサンブルのテクニカルさで威力を発揮するblack midiのポストパンクのキャラとも違う、もっと友達になれそうな親しみと、関わりたくない狂人みたいな危さのどちらも持ち合わせてるようなキャラ 笑。このキャラもめちゃめちゃ最高だと思う!ハッピーすぎずヤバすぎずのバランスで本当にすごくユニーク。Narrator (M3)とかもう別格で言わずもがなの傑作ソングだと思うけど、私的にはG.S.K (M2)、Paddling (M5)、Pamphlets (M11)あたりがすごくお気に入り。特にG.S.K.のギターリフとかほんとに素晴らしいと思う。バウンドのニュアンスがある特殊なグルーヴ、とても変な形状をしたメロディーで、快感やスリルというだけでなく、リスナーに対する魅惑や催眠性の効果も含んでる感じ。とっても不思議でとってもクレイジー。ここで私はもう完全に調子が狂って「あぁもうSquid大好き...!!泣」ってなった 笑。この曲のギターリフ一つだけでも、Squidのキャラクターがいかに最高なのかがよく表れてると思う。

Pamphlets (M11)とかもやっぱり超素晴らしい。ドライブの強いストレートなロックだけど、Cloud NothingsのWasted Daysの間奏とか、DeerhunterのNothing Ever Happenedのラストとか、ノイズやエフェクトの実験的なサウンドで無限に遊べるパートが用意されてるような曲。こういうパートっていつまでも聞けるし、多様な感情を引き出しSquidの不思議さとクレイジーさを発揮しながらめっちゃロックしてる感じが本当にいいなって思う。ライブがかなり最高なご様子だからやっぱり観たい。(スパソニの無念よ、、、)

今作は『Bright Green Feild』という緑が特徴的なジャケットの作品だったけど、音楽のワールドに対する想像の余地とか、Narrator (M3)のMVで表れてるようなアート的観点もすごくよかったと思う。単純にバンドのアンサンブルのよさというだけでなく、全体がコンセプトを持ったアルバムとして完成されているということ。気持ちいい緑に見えて、どこか心が引っかかるようなミステリアスさとか、少し不気味な雰囲気とか。Narratorの音楽にもあったけど、何か違和感を与える空白を持ってる感じにもすごく惹かれてた。(というかNarratorのMVめちゃめちゃ好き。)Black Country, New Road、Iceage、black midi...。ポストパンクのブレイクがすごい現代のロックシーン、どれもめちゃめちゃ大好きだけど、Squidもかなりのお気に入り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. Theo Alexander - "Sunbathing Through A Glass Screen"

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もっともっと凄まじい幸福に満ちたもの

 それは、和音の豊かな響きに包まれるピアノの二重奏。そしてそれは、精霊を召喚するような鍵盤楽器と低弦のアンサンブル。この世のものとは思えないような、聖なる輝きと透明感。川のせせらぎのように、天から降り注ぐ恵みのように、私を癒し、命を与える音色。Theo Alexanderの今作が私にとって嬉しくてたまらないのは、自分が考えてるよりもずっと、世界は神秘的であるのだということを私に思い知らせるから。自分の理解の範疇を超えるほど、この世界は圧倒的に美しいのだということを私に教えてくれるから。私はこういう音楽に本当に弱くて、やっぱり呼吸ができなくなるくらい泣いてしまった。聖なるメロディーが私に非現実的で魔法的なものをハッキリと信じさせ、私を目覚めさせるように、生きていることの実感を叩きつけるように、私と世界の全てについて祝福してくれるような感覚。まるで、「この世界は何もかもが素晴らしいんだよ」と伝えるように。音楽による感情の体験は、それをリアルに叶えることができる。それこそ、私が芸術の中で1番音楽が好きである理由。ピアノのサウンドで一貫して音楽の世界が作られている本格的なクラシックではあるけれど、非常にシンプルで、力強く、崇高で威厳に満ちた風格すら感じさせる作品だった。

Introduction To Sunbathing (M1)から、もう尋常じゃないほど感動する。それはなんといっても、ピアノのサウンドが所持している光の性質を最大に引き出しているというところ。和音に和音を重ねるような重奏のアレンジで、リスナーを包み込むようにしてその光の音をいっぱいにしてる。そのSunbathing(日光浴)は、単なるバカンスのような ほのぼのとした雰囲気の日向ぼっこなんかでは全然なく、人生で最も幸せな瞬間を想像するような、生きる希望を見出すような、もっともっと凄まじい幸福に満ちたもの。「光とは、こんなにも美しいものだったんだ」と思った。私はこの曲で、生きてる限り自分はずっと幸せなんだということをイメージした。ピアノの光に含まれる何か願いのようなものを受け取って、自分の人生のことを心から愛おしく思った。アルバムのイントロなのに、この1曲だけでもう目ん玉がギタギタになるほど泣いてしまう。ピアノの二重奏が、シンセオルガンが、ここまで強度の高い幸せの光を生み出せるなんて。ピアノって本当に素晴らしい。Theo Alexanderって本当に素晴らしい。

ただでさえ1曲目でもう感動レベルがやばいのに、2曲目のBright-Eyed Hunger (M2)もそれ以上くらいヤバくてもう死ぬかと思った。日光浴らしい1曲目とは雰囲気がガラリと変わった世界。記号のようなメロディーを規則的に並べて描く、幾何学模様のようなアート。そこにチェロとコントラバスの怒りのような低音を作用させて、そのアートはもっと巨大な建造物のような発展を見せていく。本当に、本当にヤバすぎる。その音楽を聴いた私は、究極的な神々しさと、限界を超えるような美しさを目の当たりにして、自分が持っているマインドがぶち壊されるような、とてつもない衝撃的な感動を味わった。想像上で例えるなら、初めて天国や宇宙の世界を目にするときのような体験。7分の曲だけど、現実世界を生きてることが思い出せなくなるくらいの幻想への没頭がある。もうめちゃめちゃぶっ飛ばされた。芸術とは、人間のクリエイティビティとは、こんなにも尊いものなのかと思いながら、やっぱり泣いてしまった。色々なサウンドを使用するのではなく、鍵盤楽器の歌だけで描くという神秘性の高め方が本当に強い。自分はオルタネイティブロックの洋楽が1番好きなのだけど、本格的なクラシックタイプの作品にもこんなにハマるとは思わなかった。自分でも意外でびっくりする。同じ系統で6曲目のAccidental Enlightenmentとかも、頭おかしいくらい素晴らしかった。

"ガラス越しの日光浴(Sunbathing Through A Glass Screen)"と題されたアルバムだけど、日光浴に対するピアノの色々な感情を堪能すること、そのワールドや物語に対する想像を膨らませること、シンプルながらとても中身の濃い素敵な作品だったと思う。特にピアノの二重奏は本当に格別。自分はピアノ全く弾けないのだけど、ラフマニノフの二重奏とかは大好きで、オーケストラをやってた大学生時代にはよく聴いてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. black midi - "Cavalcade"

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この音楽に呪われたい。。。

 私を支配する、black midiの巨大な帝国。マスロック、ジャズ、プログレなどを足し合わせたような圧倒的なアンサンブルの存在が、まるで暗黒世界の覇者のように君臨している。私がどうあがいても太刀打ちできないような、絶対的な威力を持ったダークネス。あぁもうカッコよすぎる、、、、泣泣。このblack midiの音楽の虜になりたい。この音楽に呪われたい。音量を爆音にして聴きたくなるような激ヤバの興奮に、体中がこれでもかというほど熱くなる。John L (M1)では地震を発生させるような衝撃的な怒りを放ち、Chondromalacia Patella (M3)の後半では殺意をむき出しにして猛スピードで襲い掛かって来たり...。それは、ただ苦しみを抑えきれず発狂して暴れまわるような幼稚なものではなく、抱えてる闇がもっと高度な発達を遂げたような、芸術性のある奇抜さと異様さがある。不協和音のグロテスクな低音の破壊的な迫力も、メタリックな弦楽器の出血を連想させるようなダメージも、過激な表現を技術力のあるアンサンブルとして丁寧にアートに落とし込んで、負の感情を最高に魅力的に見せるように完成させてる。この神のようなスマートさ、、、リアリティの高い怒りと闇を120%発揮するためのアンサンブル力、、、!!もう大好きが限界突破を起こしそうになるくらい好き。Slow (M4)の時点で、大好きすぎるあまり感極まって号泣しそうになってた。私が今作で1番好きな、絶対的な威力のダークネス。純粋なアンサンブルにblack midiの闇の感情を込めまくって、まるで魔物を創造するような気迫を生み出してる。緊張感を煽る特殊なリズムパターン、内なる怒りと闇を全て解放するような聖なるメロディー、それらを休むことなくリスナーに与え続けるとってもスリリングなストーリー性、そしてその果てしないスケール感...。音楽を通じて、まるで化け物に成り果てた人間が神のような姿を見せるような、恐ろしさが芸術の領域に達したときの並外れた素晴らしさを感じさせる。もう本当に凄まじすぎてヤバすぎて、中毒性が半端なくて、身体が言うことを聞かなくなるくらい爆音でずっとリピートしたくなった。何度でも聴きたくなるほどのよさ。長調から短調に無理やり切り替えるような気持ち悪さのテクニックとか、身体が追い付かず吐き気を催しそうになるところもあるのだけど、そういう気持ち悪さからもblack midiの強烈な怒りと闇のリアリティが伝わってくる。本当に素晴らしい。それらのblack midiの絶対的な威力を表現するMVも傑作すぎて、、、笑。特にこの2Dアニメーションのマスコット、本当にめちゃめちゃユニークで、もうここまでくるとblack midiのセンス狂ってるな、、!って思う 笑。ほんと、ヘビロテが止まらない曲だった。

私が今作で何よりも惹かれるのは、暗黒世界の覇者のように君臨しているblack midiの強大なヴィランに、この物語の主人公は絶対に敵わない、というようなことを思わせるところ。例えばラスボスと戦うバトル漫画で、主人公が必殺技を使って勝利するとか、そういうのももちろん最高だと思うのだけど、black midiの今作の場合は、そういう必殺技を使っても到底勝てないような、圧倒的な絶望を与える敵として描かれてる感じがする。そのくらい、black midiが築く帝国が恐ろしい存在であることを想像させるアンサンブル。いかなるものでも抵抗できないような、絶対的な権力、そしてそこに含まれている、作品の造り手側の"反抗心"。私は「この世で一番ロックなものは何だと思う?」と聞かれたら、多分Battlesって即答するけど 笑、ダークサイドを進化させた化け物じみたblack midiもまた、この世で一番ロックなものと捉えられるかもしれない。それほどのパワーが込められた、もっとリアルな激しい怒りと闇のロック。もう世界一カッコいい。。。笑。特にやっぱりSlowのMVの世界観が刺さりまくってた。

今作は全曲通して素晴らしい。メロメロなバラードや、ビタースウィートでムーディーなジャズ要素、それらの幻覚的なユートピア。過激さと穏やかさの緩急があって、アルバムがよりドラマチックな仕上がりになっていたと思う。激しい系だとDethroned (M6)とかもかなり好き。後半パートのグルーヴが超カッコいいし、連符のギターサウンドとか、ドライブするベース、その他全部最高すぎてずっとニヤニヤしちゃう。アルバムがほんとに充実してる。何度聴いても新しい発見ができるところもポイントが高かった。black midiが新譜をリリースするってこんなにも嬉しいんだね。もうblack midi毎週新曲出してほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

プレイリスト

Apple Music

温の「2021年5月ベストアルバム(温)」をApple Musicで

 

Sportify

open.spotify.com

 

その他よかったもの

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Avec Sans - "Succession"

Body Meπa - "The Work Is Slow" 

Erika de Casier - "Sensational" 

India Jordan - "Watch Out! - EP"

Juliana Hatfield - "Blood"

Lucinda Chura - "Antidotes 2 - EP"

N0V3L - "Non Fiction"

Pinky - "Tomorrow's Where I'm At - EP"

 

 

 

「2021年4月ベストアルバムTOP10」感想

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今月はこの時期特有の春フィルターがかかって、春めいた作品はもれなくよさが最強になってた 笑。あとEPの作品達がめちゃめちゃよかった。

今月のスーパー最高なアルバム(EPも)のTOP10の感想をランキングで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10. SPIRIT OF THE BEEHIVE - "ENTERTAINMENT, DEATH"

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こんな現代社会でも最高に幸せになれる

 原形をとどめなくらいまでボロボロになってるローファイ・ノイズロック、そしてとても激しいサイケデリックのロックの感じ。アコースティック、エレクトロニック、ストリングス、サンプリング...、無秩序でバラバラに壊れてるサウンドが常に耳の中を埋め尽くすようなその感覚は、広告で溢れた都市の中を徘徊するような、鳴りやまない自動車や電車の騒音のストレスを感じるような、とても息苦しい感覚のものがあると思う。それなのに、どうしてこんなに心地よいのだろう。そしてどうしてこんなに美しいのだろう、、、。私はこの音楽で現実と空想の狭間に迷い込むように狂っていき、脳みその機能がシャットダウンするような、とても強烈な現実逃避の瞬間を味わっていく。ものすごくスリリングで、ものすごくエクスタティックで、そしてハチャメチャにエモーショナル。本当に素晴らしいと思う。現実味の強いドラッグの体験みたいに、気持ち悪さと気持ちよさの両方が完璧に再現されてる感じがすごく最高。1曲目のENTERTAINMENTから、それらの強烈なドラッグ的音楽を展開しまくる。音が歪んだ爆音の破壊的な演出に、小鳥のさえずりのサンプリングがもたらす豊かな情景描写、ワールドとワールドが激しくぶつかり合うような、ものすごく刺激的なサイケデリア。そんな強烈な世界の中で、甘美なフィーリングの歌を咲かせて、エクスタシーを上乗せさせるように感情と感情の相乗を発生させる...。この1曲目だけで、今作が本当に最高の傑作なんだと思い知らされた。目眩がするようにクラクラなりながら、ものすごく癒される。去年のPet Shimmersの諸作品みたいに、音を粉々にクラッシュしたようなローファイの切ない感情を引き立てたりとか、そういうのってたまらなく好きだなと思う。今作2曲目から3曲目の流れとかも、地獄からユートピアまでレンジの広いワールドの揺さぶりがあって本当にびっくりした。

アルバムを通して作風を一定に保ってる感じだけど、10曲目のI SUCK THE DEVIL’S COCKとかよく印象に残る。こちらはポストパンクみたいなドラムのかわいいトコトコビートがある感じの曲。こういうスタイルも持ってるんだ...!って思った。Puma BlueやUnknown Mortal Orchestraのようなローファイ・ノイズロックとしてよさだけでなく、バンドのスタイル的な点でもツボに刺さるポイントを持ってるということ。前作もすごく好きだったけど、今作のこの曲でより一層SPIRIT OF THE BEEHIVEに対する好感・信頼が強くなった気がする 笑。

テクノロジーの発達、情報社会の発達、現代社会はとても窮屈で、いつも心が休まらない。今日も明日もとにかく時間に追われながらひーひー言って過ごしてる。SPIRIT OF THE BEEHIVEの今作は、そんな心に余裕が持てない現代社会の姿によくフィットしてたと思う。ごみごみとした社会の中で息苦しさを感じながら、それでもエクスタシーを味わっていくようなこの感じ。気持ち悪さすらも残るとてもリアルなドラッグ的体験。そんな音楽だからこそ、絶対無敵の最高な現実逃避が楽しめたんだと思う。そして私は、こんな現代社会でも最高に幸せになれるんだと分かった。SPIRIT OF THE BEEHIVEめちゃ大好きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9. Cory Hanson - "Pale Horse Rider"

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私が思うノマドランド的ビジョンに一番近い感覚の歌

 夕方~夜に差し掛かるギリギリ寸前の時間を切り取ったようなWaxahatcheeのSaint Cloud (2020)のジャケット空間とか、最近で言うとノマドランドで全面に表れてるようなアウトドア・キャンプのビジョンとか、そういう時間・空間のことがとてもとても大好き。Cory Hansonの今作は、それらと同じ質の時間と空間の景色を何個も所持してるようなカントリー・フォークで、最高の風情がある作品だと思う。オルタネイティブ、アコースティック、バロックポップ...、どの曲も深く心に刺さるのだけど、曲ごとで様々なセンスを持ってる感じが本当に素晴らしい。穏やかな曲調の中で感情の揺らぎを増幅させていくようなエモ密度(Angeles (M2))、クラシックじゃなくて民謡系のバイオリンの人懐っこいキャラ(Pale Horse Rider (M3))、そしてビタースウィートでメランコリックな美しさ(Bird of Paradise (M5))、さらにはギターアルペジオで奏でる子守歌のような愛おしさ(Vegas Knights (M7))なども...。アンビエントの間奏トラック含め、1曲目から10曲目まで全部全部最高...。リラクゼーション、味わい深さ、あと9曲目のAnother Story from the Center of the Earthに関してはギターノイズの快感とかも本当にやばくて...。フォーク・カントリーとしてだけでなく、インディーロック的に見ても文句なしに大好きな感じ。ノマドランドのアウトドアのビジョンみたいに美しくてたまらない時間・空間をイメージしながら、思いを巡らせるようにCory Hansonの歌をしみじみ聴いて、幸福度を果てしなく高めていく...。過ごしやすいこの季節には尚更刺さる仕様。めちゃめちゃよかった。

今作はどの曲も歌のメロディーがほんとに最高だなと思うけど、その中でもラストPigs (M10)とかウルトラハイパーに大好き。声のトーンがリスナーに一番沁みるように調整されてるような音域のボーカル。そのメロディーをこの上ないくらい綺麗にしっとり歌い上げるのだけど、心に刺さりすぎて思わず泣いてしまいそうになる。自分がイメージするノマドランド的ビジョンに一番近い感覚の歌、とてもとても繊細な歌。この手のフォークのバラードはもう本当にたまらないなって思った。

Cory Hansonツイッターでおすすめされてなかったスルーしてたかもしれない。実際じっくり聴いてみたらとてもハマる作品だった...!Wandにも寄り道したくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8. Remember Sports - "Like a Stone"

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ガツガツハングリー & ほのぼのまったり

 パンキッシュなパワーポップCharly Bliss、多幸感に包まれるようなノイズロックのSwearin'、ロックンロールの反抗心は、ときにリスナーの元気をフルチャージするようにポジティブなモチベーションをくれると思う。Rember Sportsもその手のパワーポップ・ノイズロックの音楽であり、ハジける元気と強力なハピネスを提供してくれるアーティストであり、私の最高にお気に入りなバンドなのである...笑。パンチの効いたサウンドで勢いよくリスナーのテンションを上げてくるPinky Ring (M1)、綺麗な揺らめきのサウンドから唐突に地響きみたいなギターも炸裂させちゃうSentimentality (M3)、そして可愛いポップの状態からガツガツにハングリーに攻めのロックにスタイルチェンジをするLike a Stone (M7)...笑。もうめちゃめちゃ楽しくて、元気よくて、ハピネスが最大に表れてる精神状態のやつ。ガレージ・サイケのアプローチで心の余裕を表現した去年のMamalarkyとかもそうなのだけど、こういうハピネス栄養素の多い音楽がマジで大好きで...笑。特にタイトルトラックのLike a Stone (M7)とか、メロディーが駆け抜けていくような爽快感とかもほんとに最高で、とても春に似合ってた。

Rember Sportsの今作がCharly BlissやSwearin'などのパワーポップとひと味違うのは、元気モリモリ系のハピネスだけでなく、ほのぼのまったり系のハピネスも最強だというところ。例えば6曲目のMaterialistic。3拍子の豊かなグルーヴの中でメロメロな気分になるようなバラードのナンバー。攻撃力のあったロックから一転した雰囲気があって、コーラスのハーモニーとか、美しいエモさを引き立てるようなメロディーワークがある。こっちのパートもとってもいい。ロックとバラードどちらも良くてすごく器用だなと思う。極め付きは11曲目のOut Loud。この曲も本当に素晴らしくて...。涼しい温度感のリラックスムードの中で、胸が締め付けられるようなエモさのある歌を添える。とてもロマンチックだと思う。あんなに元気モリモリにパワーポップやってたのに、こっちはまるでYo La TengoのAnd Then Nothing Turned Itself Inside-Out (2000)みたいに落ち着くムード。ほんと、私にとって驚きのよさだった。こっちを聴いてしまうと「バラード路線でも全然勝負できるのでは...?!」と思うくらい。今月のランキング、上位の作品が強すぎなければ、本当は順位4位くらいだったのだよ...(上には上がいた)

Franki Cosmosみたいに可愛いメロディーを持ってたところもよかった。それでいうと今作もとても春に合うアルバムの感じ。今月はそういう春との適合率でアルバムのよさが格段にレベルアップしてる作品多くって、、、、笑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7. Crumb - "Ice Melt"

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恋するミステリアス

 私のハートを掴んで離さない、Crumbのミステリアスな恍惚。それは、マイブラ様が確立したシューゲイザーの恍惚でもない、インパラ様が確立したサイケロックの恍惚でもない、ジャジーでソウルなエッセンスを配合した全く新しいロックの恍惚...。濃厚なムードに包まれたその音楽は、スモーキーで、色気を持っていて、まるで恋するようにとても深い引力を私にもたらす。今作『Ice Melt』は、アルバムのタイトルは美しいものの、ジャケットは不気味でとてもダークなのが特徴的な作品。それらの印象から伝わるように、Crumbの濃厚なミステリアスさが最高に発揮されてるようなめちゃ最高のアルバムだった。1曲目のUp & Downから虜になりまくる。ドリーミーで、ムーディーで、スペーシーで、そしてロマンチックで...。ぽわぽわと浮かぶ怪しげなサウンドたった1つだけで、こんなにも様々な角度からリスナーに大量のフィーリングを与えていく...。もうめちゃめちゃ素晴らしい。この曲を聴いて、Crumbの濃厚でミステリアスなよさがまたアップグレードされてるような気がした。それらのフィーリングを強化するようなグルーヴィーな高揚感とかも本当にやばい。8曲目のBalloonとかも最高...。集中力を高めるような8ビートの静かな興奮、ベースが同じ音を単発でズンズン打つ続けるようにグルーヴ感を出して、音楽をもっとダンサブルに。ドラムが裏打ちビートに変形する中盤パートの盛り上がりとかでもう圧倒されてしまうのだけど、こんな興奮の強いCrumbは今までになかったと思う。前作のJinx (2019)もリードトラックが最強でもちろんよかったけど、ダークなジャケットの重たい雰囲気、それに伴った濃厚なミステリアスの強さ、グルーヴィーな高揚、総合的に考えたら今作の方が好きかもしれない。"Ice Melt"ってタイトルもすごくお気に入りだった。

ミステリアスなものが大好き。例えばGastr Del Solみたいに怖いもの見たさで引き込まれていくようなエクスペリメンタル系の作品とか、その他もろもろ神秘的な存在感を放つアンビエントとか...。Crumbの場合、ジャジーでスモーキーなオーラだからこそ生み出せるような、アダルトで上品なキャラクターとしてのミステリアスを持っているところがやっぱり素晴らしいと思う。それなのに、サウンドがぽわぽわしててすごく可愛らしかったり、ギャップ的にも惹かれる部分があったり。神曲Locketのときからもうどんな曲をリリースしても「あぁCrumbだからどうせ最高なんだろうな」って安心してたのだけど 笑、案の定今作も素晴らしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6. Beach Youth - "Postcard"

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ネオアコとは思えないほど最高にエモーショナルになる瞬間...!

 春の真っ盛りな4月のこの季節に最高のネオアコギターポップが届いた!!!!ドリーミーな成分、和やかな脱力成分を多く含んでる抜群に素敵なやつ。ボーカルがすごくマイルドなキャラクターを持ってるし、トロピカルなサーフロックみもあるからポカポカの快感がすごくハイクオリティ。春-夏のシーズンに超絶ぴったりな作品で、もうベストアルバムのランキングに入らないなんて考えられない...!って思った 笑。王道のジャンルものの作風だから似たような作品はたくさんあるかもしれないけど、それでもBeach Youthの今作のエモーショナルレベルは本当に高かったと思う。冒頭のLove Yourselfからもう完全に持っていかれる。解放感のあるネオアコの質感を保ちつつも、ロックのドライブ要素を少し多めに入れてるアレンジ。ジャケットの青空みたいに最高に気持ちいい曲なのに、エンジンがかかるようにして音楽がどんどん加速して高まっていって、ラストの方になると「私今エモ聴いてる...??」って錯覚するくらいロックさが増していって...。一般的なネオアコギターポップの想像を超えるほど、ずっとずっとエモーショナルになる瞬間。音楽がロックに発展していくのに並行して、歌が泣きメロに変化していく感じが本当にたまらない。7曲目のIn My Chestとかもそういう系のロックだけど、ドラムの熱量高めな感じとか、汗かきながらガムシャラに演奏してるこういう雰囲気って、素敵なものに一生懸命になるみたいでめちゃめちゃ最高だと思う。例えるならDIIVのHow Long Have You Known?のMVの中で演奏してるメンバーの姿とか。気持ちいいものを全力で追い求めるようにして鳴らすロック。実際サブスクの"こちらもオススメ"の枠にDay WaveとかDIIVが出てきたし、"分 か る"って思った 笑。

3曲目のTwo Bedroomsも本当にやばい。こちらはネオアコからロックへの発展というよりは、逆にロックをネオアコ要素に効かせたようなイメージの曲。胸いっぱいになるようにギターのアルペジオを奏でて、ネオアコのドリーミーな味わいをもっと拡張していくような音楽描写。こっちのタイプの曲も最高すぎる。ギターも純粋無垢で可愛らしいポップのキャラを持っててもうツボにグサグサ刺さる...。この2曲目、3曲目のコンビネーションでもう(TT)(TT)ってなってた 笑。マジでめちゃんこ好き。 

お散歩に積極的に出かけたくなるようなこの時期、Beach Youthの今作もお散歩BGMに最適なアルバムだった。ただ、Beach Youthは疾走感も持ってるから、どちらかというとドライブで聴きたい。Love Yourself (M2)やTwo Bedrooms (M3)を聴きながらめちゃめちゃドライブしたい。車を乗り回してた学生時代 in 茨城の頃が懐かしい、、、(しみじみ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5. CFCF - "Memoryland"

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全身全霊で楽しむダンスフロア

 作風的には、ゲーマーの人とかが好きそうなテクノ・エレクトロロックのイメージなのだけど 笑、リスナーをヒートアップさせまくるような激アツのアルバムだと思う!バチバチに火花を散らすようなドラムの最高のパフォーマンスがあるブレイクコア(Life is Perfecto (M2))、そこからもっと凄まじい運動エネルギーを放っていくジャングル(Nostalgic Body (M3))、さらには広大なノイズの海を発生させるようなニューゲイザー(Model Castings (M4))、ブレのないストレートなロック(Punksong (M6))、そして意識が完全にぶっ飛ぶくらい無我夢中でハイになるテクノ(Night/Day/Work/Home (M7))...。70分のアルバムの内、ここまでが前半部分という内容の濃さ、、、笑。後半ではフレンチハウス、UKガレージなど、こちらも中毒性のあるダンストラックが揃ってるし、最高にグッとくるエレクトロニックのバラードでフィナーレを飾るという...(Heaven (M15))。一曲一曲が強い上に、それらが継続して展開されるようなストーリーとしての強さもすごい。作品がボリューミーなワクワクを持っていて、初めて聴いたときからずっと病みつきになってた。毎日通勤時も退勤時も何かに取り憑かれたようにリピートしてた 笑。ほんとにやばい、特に2曲目と7曲目と15曲目がめちゃめちゃやばい。

冒頭のLife is Perfecto (M2)は、ブレイクコアのカッコよさだけでなくギターやドラムのキャラのよさもとてもアピールしたような曲。エッジの利いたギターをクールにキメていきながら、テクニカルなドラミングを思う存分に披露するこの圧倒的なパフォーマンス...。あまりに興奮しすぎて叫び出しそうになってしまうくらい、ほんとにほんとに超カッコいい、、、笑。ドラムのパフォーマンスがめちゃアグレッシブなのに対し、ギターがメランコリック気味にバッキングを演奏し続けてる感じも とてもつもなくカッコいい。そこから後半にかけて、音楽がひんやりとした感触を持つように温度変化を見せていく。これまでエッジを利かせていたギターはもっとスムースに、エレクトロニックのサウンドはもっと潤いのあるニュアンスに。それらのしっとりしたサウンドスケープが、それまでのドラムのアツいパフォーマンスに対して、その興奮の熱を冷ますように影響していくのだけど、この熱反応がもうめちゃめち素晴らしすぎて…泣。序盤から興奮してアツくなりまくって、後半ではそのアツさが冷めていく気持ちよさを味わうというこのダブルの性質。火属性の感情と水属性の感情の魔法的なコントラスト。ほんと、なんて素晴らしいんだろう...。Life Is "Perfecto"というタイトルの曲だけど、私からしたらこの曲こそ本当に"Perfecto"な出来栄えだった 笑。この1曲だけでずっとリピートできてしまう。

そんなLife Is Perfecto (M2)に匹敵するようなよさのNight/Day/Work/Home (M7)もまた超超超名曲。こちらは8分の中でとにかく攻めて攻めて攻めまくるようなテクノ。まるで夜の高速道路をかっ飛ばし続けるようなとびきりのハイパーエネルギー。踊って踊って踊り倒して、アドレナリンをドバドバに出して、全身全霊でそのダンスフロアを楽しむ。私にとってこれがどれほどの喜びか...。相変わらずコロナコロナで毎日ほんっっとうに退屈だけど、それでも私は、誰も介入することができない私だけのとっておきのマイワールドの中で、CFCFの珠玉のダンスフロアを堪能する。私はその場所で、理性をぶっ飛ばすくらいハイになって踊りまくる。本当に幸せ。特に開始5分くらいから始まる16ビート3拍感のアクセントのフレーズのところとかめちゃめちゃ好き。曲の中でカッコいいパートを本当にいくつも持ってて、今作屈指のナンバーだと思った。

.......こんにも最強の曲を持ってるのに、それらすらも超えてしまうような素晴らしさがまだある...!(まだある...!泣泣)。それがラストのHeaven (M15)。最高にアツいエレクトロニカの世界を巡り、興奮して、踊って、ぶっ倒れるまでとことん遊んで楽しんで、最後の最後に辿り着くアルバムの境地。そこには、これまでにはなかったファンタジックな世界があった。それはまるで、アルバムでこれまでに得た数々の思い出に浸りながら、それらとお別れをするような物語のクライマックス。寂しくて切なくて、それでも愛おしいフィーリングで胸いっぱい満たされるような物語のエンディング。思わず泣いてしまった。こんなエンディング用意されてたらもう絶対泣いてしまいます。これまでのアルバムの楽曲で得た喜びのフィーリングが思い出としてエンディング時にドリーミーにフィードバックされて、最高にエモーショナルに完成される。このときにKero Kero BonitoのSarah Bonitaをフィーチャーリングしてるのがマジでセンス最高すぎると思う。Heavenってテーマとか、Goodbyeのリリックとか、細かいところ一つ一つでfeat. Sarah Bonitaの愛おしさがよく発揮されてる感じ。もう半端なく素敵で、完璧で、涙腺が刺激させられまくるほど感動した。このラスト単曲だけでも十分に素晴らしかった。

今月における私のこのアルバムの再生回数は本当にすごかったと思う 笑。とりあえず暇さえあればすかさずCFCFのこのアルバムを再生してた。CFCFは他の音源聴いたことなかったけど、さすがに聴こうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4. Unschooling - "Random Acts of Total Control - EP"

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人間なのを疑うヤバさ

 先々月のBlack Country, New Road、5月に新作を控えたblack midi、規格外で衝撃的なカッコよさを誇る2021年のポストパンクバンドの中で、Unschoolingもそれらに全く劣らないほどカッコいいバンドだと思う...!!もうやばすぎて笑いが止まらないくらい鉄壁のポストパンク 笑。人間味を失ったのごとく機械のようにビートを刻み込んでいく超精密なリズム隊、切れ味抜群のソリッドなギター、それらの ものすごく本格的で最高なサウンドたち。一見するとストレートでフォーマルなスタンスのポストパンクだけど、それらの常識から思い切り外れるようなユーモアさを持ってるのが本当に本当に素晴らしくて...。5曲目のNyeとか、鼻水出るくらい笑いながら泣いちゃった 笑。リスナーの調子を完璧に崩すような緊張感と緩和のスイッチ。まるで何か制御が壊れるようにしてアンサンブルが崩れていくところで、これまでずっと鉄壁だったところに"隙"が現れ始める。この絶妙なニュアンス、とても人間味があって、豊かな感情があって、もうたまらないなって思ってた。......そんな風に油断してたら、私はまんまとキルされてしまった...。鉄壁だったところに隙を見せていたと思ってたら、今度は逆に、人間味や豊かな感情をあえて全力で見せてきたのだ、、、。ここでもう目ん玉がギタギタになった。今までのクールでカッコいいポストパンクが嘘みたいに素敵すぎるサウンド。あれだけ鉄壁のポストパンクを演ってたのに、もう意味分からないくらい愛しくて胸がいっぱいになる音楽に方向性が転換してて、Unschoolingの情緒どうなってるの????って思った 笑。ほんと、人間なのを疑うレベルのヤバさ 笑。本当にめちゃめちゃ感動した。

今作は5曲入りのEPだけど、5曲全部が最高に最高だった。ミニマルの楽しさ、7拍子の変化球、アングラなダークさ、そして不意打ちのメロディアス...。去年のThe Homesick(私の2020年ベストアルバムTOP10)のユーモアとか、Hypoluxoの豊かな感情性とか、よさを大量に持ってる感じ。もしかしたらそれらのバンド以上に好きかもしれない...。ブレイクしないのが不思議なくらい、本当にハイレベルなバンドだと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. Godspeed You! Black Emperor - "G_d's Pee AT STATE'S END!"

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どれだけダメージを負っても、ずっと闘い続ける

 2012年作の'Allelujah! Don't Bend! Ascend!は、私の2010年代のベストアルバム第1位の作品。戦争のように残酷な世界の中で生きる力が残りわずかになり、「死にたい」という気持ちに深く共感するときの、『かろうじて、生きている』をモチーフにしたあのメロディー。「"あなたは、かろうじて、生きている"」。Godspeed You!は、私のことを本気で肯定してくれる。自分に自信が持てなくなるように傷ついて絶望していても、私の悲しみに共感して、私のことを一生懸命応援してくれる。そんなGodspeed You!の作品の中でも、今作G_d's Pee AT STATE'S END!はトップ3に大好きなアルバムだった。物語の中で主人公が力の限り絶望に立ち向かうような6曲目(“GOVERNMENT CAME” (9980.0kHz 3617.1kHz 4521.0 kHz))のところで、心臓が破裂しそうになるほど感動した。悲しみの表現、奮闘の表現、そして痛みの表現...、Godspeed You!の音楽表現は本当に卓越してると思う。生命力を吸い取るようなストリングスの嘆きの感情とか、音楽を巨大なスケールで見せるような低音の演出とか、どれだけダメージを負っても死ぬまでずっと闘い続けるようなギターとか。何もかもが他の音楽には描けないくらいの圧倒的な美しさがある。それらを発動しながら、音楽が泣き叫ぶようにして力を込めていくわけだけど、もう鳥肌がバーストするのを抑えられない。素晴らしさのレベルが尋常じゃないと思う。どれだけ世界が残酷でも、それでも力強く生きることを教えてくれるようなポストロックの轟音シンフォニー。今作においても、自分が生きることを応援してくれるようなテーマを持ってた。やっぱり泣いてしまった。私にとってGodspeed You!の音楽は偉大すぎてる。6曲目が本当に美しかった。

6曲目はそんな風だけど、今作は全体的に言えば前作Luciferian Towers (2017)と同じ冒険感の強い作風だったと思う。大海原を渡るようにして音楽の世界を最高に旅していくようなストーリー。M1, M2, M3のワンセットのパートも素晴らしい。シンフォニックな轟音ならではのロックの鼓動、音の波動がお腹の中まで響くようなとてもヘヴィなアンサンブル。それらの生命力がみなぎるようなエネルギーで、人生を謳歌するように喜びを奏でていく。それの音楽のドラマの中には、希望とか勝利とか、そういうテーマを見出せると思うのだけど、Godspeed You!ってやっぱりこういうの大好きなんだなって思う 笑。広大で、美しくて、そしてすごくすごくカッコいい。私も大好き。いい加減マジで早くライブみたい...。コロナさえなければ、コロナさえなければ、2020年の4月に大阪で観れたのに、、、、、、(行く気満々だったのに)

間奏トラックだけど4曲目も素晴らしかった。すごくショッキングなサウンドのサンプリング、それらの恐ろしい世界観、とてもGodspeed You!らしいセンス。アルバムの中でシリアス感・緊張感を作るとても重要な役割を持っていたと思う。サンプリングはラジオもすごくよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. Skullcrusher - "Storm in Summer - EP"

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奇跡的なヒーリング

 朗らかであったかいカントリーの音楽性に、キラキラのセンチメンタルなポップを適応させると一体どんなことになるのか。それはすなわち、カントリーの自然的な感触の安らぎと、ポップのキラキラしたときめきを融合させるということ。"素敵"と"素敵"の爆発。そして半端ないほど心に沁みる美しさを生み出すような魔法...。もうなんて感動的な音楽なんだろう。。。4曲目のStorm in Summerを聴いたとき、あまりにも好きすぎて白目向いて気絶しそうになった。センチメンタルなメロディーで、あったかいカントリーの世界の中にファンタジーを描いていくような世界観の構築。もうとんでもないほど素晴らしいと思う。心奪われるようなそのファンタジーの中で、バンジョーが本当に大活躍してる。ポロポロと流れるように音粒がかわいく落ちて、鼓膜にしっかりヒットしていくような楽しさ。ただでさえとても美しくてセンチメンタルで胸がこれほど痛いのに、その痛みを和らげてくれるように、慰めてくれるように、バンジョーサウンドが愛情を与えてくれる。まさかバンジョーでこんなに泣くとは思わなかった。バンジョーでここまで励まされるなれるなんて思ってもなかった。サウンドが鼓膜にヒットしていくその感覚を思い出しだけでもう泣いてしまう。センチメンタル要素とカントリー要素、それらがもたらす奇跡的なヒーリング。ノーマルの状態でこんなに刺さるんだから、気持ちがダウン気味のときとかに聴いたりしたらもう絶対やばいことになる。歌詞も大好きだし、"Storm in Summer"って設定も大好き、全てにおいて大好き度が尋常じゃなかった。

去年のセルフタイトルのEPは鮮烈なデビュー作だったと思う。憩いのスポットのような森の中、川のほとりをバックにしたジャケット写真。Phoebe BridgersとSoccer Mommyにも通じるようなインディーズSSWでありながら、自然的なワールド感をよく持ってるアーティストの感じ。今作はそんな彼女の音楽性をハイレベルに極めて、キラキラのセンチメンタル要素(Song for Nick Drake (M2))だけでなく、サウンドの美しさ・浸透レベルとかをめちゃめちゃ高めてたEPだったと思う。3曲目のStepとかも大好きでたまらない。楽器の呼吸まで鮮明に伝わってくるような澄んでいて綺麗なサウンド。本当に心に沁みる曲だから、身体がリセットされるような最高の回復が味わえる。4曲目のStorm in Summer同様、こちらもめちゃめちゃ素晴らしいと思った。この曲1分51秒とか曲が短すぎるんですけど、、、泣。

去年のベストアルバムのところでも言ったけど、やっぱり私はEPよりアルバム派。EPだと作品を鑑賞したとき、サイズ的にお腹いっぱいにならないから。ウルトラスーパーハイパーわがままだけど、今作Storm in Summer -EPは最高の作品だっただけに、アルバムで聴きたかったなって思った...。ほんと、次回はフルレングスのやつ出して下さい...泣。もうほんと、心からウルトラスーパー待ち望んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. Porter Robinson - "Nurture"

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願いを叶える

 芸術がこの世界で何よりも素晴らしいのは、世界を創造できるから。音楽はその中でも、心に対するサウンドの直接的な働きによって、リスナーの中に大規模なスケールの世界を創造することができる。Porter Robinsonの今作がもうありえないくらい素晴らしいのは、アルバムアートワークが象徴する豊かな緑の草地に対して、その世界の創造を行っているところ。澄み渡った空、視界を埋め尽くすほど広がる自然、優しくてたまらない春めいた世界。Porter Robinsonは、メラメラ燃えるような激しいエネルギーのEDMで、リスナーに心の中に爆発を起こすようにして、それらのアートワークの世界を創造してる。信じられないくらい傑作だと思う。目一杯自然が広がるこのアートワークの世界をリスナーに叩きつけるように与えて、もっともっと大規模な空間を生み出して、リスナーをそこへ思いっ切りダイブさせるような体験。Get Your Wish (M3)で身体が壊れそうになるくらい感動した。その春めいた世界にありえないくらい癒されて、嬉しくて、顔面がぐちゃぐちゃになるように泣きまくってしまった。小鳥のさえずりがサンプリングされた安らぎの自然の中で見せる、EDM・エレクトリックシューゲイザーの絶景。自分の中で無意識のうちに溜まっていた緊張や不安が一度に消滅するような、凄まじいインパクトの癒し。私はこのとき、今までずっと求めていたものに手が届くような気持ちになった。ずっと欲しかったものが手に入ったような、何か願いが叶うような、感無量の幸せに包まれた。もう好きすぎて頭がおかしくなりそう。もしかしたら、これまで私の中で何年も積み重ねてきた膨大な数の春の思い出が、アートワークのイメージと感連づけられた数々の喜びの感情が、Porter Robinsonが奏でる一つの音に凝縮されたのかもしれない。だからこそ、たった一つのサウンドで、爆発で、こんなにも壮絶に心打たれたんだと思う。これまでのこってりとしたEDMの印象とは全く違う、水を浴びるように瑞々しくフレッシュな音像の存在が本当に大きいと思う。何度も何度もリピートしても涙が止まらなくなるくらいの感動。もう私一人分の身体では全然足りない。

私が初めてポタロビのことを知ったのは、2014年のGoogleのCM(そこからSad Machineとかに手を出して大学生時代ハマってた)。大体EDMというと、リスナーのテンションを少し無理やり上げるようなジャンルの音楽だと思ってた。(Cash Cashとか私的にちょうどいいテンション感で好き)。そんなEDMシーンの中でも、ポタロビのEDMはセンシティブな感覚を多く持ってて、EDMの莫大なエネルギーを美しいものを描くために100%利用するような作家性を持ってたと思う。今作はEDMとは思えないような自然の世界をコンセプトとして持ってるのがめちゃ特徴的だけど、爆発を起こすように豊かな自然を創造するこのアイディアは、ポタロビならではEDMだったと思う。今作11曲目のSomething Comfortingとかも本当に素晴らしい。こちらもGet Your Wishと同様に巨大な癒しを与えるEDMソング。スピードがすごくてめちゃエネルギッシュだけど、サウンドがとても眩しくて温かい。そしてその中でピアノのアクセントがとてもソフトに響いてる。すごいアプローチだなと思う。「癒しを全力で表現したい」、アーティストの気持ちがこんなにも伝わってくるなんて、やっぱりどう考えても素晴らしい作品だと思う。私はこの音楽のように、アートワークが象徴する自然の世界に思い切りダイブしながら、それらの喜びを精一杯嚙みしめて、この上なく満たされていく。大音量で再生するのが止められない。何度でもリピートしてしまう。"手に入れるともっと欲しくなって。期待するともっと傷付いて。誰か僕を慰めてよ"、歌詞もすごく素晴らしかった。

春って本当に素晴らしい。涼しくてポカポカで最高に気持ちいい気候、命が芽生えたような緑色、それらの癒し、そして安心感。世界が生まれ変わるような瞬間や、新しいものとの出会いを彷彿させるワクワク感なども。ポタロビの今作はたった1枚のアルバムアートワークの中で、私が大好きで大好きなそれらの春を一発で表現してくれた。光が反射したようなこの緑色、鮮明度、すごくすごく的確に春。それらをEDMのエネルギーでめちゃめちゃ激しく描いてくれたわけだから、もうたまったもんじゃない。春めいてるEDM、この季節にこのテーマの作品をリリースしたってだけでもう完璧。Get Your Wish (M3)やSomething Comforting (M11)以外にも、Wind Tempos (M4)、Musician (M5)、Mother (M6)、Mirror (M10)などなど、他の曲もよかった。前に4月23日リリースの新譜の感想のとき、★×20の評価をしてたけど、全然足りなかった。ほんと、ダイブのレベルがすごかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

プレイリスト

Apple Music↓

温の「2021年4月ベストアルバム(温)」をApple Musicで

 

Sportify↓

open.spotify.com

 

 

 

その他・とてもよかったもの

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Babygirl - "Losers Weepers - EP"

Bruno Pernadas - "Private Reasons"

Dry Cleaning - "New Long Leg"

Flock of Dimes - "Head of Roses"

girl in red - "if i could make it go quiet"

Leon Vynehall - "Rare, Forever"

Matt Sweeney & Bonnie 'Prince' Billy - "Superwolves"

PDP III - "Pilled Up on a Couple of Doves (feat. Britton Powell, Lucy Railton & Huerco S)"

People Museum - "I Could Only See Night - EP"

Ryley Walker - "Course In Fable"

Royal Blood - "Typhoons"

Sindy - "HORROR HEAD"

Yellow Ostrich - "Soft"

 

「2021年3月ベストアルバムTOP10」感想

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今月はアバンギャルドな作品、2020年代の新時代を感じさせるようなやつが多かった気がする。可能性を感じてすごくワクワクした。どれも最高で相変わらずランキングの順位迷った、、、

2021年3月のベストアルバムTOP10の感想をランキングで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10. Bernice - "Eau De Bonjourno"

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ぶっ飛んでるくらいマジカルなサウンド

 自由なアプローチで音楽の"素敵"をとことん追求したようなエクスペリメンタルポップのやつ。音楽の土台はHiatus KaiyoteMoonchildのような高級感のある大人びたネオソウル・ジャズだと思うのだけど、頭のネジが飛んでるんじゃないかと疑うくらい、マジカルな音が強烈に詰め込まれてて驚愕する...。クラシックジャズ~モダンジャズの音、ジャズフュージョンの音(Infinite Love (M9))、シンセポップ(Empty Cup M6)~ダンスポップの音(Personal Bubble (M7))、さらにはOneohtrix Point NeverとかFloating Pointsみたいな音響芸術の音(We Choose You (M10))...。ネオソウル・ジャズの高級感と前衛的なエレクトロニカのセンスが合わさったような、とても強烈な音楽だと思う。それらのマジカルな音が連続的に発生していくようなすごさがあるし、変拍子チックなテクニックとか、メロディー的にもぶっ飛んでるものがある。まるで現代アートの美術館の中を巡っているような、見たことのない世界に飛び込んでクラクラしそうになるくらいの感覚。そういうセンスを活かして、リスナーに音楽の美しさを激しくぶつけるようなところが本当に素晴らしいなって思う。美しさが次から次へと襲ってくるというか、何度聴いても新しい発見ができるというか、そんな感じだった。

今作が月間ベストアルバム入りを確定させた決定的なトラックは、3曲目のBig Mato (M3)とかかなと思う。エレクトロニカ技術を駆使しながらネオソウル・ジャズ特性の高い歌を繰り広げる感じ。リスナーに素敵なものを与えまくるための気合が強い気がする 笑。たまらなく綺麗だし、自分の中で音楽のワールドが豊かに広がっていくのがよく感じられる。こういう音楽を聴いてる時間って本当に満たされる。全曲好きだけど、これは特に好きな曲だった。

今作は本当にサウンドがすごかったと思う。大人びたポップの曲調なのに、8曲目とか音がいちいちぶっ壊れてる感じでめちゃおもしろい 笑。クラブハウスのようなアンダーグラウンドの世界、鳥が羽ばたくイメージのオープンな世界(It's Me, Robin (M2))、音の組み立てや発想がほんとに素晴らしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9. Xiu Xiu - "OH NO"

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カオスだから表現できるソウルフルさ

 悲愴を込めた気高きアートロック・アートポップのやつ。鬼気迫るような怖さ・カオスな迫力を多く持ってるはずなのに、聴くのに抵抗がない分かりやすいロック・ポップスに仕上がってる感じ。バチバチに暴れるようなノイズ (Goodbye For Good (M4))、悲鳴のサンプリング(OH NO (M5))、背筋がゾッとするほど衝撃的なホラー的サウンド(It Bothers Me All The Time (M11))...。こうやって文章で書いてたら「いやいや聴きやすいわけないでしょ」ってなっちゃうけど 笑、それらの怖さ・迫力・カオスがアートとして上手に吸収されて、親しみのある音楽として完成されてる。2曲目のI Cannot Resistとかめちゃめちゃそう。通常のロック・ポップスにはゆかりがないような破壊的なサウンドとか不調和な場面を音楽に持ってるけど、ピアノの残響やオペラ特性の歌、曲全体が高貴な音楽として成立してる感じ。4曲目のGoodbye For Goodとかもすごくカオスじみてるけど、憂いに沈んでいるようなブルーな曲調、その中でも力強くあろうとする凛々しさ、あくまでソウルフルで風格のある音楽としてカオスが作用されてる。ほんとにバリバリにカッコいいと思う 笑。去年だとSon Luxとか、アートロック(というか神秘的な音楽は全般)が大好きだけど、Xiu Xiuの今作は、スリリングでホラーな表現をアートとしてよく消化してる感じがすごくよかった。コラボしてるアーティストの充実度も高すぎる。

今作は6, 7, 8曲目の3連続コンボがめちゃくちゃヤバかった。まずは6曲目のRumpus Room、これはドラムが鬼かっこいいやつ。DARKSIDEと同じ感触があるギターのフレーズとかもあって身体がめちゃ反応してしまう 笑。気高くてソウルフルなアートロックとしての作風というよりかは ただただカッコいいオルタナロックって感じだけど、グルーヴがクールすぎてて本当にハイセンスだった。そして7曲目のFuzz Gong Fight、こっちはダークでノイジーな音楽性が魅力的なやつ。アングラなポストパンクの雰囲気だけど、音程がずれた金属打楽器とか、Xiu Xiu持ち前のカオスがプラスされてる。とても痺れる内容の曲になってると思う。そして8曲目のI Dream of Someone Else Entirely。こっちはXiu Xiuらしいアーティスティックな音楽表現を取り入れつつ、前曲とは打って変わったメロディアスなナンバー。ただでさえ心に安らぎが差し込むような巨大な癒しを持ってる曲なのに、コラボアーティストがOwen Pallettっていうのがもうチートすぎて、、、、、。私がマジでマジで大好きなやつ 笑。ストーリー的にもアルバムの見せ場としてセットされてる感じで、感動がむちゃくちゃに大きい。とても短い曲だけど本当に名曲だった。

今作の私的注目ポイントはShearwaterとのコラボだったけど、そっちの曲(It Bothers Me All The Time (M11))はめちゃめちゃカオスで笑っちゃった 笑。迫力たっぷりで本当におもしろい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8. Mint Julep - "In a Deep and Dreamless Sleep"

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アンビエントっぽくて重たそうで全然重くない(そこがいい!)

 ふわふわでモフモフなサウンドを極めまくってるニューゲイザーのエレポップ。ブレスの長いシンセを多用したシリアスな雰囲気のドローン/アンビエントっぽさが目立つのに、打ち込み系のドラムの生き生きとしたグルーヴとか、AlvvaysやMen I Trustみたいに心躍るドリームポップとか、シリアスなアンビエントとかには絶対ないようなワクワクさがある。バリバリの王道シンセポップで心がときめきまくるBlack Maps (M2)、ニューゲイザーのダイナミックな感動のMirage (M3)、ビートの脈打つエネルギーが強いLure (M4)、さらにはクラブミュージック並みにダンサブルで最高に楽しいLost (M7)...。シンセのサウンド自体はBoards Of Canadaとかみたいに重たい空気を持ってるのに、音楽はものすごくポップに仕上がってる感じ。ふわふわでモフモフで最強にドリーミーなサウンドに重たさを与えつつ、ポップスの音楽性で心のときめきを最大にまで強化させたような音楽性。それらはまるで、雨上がりの虹とか、雪解けとか、色が生まれるような、空気が変わるような、心に深く届くような美しいイメージを私に見せてくれた。もうめちゃめちゃ大好き 笑。AlvvaysやMen I Trustが好きな王道ドリームポップファンにも刺さりそうだし、Julianna BarwickやMary Lattimoreのような聖なるサウンドを好むアンビエントリスナーにも刺さる気がする。心地よくて、幸福度が高くて、本当に素敵な作品だった。

アルバム最後の方のIn the Ocean (M10)とかもとても大好き。ふわふわ、モフモフ、心のときめき、ダンサブルなビート、ダイナミックな感動、重たさのある美しさ、Mint Julepのよさが選り取り見取り揃った目玉トラックな感じ。遠くで鳴り響くようなサウンドがもたらす夢の世界に酔いしれて、それらの素敵なフィーリングをたっぷり味わっていく。めちゃめちゃいい。エレポップな作風とアンビエントな作風のダブルの持ち味がこの1曲でよく表現できてるって思った。

アンビエントっぽくて重たい曲調のはずなのに重くない、今作はそこが魅力的だったと思う。エクスペリメンタル・アンビエント作品で有名なWestern Vinylからのリリースなのがまたすごくいい...笑。Western Vinylってまさかこんな王道インディーポップも扱うんだ、みたいな。"Mint Julep"ってバンド名も大好きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7. For Those I Love - "For Those I Love"

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美しさと興奮が絶頂に達するあの感じ

 センシティブな刺激がヤバいとてもクールなダンストラック。音響エレクトロニカサウンドメイキング、アイルランド訛りのあるラップ調のタフな歌、テクノからフットワークまでダンサブル性を磨いた独自のグルーヴ...。半端いほどカッコよくてゾクゾクがずっと収まらない。ダークなのにセンチメンタルなときめきがあるI Have a Love (M1)、激しいサウンドで理性がぶっ飛びそうになるくらいハイになるTop Scheme (M4)、音楽の興奮をもっともっと高めていくThe Myth / I Don't (M5)。ヒップホップとかEDMの要素もあって、あんまり自分が普段聴かないタイプの音楽要素もあるけど、For Those I Loveの今作にはもうまんまとやられてしまった、、、。本当にベタ惚れするほどカッコイイ。リードトラックのYou Stayed / To Live (M2)とか、会社のお昼休み中に聴いたらあまりによすぎて仕事に集中できなくなっちゃった 笑。遠く奥から静かに鳴り響くようなセンシティブなサウンドとか、息を飲むほど素敵な世界を持ってるのに、踊りまくれるアツいビートが打ち込まれてる感じ。美しさと興奮が絶頂に達して、初めて聴いたときは気絶するかと思った。単調なビートよりも ひねりのあるテクニカルなビートなのが本当にカッコいいと思う。ヘッドホンの音量を上げまくって全身で浴びるように聴きたい。ほんとに最高に大好きな曲だった。

クールな印象から少し転換するアルバム後半パートもめちゃくちゃよかった。The Shape of You (M6)、Birthday / The Pain (M2)とかがそう。気分がるんるんになるようなパーティー風の明るいムードを持ってる曲。音響エレクトロニカサウンドメイキングとか、センシティブな刺激はそのままあって少し特別なダンストラックに仕上がってる。こちらも大音量で聴いてテンションを思いっきり高めたくなる曲。光と闇、表と裏、ダークな曲も明るい曲もどっちも最高だった。

For Those I Love、すごいカッコいいアーティストだなと思った。特に今作は "I have a love" ってフレーズ(テーマ)があるけど、センシティブに攻めたサウンドとか、ジャケットのモノトーンでシックなイメージとか、アーティスト含めてアルバム全体に統一感のあるデザインを持ってたと思う。(それとは別に、アーティストがアイルランド・ダブリン出身というところも好感度が高かった 笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6. IAN SWEET - "Show Me How You Disappear"

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不思議ちゃんドリームポップ

 ノイジーサウンドで音楽の快感を最強に強化しまくるようなドリームポップだと思う 笑。浮遊感を意識してる優しいポップの作風なのに、ドリームポップとは全く思えないくらいのギターの轟音とか(My Favorite Cloud (M1), Power (M8))、ハードロックみたいに強いドラムのアタックとか(Sing Till I Cry (M5), Get Better (M7))、優しさに反するような強烈なサウンドがいっぱい。それだけでなく、サイケデリックな感覚をもたらすような催眠的なサウンド感も持ってたり(Sword (M3))。まるで不思議ちゃんみたいに考えてることが読めない異質な音楽に感じるのだけど、めちゃめちゃユニークで最高のキャラだと思う 笑。考えてることが読めないような音楽、例えばDirty ProjectorsとかThe Chapとか、変化球多めのバンドって色々いると思うけど、その中でもIAN SWEETの"不思議ちゃんドリームポップ"ってキャラは特別なよさがあると思う。代表的なのが6曲目のDumb Driverとか。ドリーミーみが濃厚で夢心地の気分になれる音楽なのに、不安感が煽られるような気持ち悪さを同時に含んでる感じ...。わけが分からない、、、ウットリするようなメロディーでありながら、自分の嘆きや悲しみの感情が引き出されるようなニュアンス。まるで気づかないうちに涙がこぼれるような、意識の外側にあるものに身体が反応するような感じ。とても不思議な音楽。そういう不思議さが結果的にドリームポップとしてのドリーミーな感覚をめちゃ高めてる感じがする。クオリティが鬼高くてほんとに素晴らしかった。

今作で1番好きな曲は、Dumb Driver (M6)と僅差でShow Me How You Disappear (M9)かもしれない。鳥肌が立ちまくるような音圧の高いエレクトロニックサウンドがあるナンバーのやつ。もともとIAN SWEETは宅録のベッドルーム系よりも、Sleigh Bellみたいにもっとライブ映えするような大きなステージ感を持ってると思うけど、この9曲目はそういうライブ系の迫力がとても利いてる感じがする。ドリームポップを越えたシューゲイザー的な魅力以上に、アルバムのクライマックスに向かっていくようなダイナミックさもあるし、そこに"Show Me How You Disappear"ってフレーズを合わせたりするのがもう...。ドリーミーな快感にセンチメンタルなエモーションが思い切り影響しまくる。めっちゃ大好きな曲だった。

今作で初めてIAN SWEETを知ったのだけど、過去作もすごいよかった(特に1st)。てっきり宅録ベッドルームポップな感じかと想像してたけど、もともとはロック感が強めのギターポップだったとは全然思ってなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5. Tune-Yards - "sketchy."

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エキセントリックなハッピー

 Tune-Yards (tUnE-yArDs)のポップは、状態的に言えば~🤪~だと思う 笑。「ジャンル : お笑い」というか、リズム隊が大袈裟でコミカルな動きを持ってたり、常に予想の斜め上をいくハジけ方をしたり、とてもハッピーなキャラクターの音楽の感じ。W H O K I L L (2011)とか、置いてきぼりにされるくらいそれらの楽しいセンスが発揮されてて本当に笑っちゃう 笑。3年前のI can feel you creep...(2018)では、クラブミュージック系のアプローチがあったライブ映えする作品だったと思うけど、今作はTune-Yardsのそのハッピーな音楽性で、よりポップスとしての完成を意識したようなアルバムな気がする。nowhere, man (M1)、make it right. (M2)、hold yourself. (M7)...、ハッピーさが派手に強調されたTune-Yardsらしい曲だけど、どの曲もフックを持っててシングルとしても強い、みたいな。結果的にハピネスがもっと最強になってた 笑。3曲目のhypnotizedとかもうめちゃめちゃに最高...。Tune-Yardsらしいエキセントリックなメロディーで心のときめきすらもを発生させてしまうような曲。最高にハッピーなTune-Yardsのキャラクターがポップ・バラード系の曲の中で活きて、音楽がとてもエモーショナルに発展したようなイメージ。いつもニヤニヤしながら聴いてたTune-Yardsの曲で思わず泣きそうになってしまうとか、私の中でわけの分からないことになってた 笑。コミカルでヘンテコだからこそ、心のときめきももっと特別なものにできたんだと思う。このhypnotizedは特に最高な曲だった。

5曲目のsilence pt. 1 (when we say “we”)も大好き。こちらはエキセントリックなセンスが多めのナンバー。トロピカルでポカポカした雰囲気、儀式みたいに怖い雰囲気、密度が濃い上にフックのあるメロディーも利いてる。本当にすごい楽しい...!!エキセントリックだかこそ実現できるレベルの高い楽しさ。Tune-Yardsのヘンテコ攻撃(大好き)。ベース・グルーヴも一丁前。

あと今作が100点なのは、ラストbe not afraid. (M11)の最後の最後で奇声をあげるところ 笑。この奇声だけでもベストアルバムにしようかなって思うくらい、何度聞いても笑っちゃう 笑。(ちょっと音程下がって終わるところが尚大好き。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4. The Antlers - "Green to Gold"

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The Antlersの美しい物語のページを開く

 The Anntlersの音楽はどうしてこんなに泣けるのだろう。前作Familiars (2014)は胸を引きちぎるような強烈な切なさを持っていて、Sigur RósのUntitled ( )みたいに魂を奪われてしまった。そんな尊くて儚いThe Anntlersの今作は、ジャケットのオレンジ色がとても特徴的な『Green to Gold』というアルバム。切なくて心が冷たくなる部分を持っていたFamiliarsの作風とは異なった、ほっこり温まるリラクゼーションが終始維持されてるタイプの作品で、こちらも猛烈に感動的だった。リスナーの純粋な心に触れるように温かい1曲目のStrawflowerから、「大丈夫だよ。こっちへおいで。」と優しく語りかけられるようにしてアルバムの世界に導かれていく。そうして2曲目のWheels Roll Homeに入ると、そこにはThe Antlersの楽しそうな姿があった。Mercury Revの品のある声質と似ている歌の、優しさを込めまくったThe Antlersのメロディー。まるで穏やかな昼下がりにお庭でティーパーティーをするような、そんな幸せを想像する。もう本当に素敵でたまらない。Just One Sec (M5)やIt Is What It Is (M6)に表れてるような、バンジョー・スライドギターのカントリーも本当によく似合ってる。そうやってThe Antlersの美しい物語のページを開いていって、アルバムが象徴する"Green to Gold"の世界を堪能していく...。なんて素晴らしいんだろう。ジャケットのオレンジ色が濃いところが本当に見事だって思った。

3曲目のSolsticeと4曲目のStubborn Manが1番好き。心が温まるリラクゼーションの中に、ロマンチックな愛を持ってる。ムーディーで表面的なよさなんかじゃなくて、もっともっと心の奥に届くもの。素敵なものを抱きしめて、それに対する愛おしさが溢れて、涙が止まらなくなるような、そういう体験。特にStubborn Man (M4)はメロディーの引力、涙を誘う力が半端なさすぎて本当にキツかった。さっき心温まる作風だって言ってたけど↑、この曲に関しては温かさと同時に悲しみも帯びてる。だからこそ深くまで届く、心に沁みて沁みまくる。私の中で思いが止まらなくなってた。ほんとに素晴らしかった。

カントリーもそうだけど、The Antlersはアンビエントの音楽性もとても強いと思う。同じ音を鳴らし続けるようなテクニックとかもそう。 今作の温かい曲調ともすごくよく合ってた。エンディングも軽やかでずっと心癒されてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. Really From - "Really From"

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センセーションを強くする

 ジャズとマスロックで構成されてる新種のポストロックの感じ。インストを主体としたスタンス、手数の多いアンサンブル、音楽がジャズとマスロックの共通項で結ばれてるようなまとまりがあるけど、ジャズともマスロックとも全然違う画期的な新しさがある感じなのが素晴らしいと思う。ジャズの濃厚なムードとマスロックのパリっとしたフレッシュ感、大人びてる上品なキャラと若々しい活発なキャラ......ジャズとマスロックのニュアンスでドラムの微妙な使い分けがあって、シーン転換を色々持ってるようなストーリーの充実もあったり。まるで個性と個性を力強くミックスして、ジャズとマスロックのポテンシャルを同時に拡張してるみたい。別次元の音楽を堪能してる感覚になるくらい、本当にスペシャルな音楽だと思う。アンサンブルのパフォーマンス以上にサウンドの美しさも極められてるし(Apartment Song (M1))、アルバムのハイライトになるような印象的なフレーズがあるリードトラックもめちゃ最強(I Live Here Now (M5))。中でも個人的に大好きすぎてヤバかったのが2曲目のQuirk、マスロックからエモへの発展も見せる私的激アツなトラック。ジャズ、マスロック、エモ、それぞれが持つカラーで音楽を鮮やかに飾って、感情をどんどん揺さぶっていく。心がときめいたり、ときには激しく情熱的になったり、センセーションがすごく強い。ジャズからマスロックまで多様な引き出しを持ってるReally Formだから成せる感じ。本当にすごい作品だと思った。

今作のよさに大きく貢献してるのはやっぱり、全曲を通じてとにかく歌いまくってるトランペットかなって思う。ジャズとしてキャラクターは強く感じるけど、ジャズのクセがあんまりないさっぱりした印象の感じ。ジャズっぽさがないマスロックのフラットなアンサンブル感の影響もあって、トランペットが自由に躍るようにして歌ってるのが本当に嬉しそうに感じられる。CARMみたいにトランペットでガチガチに固めたコンセプトの作風でもない限り、今まで"トランペットを聴く"ということをあんまりしなかったけど、この作品は思いっきり"トランペットを聴く"を楽しんでた。インディー・オルタナばかりしか聴かない私の感受性・価値観を広げてくれたような作品。そういうところも好き。

2020年代の音楽、新しい時代を感じさせてくれる作品と出会うと、可能性をいっぱいに感じでとてもワクワクする。ジャズでもマスロックでもない新しいアンサンブルの景色、Really Formめっちゃかっこよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. Sofia Kourtesis - "Fresia Magdalena - EP"

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美しいもの没頭するだけして生きてたい

 ハウスの熱いビートでただひたすら美しいものに集中しまくるようなダンストラック。心臓にまで届くような激しめの撃力を持ってるのに、瑞々しくて透明感のある鍵盤楽器、オルゴール、まるで曲の中に星が散りばめられてるみたいに美しいサウンドで構成されてる。もうめちゃめちゃツボなんだけど...笑。心沁みまくる美しいサウンド達がダンストラックの中で次々に発生するような感じ。まるで無我夢中になってダンスするハウスミュージックのモチベーションやエネルギーが、美しいものに没頭するためだけに利用されてるみたい。ヘッドホンの中で繰り広げられるダンスフロアの中で、水滴が零れ落ちる瞬間とか、夜空の星々を眺めてるようなシーンをたくさん想像していく。こういう優しさいっぱいで成り立ってるクラブミュージックの体験ってほんとに最高だと思う。La Perla (M1)から耳の中で美しさがバチバチに奏でられててヤバい。華のある鍵盤の音色とぱちぱち弾けるビートが楽しそうに会話してる。躍動感の強いフックもあって、心に沁みる美しさがもっと強調されたり。もうこの1曲目から「最高!!最高!!!(机バンバン!!)(号泣)」みたいに興奮してた 笑。2曲目~3曲目もすごくいい。ほんと、ひたすら綺麗な音で埋め尽くされてる感じがあってJon Hopkinsの"Emelard Rush"って言葉を思い出す。サウンド以上にビートにも華があるのもヤバい。私はこの音楽みたいに、ただひたすら美しいものに没頭するだけで生きてたいって思った。そのくらい好き、マジでリピートが止まらない。

1曲目のLa Perlaと同じくらい4曲目のJuntosも大好きだった。ライブみたい臨場感が濃くて、音楽の体験がよりハイなものに用意されてる感じの曲。ハウスミュージックの高い集中力の効果も相まって、ダンスフロアの向こう側にある世界にどんどん導かれていく...。ピアノの音色一つ取っても本当にレベル高いのに、そこにプラスで登場する二胡の破壊力が本当にありえなくて...笑。すごく奇抜な存在感、もう美しさがめちゃめちゃ際立ってる。あまりによすぎて最初聴いたときは泣きそうになってた。今年1月にリリースされたCARMのアルバムとかでも二胡を採用してたと思うけど、Sofia Kourtesisの今作の方がスペイン語を引用した中南米の世界観とかによく似合った感じがしてる。メロディーもめちゃめちゃハイセンス。本当にめっちゃよかった。

Four TetとかDJ Kozeとか、インテリジェンスなカッコよさよりも精神的な安定感とかを意識したクラブミュージックのやつって本当に大好き。今作はそれでいうとほんとベストアルバム(EP)だった。EPってアルバムよりも小型の作品だから、振り返ったときに忘れてしまうことが多々あるのだけど、今作はもう絶対忘れないなって思う。(というか年間ベストEPとかやってみたい。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. Floating Points, Pharoah Sanders & The London Symphony Orchestra - "Promises"

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見てはいけないものを見てしまい、神に殺されるような体験

 私がFloating Pointsの音楽にどこまでも虜になるのは、ジャズ・クラシック・電子音楽、それぞれの音楽が持つ繊細さと高級感を異常なまでに高め、音楽に桁違いの美しさを与えるようなところ。メロディーも一つの神経のように扱って、まるでバイオエレクトロニクスのテーマのようなSF的な魅力も感じさせたり。2015年のEleaniaとか、それらの繊細さ・高級感を余すことなく発揮して、真っ白に広がるような空間、静寂、"無" を本当に見事に表現していたと思う。今作Promisesが実現したのは、そのEleaniaのような静寂、無の世界の延長にあるものだと思うのだけど、感想を文章にするのがおこがましいくらい、とてつもないほど凄まじい作品になってた。これまで私が人生で積み重ねてきた思想、感情、想像、自分の全て上回ってしまう果てしなさを持っていた。

9つのパッセージで構成されたMovementのストーリーの中で、自分の持っている想像・発想を何度も破壊するような未知が与えられ、瞑想的な体験を幾度となく繰り返し、音のみで表現される得体の知れない概念と出会っていく。冒頭から全編に亘ってリピートされる波打つフレーズは、まるで暗号のように、メッセージのように、そして呪いのようにしてリスナーを釘づける。一定時間ごとに「よく見ろ」とリスナーに働きかけるようにそのフレーズが作用し、音楽の世界から逃げることが禁止される。そういう風にして強制的に音楽の世界と向き合い、その世界を巡り、時空を超え、たどり着いたMovement 6で、いよいよバケモノと遭遇する。そのとき、見てはいけないものを見てしまった気がした。無の世界の最果てを訪れ、来ては行けない場所に来てしまったような気がした。私はそのバケモノの存在感に圧倒され、それらのエネルギーを喰らい、何か激しく恐ろしい感情に襲われて、気が付けば大量の涙をこぼしていた。信じられないような経験だった。そのバケモノが去った後、私はまた無の世界に取り残された。時間が止まるような、完璧な静寂だった。美しさを越えた何かで心がおかしくなって、理性が壊れそうなほど感動した。そんな状態で、私はラストのMovement 9で力尽きてしまった。降り注ぐ光に撃たれたと思った瞬間、心臓が止まり、地獄に墜ちるように沈んで行ってしまった。あまりにもリアルにでとても恐ろしかった。まるで、この音楽の世界を知ってしまったがために神に殺されるような罰を受けたみたい。そうやって音楽が終わって目が覚めたわけだけど、その後はずっと虚無感に苛まれていた。現実のこと、生きてることが、どうでもよくなってしまうような、自分の中で大好きだったもの、愛していたものが思い出せなくなるような、そんな状態だった。何もできなくなっていた。Floating Pointsが創造したMovement 6のバケモノのこと、それらと出会ってMovement 9で殺されたこと、それらの余韻がずっとずっと残っていた。たった一つの音楽で、どうしてここまで壮絶な体験ができるのだろう。さっき私は、「人生で積み重ねてきた思想、感情、想像を上回る...」とか言ってたけど、この作品に比べたら、私の"積み重ねてきた" ものなんか、ナノメートルサイズの薄さにも満たない。今作はそのくらい大きなスケールの世界を与える音楽だと思う。というか、"世界"という言葉も、私はとても狭い意味でしか理解できてないんだなと分かった。きっと、私は何かを理解したつもりになっていたんだと思う。芸術のこと、喜びのこと、人生のこと。もう全く理解できていなかった。なんか、自分の心の健康の問題とか、将来への不安とか、そういうものがバカみたいに小さいものに思えてしまった。希望も絶望もどちらも感じなくなってしまった。この作品には、そういう影響力があった。先月のCassandra Jenkinsのようなベストアルバムとはまた方向性が違う傑作。あまりにも壮絶すぎて、ベストアルバムに選ぶのも本当に恐れ多いって思ってしまうほどに。

前作Crush (2019)は、2010年代の歴史に残る最最最高のハウス・テクノだったと思う。今作はサックス奏者のPharoah Sandersも合わさった形で、よりフォーマルにオーケストラコラボとしてのアルバム。正直、ここまで来るともうFloating Points (Sam Shepherd)のことを人間として見れなくなる。私の記憶では、確かベートーヴェンは「神はいる。だって人間が音楽を創造できるのだから」みたいなことを言ってた気がするのだけど、それでいうとFloating Pointsの今作は、音楽自体が神であることを象徴したような作品にも思えてしまう。『Promises』というタイトルが、ここに来て本当にやばいものに感じられた。For TetやJon Hopkinsも絶賛なアルバム、「シャッフル機能がオフになってることを確認して(fuck shuffle)」「初めから最後まで全部聴いて」、本当に素晴らしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

★プレイリスト

Apple Music ↓

温の「2021年3月ベストアルバム(温)」をApple Musicで

Sportify ↓

open.spotify.com

 

★その他 とてもよかったもの

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Alice Phoebe Lou - "Glow"

Anna Fox Rochinski - "Cherry"

Arab Strap - "As Days Get Dark"

Do Nothing - "Gluland - EP"

James Levy - "Soldier"

Kings Of Leon - "When You See Yourself"

Lost Girls, Jenny Hval & Håvard Volden - "Menneskekollektivet"

Middle Kids - "Today We're The Greatest"

serpentwithfeet - "DEACON"

Vegyn - "Like A Good Old Friend - EP"

 

 

 

 

 

「2021年2月ベストアルバムTOP10」感想

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今月は神作のラッシュすぎて、、、笑。"2月の作品だけで年間ベストアルバムを選ばなければ死ぬ" という呪いにかかっても全然大丈夫だった。(何が????)

2021年がまだ続くとは思えないくらい、私にとっての名盤が凝縮されたような1ヶ月。毎月ベスト10を選んでるけど、今月は10枚に収めることが無理すぎてた...(TT)。

2021年2月ベストアルバム、超超超最高な作品のTOP10の感想をランキングで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10. Puma Blue - "In Praise of Shadows"

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ビタースウィートなイケメン

 Nick HakimRiver Tiberみたいに陶酔が半端ないネオソウル。2018年のMoon Undah Waterのころから才能が本当にやばくて、デビューALがめちゃめちゃ待ち遠しかったアーティストの一人だったけど、やっぱりすごくすごく最高だった。ビタースウィートを極めまくった とことんディープなベッドルームのVelvet Leaves (M3)、ゆらゆら揺れるジャジーなグルーヴでメロメロが止まらなくなるAlready Falling (M5)、そして持ち前のローファイにストリングスをプラスさせてしまうオリジナル性のレベルアップ(Sheets (M6))とか、美しさをさらに最強にしてしまうミニハープの装備(Is It Because (M10))とかまで...。ディープなエクスタシーをもっともっと追求したような最高の傑作、夜の静かな時間に飲むお酒のおつまみにぴったりすぎる...笑。RhyeとかMr Twin Sisterみたいに、シティ属性がめちゃ高いシックでモダンなボーカルを持ってるところが特にヤバいなって思う。Sweet Dreams (M1)、Cherish (Furs) (M2)、アルバム序盤からもう私の中の大好きがヒートアップする。2/5リリースの新譜のよかったランキングで5位にしてたけど...ごめんさい、もうちょっと上でした...笑。

ローファイでチルでジャジーでソウルなPuma Blue。中でも私は、打ち込み系のドラムで仕上げたベッドルームポップ的な部分がでかいなって思う。2曲目のCherish (Furs)とかがそう。作品がすごくコンパクトに感じるような印象になってると思うのだけど、このサイズ感がまたすごくすごくオシャレだなって。プレイリスト等で音楽を持ち歩くようになった今の時代によくマッチしてる。夜の静かな時間に聴くのもぴったりだけど、夜の街を徘徊するときのBGMにもぴったりそう。(最高の気分になれるのがよく想像できる 笑)

そして!Puma BlueがNick HakimやRiver Tiberの他のネオソウルと異なるところは!イケメンだというところ!!(爆)。Oil Slick (M8)のロックみたいなやつも明らかにイケメンだけど、Opiate (M11)とかBath House (M13)とかもイケメンだと思う。華やかなのにサウンドが悲しみの色を帯びてるような、とても綺麗でディープなサウンド。本当にカッコいい。歌がめっちゃ上手なのにギターもこんなに弾きこなして、、、打ち込み系のドラムのグルーヴもやっぱり超クール。めちゃめちゃ惚れる。ギターはソロプレイよりかはバッキングがメインだけど、個人的にはTash Sultanaのギターサウンドより好みだった。

Puma Blueさん、ローファイサウンドの達人なのに、今作はSuper Soft (M14)とかアコースティックスタイルになっても最強だった。もともとの素質が素晴らしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9. Blanck Mass - "In Ferneaux"

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ノイズハードコアのその先にあるもの

 2017年のWorld Eaterは、オペラの合唱のサンプリングを駆使したり、ハードコアの音楽が所有する痛みの感情を聖なるものとして捉えるような作家性があったと思う。激しいノイズのエネルギーにも神々しい美しさをプラスするようなサウンドメイキング。PharmakonやDeli Girlsとかみたいに、人間の負のエモーションを徹底的に描いたような芸術も素晴らしいと思うけど、個人的にはハードコアの好きな作品ならもうBlank Mass (Fuck Buttons)の右に出るものはありません...笑。心や感情、神秘的なもの、今作のBlanck Massもハードコアの中に聖なる世界をいっぱい持っていて私のツボに刺さりまくってた。Phase Iの序盤からエレクトロニックのバチバチな興奮を駆り立てていく。エネルギーが高密度に凝縮されたような激しさを持ってるのに、心に沁みるような丁寧な輝き。それらのメロディーが分裂し、光線となって二重螺旋のように絡み合うフレーズにはもう完全に心奪れる...。サウンドによるエネルギーの描写が本当にカッコよすぎると思う。そこから心臓に直接届くような灼熱のビートを叩きつけて、命が燃えたぎるような壮絶な刺激を与えていく...。まるで封印を解いて巨大な魔物を召喚するようなとてつもない魔法の瞬間。めちゃめちゃたまらない。アルバムの中にほんの少しでもこういうシーンを用意してくれただけで「ありがとう!!!泣」ってなる 笑。2017年のホステスのときみたいに夜中3時やるスタイルでも全然いいから、もう一回ライブを観たいって思った。

Phase IIも素晴らしい。耳の中が嵐に包まれるような強力なノイズアンビエントがある曲。音楽の物語が進むにつれ、そのノイズアンビエントの先にあるものが見えてくる。それは、Phase Iの序盤から繰り広げていたようなハードコアの世界とは正反対な平穏。過激なノイズをマイナスして、Blanck Massの特別な神々しさをもっともっと引き立てるようなアルバムの演出。1曲目に負けないくらいめちゃ最高だと思う。まるで天候が目まぐるしく変動するような大スケールの世界観。楽曲終盤のピアノのパートとか、私的には戦争が終結するような果てしないストーリーを感じて、もうめちゃめちゃに感動した...。非ハードコアな音楽性にも磨きをかけまくったような傑作。レベルアップしてたなと思う。

ジャケットの稲妻(?)のイメージもよかった。今作はPhase IIとかで、より音響的にもこだわったセンセーショナルさがあったと思うけど、そういう部分とぴったりマッチしてる。(前作みたいに血ついてるジャケとかあんまり好きじゃなかった...笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8. Smerz - "Believer"

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"Massive Attack女子"

 衝撃的なほどカッコいいダーク・エクスペリメンタルなエレクトロニカのやつ...!身体が麻痺するようなトランス系のハイなサウンド、クラシックバイオリンで引き出す負の感情、Andy Stottのような死の世界、そしてなんといっても "ザ・Massive Attack" な音楽のキャラクター...!自分がめっちゃ大好きな作風のやつだった 笑。タイトルトラックのBeliever (M3)とかほんとにヤバい。まさしくMassive Attack(クワガタ虫)そのままなグラビティの強い暗黒。少しグロテスクで怖いフレーズも持ってるのに、そこに民謡チックなバイオリンの綺麗なイメージを取り入れたり。不穏で不気味な雰囲気なのにとても美しくて、調和が破壊されるような特別な緊張感がある。本当にすごくすごく傑作。"Massive Attack女子"って雰囲気も猛烈にカッコいい 笑。Laurel Haloとかもそうだけど、ダークなのにどこか悲しみの美しい感情を抱えてるようなエレクトロニカってやっぱりめちゃ最高だなと思う。前作Have fun (2018)とか聴いたことなかったけど、Smerzのアルバムめちゃめちゃよかった。

Smerzの今作は、I don't talk about that much (M15)みたいにただ単純にダークな迫力があるだけじゃなく、攻めのスタイルから1歩引いたようなしっとり系の表現力もあるのがいいなって思う。5曲目のRainとかがそう。大枠はグルーヴィーなヒップホップ調の曲なのに、音楽を落ち着かせるようなストリングスの効果で音楽が異様な空気に仕上がってる。本当におもしろい。静と動のエモーショナルな抑揚、2曲目のMax (M2)とかもそうかなと思う。Oneohtrix Point Neverのような音圧の高いサウンドを出したと思えば、それがフワッと消えるような瞬間を大切に扱う感じ。前衛的だけど一貫して聴き心地のよさが保たれてる。そういうところも魅力的だと思った。

Smerz、去年でいうZora Jonesっぽかった。Zora Jonesよりも何倍も聴きやすかったけど 笑。(Zora Jonesの作品に対するコメント

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7. Cloud Nothings - "The Shadow I Remember"

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Attack On Memoryにかなり近い音(最高だー!笑)

 クラナシは、メロディー感とエモーショナルさでいえばやっぱりAttack On Memory (2012)Here And Nowhere Else (2014)かなと思ってる。ローファイが可愛い初期のTurning On (2010)とかも好きだし、Life Without Sound (2017)やLast Building Burning (2018)も刺さる曲があって好きだけど、私的はそのAttack On MemoryとHere And Nowhere Elseの二強が1番。今作のクラナシは!!そことかなり近い音がしてる!!!熱量の高いロックでありながら、Fall InやStay Useless (Attack On Memory)のときみたいな派手に盛らないプレーンな音作り、そして胸がいっぱいになる愛おしいメロディー...。Open Rain (M6)やAm I Something (M8)みたいな手数の多いハチャメチャなドラムとかもそう。BadcampリリースのThe Black Hole Understands (2020)では通気性の高いフレッシュなバンドサウンドを磨いていたけど、その実験的な経験がここに来て初期の頃の原点回帰に至ったみたいな。結果的にめちゃめちゃ大好きなクラナシになってた!笑。11曲目のThe Room It Wasとか最高すぎる。The Black Hole Understandsで培った切ないフィーリングがよく反映されてる感じ。こんなに激アツなロックなのに、メロディーに心をかき乱されて思わず泣きそうになってしまう。この人のロックは本当にピュアだなと思う。改めてクラナシ大好きだなって思わせてくれるような曲。「すごく最高だー!」って言いたい 笑。

The Room It Was (M11)もそうだけど、ネクストステージ要素でいうとやっぱりピアノ要素がとても大きいよなと思う。リードトラックのNothing Without You (M2)とか、今作最大のハイライトの感じ。結構大胆にピアノが入ってるのに、違和感がなさすぎてめちゃめちゃびっくりする。Macie Stewartのボーカルも本当にクラナシにぴったりハマってる。Psychic TraumaやI'm Not Part Of Me(Here And Nowhere Else)みたいに心が浄化されるようなエモさがあった。やっぱりとても傑作。声を大にして「最高だー!」って言いたい 笑。

私がクラナシに出会ったのは大学1年生の春(2014年)、Attack On Memoryが最初。Stay UselessとかI'm Not Part Of Meをめちゃリピートしてたのだけど、今作のThe Shadow I Rememberを聴いたときは、その頃の感覚にとても近いものがあった。2021年なのに、すごく懐かしい気分を味わったみたいに。...ということはやっぱり傑作であるということ!笑。去年のThe Black Hole Understandsより好きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6. Mogwai - "As the Love Continues"

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失神するほどの爆音の演出

 空間が破壊されそうになるくらいアンプから爆音を出して、身体が宙に浮きそうになるくらい大量の音を埋めるライブ。そこには、理性をギリギリ保つか保たないかみたいな危ないところまでランナーズハイ的になるエクスタシーとか、自らに強烈なダメージを与えて実現するハードコアの瞑想みたいなところがあると思う 笑。The Armedなど、そのエクスタシーを強く求めるあまり失神しそうになるほど爆音を鳴らしたり、そういうポストロック・ハードコアってやっぱり本当に圧倒的...。でもMogwaiの今作みたいな爆音は、鼓膜へのダメージはあったとしても、The Armedとかみたいに耳に圧をかけるような窮屈な轟音とは違って、天にまで手が届くような美しいアップライズがあると思う。これが壮絶に綺麗でたまらない...。エレクトロニックな音の拡張(Ritchie Sacramento (M4))、プラネタリウム的音響(Dry Fantasy (M3), Fuck Off Money (M6))、さらにはストリングスを取り入れたオーケストラのステージ感(Flit (M8))...。ただガムシャラに爆音を発動させるのではなく、M83のようなニューゲイザー的演出があって、音楽一つ一つに感動のストーリーを持たせてるみたい。理性を失いそうになるくらいの激しい爆音が、その熱が、それらの感動をこれ以上ないくらい巨大に倍増させるという...。もうよすぎて泣きそうになる、、、笑。1曲目のTo the Bin My Friend,...からそう。「ようこそ、爆音の世界へ!(ドカーン!!)」みたいにスタートして、一気に持っていかれて、そこからストレートにカッコいいRide的シューゲイザーのパフォーマンスを繰り広げまくったり、フィナーレレベルの超大作ソングを連発したり...。もうたまらなくシビれる。臨場感が強いから尚更やばかった。

クールな印象とは打って変わってピュアなワクワク感があるSupposedly, We Were Nightmares (M10)とかも本当に大好きなのだけど、1番ツボったのは5曲目のDrive the Nailかなと思う。Mogwaiはベースも魅力的だけど、この曲に関してはドラムがすごく大活躍してる。曲の盛り上がりパートにおけるギターのダウンストロークとドラムのパンチのコンビネーション。リズム隊というバッキングの扱いではなく、完全にドラムの見せ場として用意されてる感じ、特別なパフォーマンス感があってすごくカッコいいなと思う。(というかほんと、全曲が最高のパフォーマンスだった)

ライブがよくイメージできる今作の臨場感は鳥肌がやばかった...。「いつかまたライブが観たい!」という希望を与えてくれる作品だったなと思う。なにより"ロック"がとっても輝いてた(≪大好き≫)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5. Katy Kirby - "Cool Dry Place"

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毎日のことを大切に思う

 Katy Kirbyの今作の大好きで大好きでたまらないところは、特別なことが起きないようなノーマルの日常ベースで音楽の物語が描かれているところ。それでありながら、それらのノーマルな日常のことを愛おしく大切に思うような観点を常に持っているところ。Juniper (M2)みたいにほっこり落ち着いてるムードの中で穏やかに踊ったり、Traffic! (M4)みたいに退屈な日々の中でもドラマを見出すようにして楽しんだり、Portals (M7)みたいに寂しい気持ちもロマンチックに消化してじっくり味わったり。休日の朝のコーヒータイムとか、お散歩の時間みたいにまったりしたリズム進行なのだけど、それらの一つ一つが多幸感に包まれるように満たされてる。それはまるで、ありきたりで一定の毎日の中にも感情を揺さぶるような刺激を生み出す魔法、人生のどの瞬間も肯定的に捉えるようなこれ以上ない幸せ。もうあまりにも大好きすぎてる。今日も明日も明後日も、これからの人生の全ての時間を大好きにさせてくれるような作品。感傷的なよさをたっぷり持ってる作品だと思うけど、去年のLomeldaとかよりも感傷レベルがキツすぎないバランスだから連続して聴いても全然大丈夫 笑。そういうところでもリピート性が高くて、確実に確実にベストアルバムだった。

余すことなく全曲好きだけど、1番好きかなと思うのが6曲目のSecret Language。ほっこり落ち着いてるムードの日常的音楽から、思い切りドラマチックにジャンプするような展開を持ってるナンバー。人生の日々を愛おしく大切に思うような今作のテーマをよりダイナミックに描いてる感じ。感動がとてつもなくてやばい。Juniper (M2)とかTraffic! (M4)とかのリードトラックのエモーションを積み重ねてくる流れになってたから、もう問答無用に号泣してしまう。短い曲だけど、この曲だけでもリピートしまくりたくなる。本当に素敵な歌。その後に来るCool Dry Placeもメロディーが完成されててやばかった。ラストスパートまでずっとずっと最高。めちゃめちゃ名盤だと思う。

自分の人生を退屈に思うことがたまにある。生きてることに満足感を得られなくて心が死んでしまうことがたまにある。それでも、Katy Kirbyのこの音楽みたいに、絶えず流れる日々のことをできればずっと愛おしく感じていたい。表面的でも別にいいから、ワクワクしたり、心をときめかしたり、いっぱい泣いたり笑ったり、人生のどの瞬間も大切に感じていたい。そういうことを実現してくれたKaty Kirbyは、私の永遠の憧れかなと思う。映画でいうところのアメリとかの感じ。ありきたりな毎日も特別になるような魔法。本当によすぎてびっくりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4. Black Country, New Road - "For the First Time"

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奇跡のカオス

 バンドによる音楽の魅力は、メンバー達がオンタイムで同一の時間を共有し、それぞれが一体となって一つのアートを作るというところにあると思う。メロディーが感情を形取り、それらが伝達し合うネットワークが生まれ、その中で共鳴・増幅を起こし、一人では絶対に辿り着くことができない領域に至っていく...。私がBlack Country, New Roadのことが大好きで大好きでたまらないのは、そういったバンド演奏の特別感・バンド演奏の喜びがもう目一杯堪能できるところ!サックス、ストリングス、鍵盤...、フリーセッションスキルだけでなく不協和音など変則的な表現も体得した熟練のアンサンブル。Instrumental (M1)やOpus (M6)の呪文を唱えるような旋律、Athens, France (M2)の温かい光、Science Fair (M3)の衝撃的な恐ろしさ、そしてSunglasses (M4)のソウルフルな幸福...。それぞれのパートが交錯しながらメロディーが美しい反応を見せていく。エモーションのダイナミクスがより多様で、より多彩で、音楽性のバリエーションも豊かで、展開も本当におもしろくて...そして何よりめちゃめちゃカオス!笑。まるで神々しさを放つような未知の魔法性を秘めてるところもあったり。そういうスキルフルなアンサンブルを仲良し感MAXな若者7人が無限に楽しそうに演奏してしまうという...もう本当に泣けてくる、、、笑。素敵だし天才的だしカッコいいしで魅力が止まらない。技術を結集したアートとしてはもちろん、仲良し感が出てるバンドの人間味としても憧れを感じる一面がある。フロントマンIsaac Woodによる歌要素のバケモノ感もやばい(←ウルトラスーパー褒めてる)。ほんと、素晴らしいメンツだった。

Black Country, New Roadは洋楽ファンを虜にする特徴をいくつも持っていたと思う。Shellacのような古きよきロックのスタンス、black midiやBattlesのようなエキセントリックな刺激、90sポストロックのようなダークネス、GY!BEのようなスケールの大きい気迫、そして大まかな構成の中で各パートが自由にやり取りするようなジャズ的なお楽しみまで...。アルバムを通して聴いていくと色んなよさが見えてきて、色んな作品を連想して、結果的に色んな音楽の"好き"が再発していく。そしてそれらの音楽をまた聴き返して、またBC,NRに戻ってきて...。個人的には、ベース担当のTyler HydeUnderworldHydeの娘さんだというのを知ってからUnderworldばかり聴いてる 笑(そっち??笑)。ほんと、洋楽ファンの色んな"好き"にコネクトするような珠玉の作品だと思った。Bandcampのライブもめちゃ楽しかった。

私は高校の頃は弦楽部(ヴァイオリン・ビオラ・チェロ・コントラバスの編成で演奏する部活)に所属していたのだけど、そこには学校屈指の音楽のスペシャリストが集結していた。重度のクラシックオタク、作曲・編曲をこなすような音楽マニア、触ったことない楽器も数十分でマスターしてしまうようなテクニシャン、そしてどんなメロディーも一瞬でコピーしてしまうような天才中の天才...。彼らは楽器があればどこでも自由にセッションしてしまうような才能を持っていて、本当にいつも楽しそうで素敵だった。(私も鍛えられた)。BC.NRは、そんな音楽マニアによる素敵なセッションで終始成り立ってるような感じがする。あぁ...羨ましい。。。まるでとても運命的な出会いを果たした選ばれしグループみたい。そういうところも込み込みで本当に大好きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. The Weather Station - "Ignorance"

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私を世界最高に幸せにするメロディー

 映画のような心に残るシーンをいくつも持ってるSharon Van Ettenの超絶名作Are We There (2014)と同じタイプのインディーフォーク。ウィスパーボイスやファルセットが特徴的な歌、そしてオーケストレーションやピアノをメインにした編成、ステータスで表すのなら、不純物0、天然成分100、透明感100、浸透性100、それらのエレガントでメロウな優しさ999,999,999...みたいな感じかなと思う 笑。そんな風なめちゃめちゃ高尚な音楽性でもう十分最高なのに、上品なアレンジでポピュラーソングを大人風にモデルチェンジしてみせたり(Tried to Tell You (M3), Separated (M6))、音楽にストーリー・ドラマを存分に与えて楽曲の密度や作品のインパクトを高めたり(Robber (M1), Wear (M7))...、もうやってることがとにかく全部本当に素晴らしぎてる、、、笑。それはまるで、音楽から得られる美しさやロマンスなど、私達が愛してるそれらの喜びを、もっと愛おしくかけがえのないものにグレードアップさせるような最強のテクニック。エレガントでメロウで超ハイレベルに美しい音楽なのに、それらの音楽体験をもっと特別なものに仕上げるとか...泣。Sufjan Stevensとかのインディーフォークもそうだけど、そういう音楽鑑賞の特別な工夫を意識してるアーティストのことが1番好き。前評判が高すぎて作品鑑賞前から身構えてしまっていたけど、それらのハードルも吹っ飛ぶくらいの傑作。すごくすごく素晴らしかった。

モダンジャズ系の豊かなサックス、シャイニーなピアノ、ふわふわのクラリネット、そしてエクスタシーがやばすぎるファルセット...、サウンド1つ1つがとにかく素晴らしいなって思う。まるで風に乗って飛んでいくような美しい開放感を持ってる感じ。本当に本当に癒し的で、メロディーが心に届くだけで簡単に泣いてしまう。それって本当にすさまじいことだと思う。全体を通じてすごく大人びてる作風だけど、音楽を暗くしすぎないダンサブルなドラムワークとかもすごく最高。音楽を優しくライトアップしててたまらない、オルタネイティブロックっぽいニュアンスもやっぱりとてもツボった。

今作で1番感動しすぎて死にそうになったのが、10曲目のSubdivisions。今作の上品で高尚なフォークの作風の中でも、祈りや願い、それらの聖なる感情がもっともっと強く込められてるようなナンバー。The Weather Stationのエレガントでメロウな至高の音楽が、迷いや不安、精神的な苦悩を解放するために思い切り作用するようなところがあって、目ん玉の神経がイカれるくらい泣いてしまう。本当にありえない。それはまるで、自分自身が感じている罪だとか、自分に自信を持てないところとか、そういうものが全て許される瞬間を味わうみたい。ピアノの輝き、ファルセットのエクスタシー、このメロディーで私は世界最高に幸せになれる。ものすっっっごく名曲。音楽の高らかなエモーションをさらに倍加させるような歌詞もやばすぎてた。

Fleet foxes、Feist、War On The Drugみたいなのカントリー・フォーク要素、それプラスでバロックポップ、ジャズの雰囲気とかも。The Weather Stationの今作は本当に猛烈に大好きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. Julien Baker - "Little Oblivions"

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生命力を与える音楽の光

 Julien Bakerといえば、暗闇の世界に光を灯すようにして、音楽に込めた思いを力いっぱい咲き誇らせるようなアーティスト。その光は儚くて、エモーショナルで、とても生命力に満ちてると思う。エレキギターの弾き語りスタイルでも100点満点に素晴らしいのに、今作Little Oblivionは充実感の半端ないバンドの形態...。光属性の性質をそのまま、もっとロックに、もっとパワフルに、もっとカッコよくなっててもう。。。笑。マジでめちゃめちゃ大好き。シューゲイザーな轟音があるHardline (M1)、心が躍るような最高のグルーヴのBloodshot (M6)、ライブ映えがヤバそうなRepeat (M10)...。スケールが大きくてワクワクが止まらないような作風だし、暗闇の中で光を灯すような歌やギターのそのメロディーを、もっともっと力強く掲げてる感じが本当にグッとくる。その力強さはまるで、傷ついた状態から立ち上がって希望を噛みしめるような精神的な強さ。このアルバムを聴くだけで、それらの正のエネルギーを満タンにチャージできる。バンドになったことでThe NationalやLocal Nativesのような自然派ロックの音像を持ち始めてきたところもツボすぎた。先行曲を一切聞かず、リリースの日までめっちゃドキドキしながらスタンバってたけど、期待を全く裏切らない最高の作品。本当によかった。

バンド形態が特徴的だったJulien Bakerの今作、Song in E (M)のようなバラードも神だった。バッキングにピアノを採用した従来の弾き語りスタイル。アルバムがワクワク感の強いポジティブな作風なのも相まって、音楽の光が自分に生命力を与えるように作用するのが本当にやばい。自分の心にダイレクトに響きまくるようなその光を感じてたまらない気持ちになる。ライブだと一体どうなってしまうんだろう。想像しただけで泣きそうになってしまった。

私の数少ない自慢の一つに、「Julien Bakerと同い年」というのがある 笑。こんなスーパー最高なSSWと同い年とか、もうなんか光栄すぎてすごく元気が出てくる。注文したレコードが届いてテンションが爆上がりになってた 笑。(いっぱい聴きますね。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. Cassandra Jenkins - "An Overview on Phenomenal Nature"

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「目を閉じて。3つ数えるね。深呼吸して...」

 心や感情のことを深く愛してる。怒りや憎しみ、希望や愛とかも、自分が持っている "感覚"のことを深く深く愛している。なぜならば、それは自分が生きていることを確立してくれるもので、私自身そのものでもあるから。ものに手を触れると、その"もの"は私に触覚の反応を返してくれる。目には光が、耳からは様々なlifeが、私に生きてることのリアリティをくれる。自分の存在が理解不可能な漠然とした何かに承認されるような、これ以上ないほどの絶対的な安心感。それは、私が思う喜びや幸せの本質な部分、自己肯定感の究極的なものだと思う。Cassandra Jenkinsの今作は、音楽のイマジネーションの世界の中で、私が愛しているその"感覚"を、それらの究極的な喜びを私にたくさんくれた。音楽性のキャラクターは例えるなら、「Destroyer + Sandro Perri (In Another Life)」みたいな状態に映画音楽系の充実性も取り入れたような感じ。音のテクスチャはとてもクリアで、メロディーはとてもメロウで、それでありがら和やかな表情を持っていて、ピュアで、とてもとてもあったかくて。インストゥルメンタル形式の環境音楽的アプローチ、オーケストレーションからエレクトロニカまで自在な引き出し、音楽の豊かさを最大限まで引き出すような表現力も神がかってたり。それらの音楽性は総合的に、私が最も親しみを感じる自然的なイメージとなって表れた。澄み渡った空のイメージ、流れ渡る風のイメージ、広大で力強い大地のイメージ、そして温もりを感じる日の光のイメージ...。風、空気、匂い、体温、ジャケットの神秘的なPurple Noonの瞬間の世界観ももちろんプラスで、それらのイメージが一つになって、私に"感覚"をくれた。もう3曲目のHard Driveでボロボロになるまで泣いた。涙が本当に止まらなくなってた。メロディーが遠くに伸びていくのに、リスナーの傍に寄り添ってくれるような距離の近さも感じさせる超絶的なニュアンス。「目を閉じて。3つ数えるね。深呼吸して...」「one, two, theree...」...もう頭がおかしくなるくらい美しい。"The mind is just hard drive."、センスがあまりにも、あまりにも神すぎてる。本当に死ぬほど尊い。この曲を聴いてずっとずっと泣いてしまったのだけど、私の心は気づかないうちに疲弊していたのかもしれない。人との出会いが制限されるような状況の中で、無意識に無理をして、知らぬ間にストレスをため込んでいたのかもしれない。この作品を鑑賞して、正直な自分と向き合った。溜め込んでいた苦しみが一気に消し飛ぶような、圧倒的な幸せを得た。『心に沁みる』、これに尽きるかなと思う。死ぬほどツボにハマる作品。外に出ることが十分にできていなかった昨今、外の世界の感覚をリアルに見せてくれた部分がめちゃめちゃ大きかったなって思う。死んだ心を蘇らせるような作品、Cassandra Jenkins本当にありがとう。

今月はThe Weather StationやKaty Kirby、私にとっての年間ベスト1位クラスの作品が何枚もリリースされててめちゃめちゃヤバかったけど、Cassandra Jenkinsの今作はそれらを包含してしまった...笑。これはちょっとやばすぎる。1曲目のMichelangeloとかそう。声質の柔らかいメロウな歌、日常に浸透していくような愛おしいビジョン...。The Weather Stationのよさ、Katy Kirbyのよさ、それぞれが持っていたよさをこの1曲目だけでゲットできてしまうなんて...笑。夕日の景観が目に映るような、ロマンチックでドラマチックなフィーリングをいっぱい堪能できて、この1曲目だけでも素晴らしかった。

5曲目のAmbiguous Norway (M5)とかも本当に本当に素晴らしい。感情に直接作用する音楽のエネルギーをより神秘的に魔法的にデザインしたような曲。Hard Driveとかそれまでの曲で感じていたアルバムの世界観・イメージに対する愛がもっともっと確固たるものにレベルアップする。Destroyer + Sandro Perriな究極的にメロウな音楽性、日常を飾る人生のサントラ的音楽性、それらにもっと神秘的に魔法的に印象付けるとか...、もう本当に好きすぎて失神しそうになる。とてつもなく素晴らしい。この世界で私が愛してるありとあらゆるものが詰め込まれてるような感じ。どう考えてもベストアルバムにならないわけがなかった。

ラストのThe Ramble (M7)も最最最高。ヘブンリーな余韻をこれでもかと言うくらいリスナーに届けてくれるフィナーレ。Hard DriveやAmbiguous Norwayで目ん玉がギタギタになっている状態で、さらにワンランク上の癒しを受け取るという。鳥達と一緒に空を飛行するサックスのメロディーが神々しく輝いてる。ほんと、Cassandra Jenkinsどこまでも素晴らしかった。

音楽が好き、というかは芸術が好き。というか、何かを鑑賞することが好き。それはすなわち、この世のありとあらゆるものに価値を見出そうとすること、人生を最高に楽しもうとすること。人間の持つ感覚は、そういった行為の原点にあたるものだと思う。私が心から憧れてるそれを、愛して止まないその感覚を、そのマインドを、Cassandra Jenkinsは「just hard drive」と呼ぶ。そう、それはただのハードドライブ...。そんな"ただのハードドライブ"のことを、私は死ぬほど愛してる。死ぬまで一生愛してる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

プレイリスト

Apple Music ↓

温の「2021年2月ベストアルバム(温)」をApple Musicで

Sportify ↓

open.spotify.com

 

 

 

その他とてもよかったもの

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Balthazar - "Sand"

Camera - "Prosthuman"

Claud - "Super Monster"

Django Django - "Glowing in the Dark"

King Gizzard & The Lizard Wizard - "L.W."

Lost Horizons - "In Quiet Moment"

Miss Grit - "Imposter - EP"

Mouse On Mars - "AAI"

Roosevelt - "Polydans"

SG Lewis - "times"

Tala Vala - "Modern Hysteric"

TV Priest - "Uppers"

 

 

「2021年1月ベストアルバムTOP10」感想

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今月はインディーロック・ポストパンクの充実度がすごかったと思う 笑。ほんとに豊作すぎてランキング作るのめちゃ迷った、未だに1を位決められてない。(TOP10の内、上位4つがもう全部1位)

2021年1月リリースの作品のベストTOP10の感想をランキングで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10. CARM - "CARM"

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Sufjan StevensとBon Iverのジャンクション

 サックスならColin StetsonJenny HollingworthクラリネットならAnna Meredith、Emily Cross、管楽器奏者で大好きなアーティスト、CARMのトランペットのキャラクターもめちゃいいなと思った。透明感のある清純派ポストクラシカル(Soft Night (M2))、ワイルドな雰囲気が漂うウエスタン音楽(Nowhere (M3))、そしてYo La Tengoを採用したStereolab的90sエクスペリメンタルポップ(Already Gone (M4))、さらにはガノン戦BGMみたいな神々しい恐ろしさがあるエレクトロニカ(After Hours (M5))笑...。環境音楽のような伴奏系のアプローチから、主旋律を奏でるメインパートまで、温かいメロディーもクールなメロディーもトランペットで縦横無尽に歌いまくってる。トランペットっていう共通項はあるけど、全体で見るとかなり異質なコンピになってる感じなのもユニークで楽しい。個人的には、透き通っている綺麗な音色からバチバチにかっこいいフレーズまで、アルバムの中で表情が異なるギャップをいくつも持ってるようスキルフルなところがとてもよかったなと思う。

今作がマジでヤバいなと思ったところは、Sufjan StevensとBon IverがCARMを通じて一つのアルバムに集結しているというところ...!!笑。私はSigur RósとかSufjan StevenやBon Iverのようなアーティストが1番大好きなのだけど、私にとってその内の神のアーティスト2人、今まで共演することのなかったようなスフィアンとバーノン氏が、冒頭とラストにそれぞれガッツリ入ってる。この存在がかなり大きい!笑。センセーショナルな美しさ、心満たされまくるハーモニー、Song of Trouble (feat. Sufjan Stevens)もLand (feat. Justin Vernon)も尋常じゃないくらい大好き。この2曲が聴けるってだけでもう「CARM最高です!!泣」ってなる 笑。ほんと、ありがとうございます<(_ _)>

私オーケストラやってたのだけど、トランペットって小さい音量で吹くの難しいよって友達が言ってた。それでいうとCARMのトランペットって優しい音色・ダイナミクスが本当に丁寧。トランペットの友達に聞かせてみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9. The Notwost - "Vertigo Days"

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安心感のあるベテランバンドの名曲

 ダーク&ミステリアスな催眠性を常に所持しているようなオルタナティブロックの作品。The Flaming Lipsのエクスペリメンタル(e.g. The Terror)のような不可解な部分が多いのだけど、グルーヴィーで楽しいロックだったり、安心感の強いインディーフォークだったり、ベテランバンドの風格がめちゃ出てるような良作だった。代表的なところだと、2曲目のInto Love / Starsから4曲目のWhere You Find Meまでの流れとか。ジャケットみたいに ぼんやり輝くサウンドにうっとり魅了されてたら、突然音楽がめちゃ動き出して置いてけぼりになりそうになったり。サイケデリアな快感とアップテンポのドキドキが入り混じるような格別の味わい。そのままリードトラックのExit Strategy To Myself (M3)に突入して、本格的にロックへ変化していく。最高にグルーヴィーだし、ニューゲイザー・ポストロックのようなダーク&ミステリアスのオーラを放ってて抜群にカッコいい。そこからさらにWhere You Find Me (M4)の優しくハッピーな曲がやってきて、リスナーの信頼を取り戻していく 笑。心満たされるようなバラードで、The Notwist特有の催眠的でエクスペリメンタルな音楽性が可愛らしく表現されてる感じ。この2曲目から4曲目までの流れが本当におもしろくてすごく大好きだった。その後のShipも謎の日本語パートがあって楽しかった 笑。

今作は先行曲のSans Soleil (M10)もとてもよかった。今作で1番安心感の強いナンバーな感じ、フルートの可憐なサウンドがポツポツと音を立てる描写がとても愛おしいし、心を解放するような聖なるフィーリングも素晴らしい。もともとThe Notwistってエクスペリメンタルみが強いバンドかと思うけど、この曲はとても分かりやすい最高さがあると思う。ベテランバンドの間違いない名曲。流石のよさだった。

他にも、ドラムがバチバチに活躍してるタイプのロックのAl Sur (M13)とかもよかった。こちらはどことなくDeradoorianみたいなマジカルで謎めいたサウンドがめっちゃふわふわしてる 笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8. Goat Girl - "On All Fours"

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魔女感が出てきた

 魅惑的な音を奏でまくるゆったり系のポストパンク。前作ST (2018)のノイジーでギラギラしていたロックよりもずっと のんびりしてて、スペーシーで少し不気味なニューウェーブ・シンセポップのアプローチが多用されてる感じ。メロディーに不思議な魔力が込められてるみたいなロックに仕上がっててこっちの作品もすごくよかった。例えば3曲目のJazz (In the Supermarket)、脳内を直接刺激するようなゆらゆらのシンセサウンドとかとてもマジカルなやつ。後半のギターロックのパートもワルツのまろやかなグルーヴが利いてて洗脳されそうになる魅力があったり。穏やかな曲調の中で実はアツさを持ってるようなOnce Again (M4)とかもマジカルなエネルギーが高くてすごく最高だった。どの曲もジャケットに表れてるようなハロウィン系の世界観とよくマッチしてる。シンプルなロックで勝負しても全然負けないP.T.S.Tea I (M5)とかThe Crack (M7)とかもめちゃよかった。

今作は、8曲目Closing Inからの後半パートが本当に素晴らしかったと思う。シンセポップのハッピーな表情が強くなったり、メロディーの魔力も浸透性を高めたり、彼女達が求めてる音楽の楽園にどんどん接近していくみたいなのを感じる。私的には特に、極上のゆったりメロディーが炸裂してるAnxiety Feels (M9)とか本当に大好きすぎる。Goat Girlが持ってるサウスロンドンのホットなインディーズロックってイメージとはまた違う雰囲気があるバラード。魅惑的で濃厚だったそれまでの音楽よりもすっきりした心地よさが本当にたまらない。また逆に、濃厚で凄まじい輝き方をするシンセサウンドを強化させまくったようなWhere Do We Go? (M12)とかも大好き。ハロウィンみたいな世界観のジャケット然り、今作は全体的に魔女感がよく出てる作品だと思ったけど、このWhere Do We Go?のシンセの輝き方が1番魔女感あった気がする 笑。

初めてジャケを見たときから、「今作のハロウィン感やばいな」ってずっと思ってた 笑。実際、Goat Girlってキッズのホラーコミックの影響をよく受けてるんだね(知らなかった)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7. Subsonic Eye - "Nation of Things"

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サラダ食べてるみたい

 シャキシャキしててヘルシーなインディーロック。Camp Cope、Pinegrove、またはHomecomings、心に沁みる効果が強いクリーントーンのギターが特徴的なやつ。それらのバンド同様にセンチメンタルな愛おしいロックを奏でてて大好きが確定してた。中でもSubsonic Eyeのギターのシャキシャキ感のよさはトップクラスだと思う 笑。Cabin Fever (M2)とかAniminimism (M4)とか、和音を奏でたときに丁度いいざらつき感・ノイズのフレッシュな余韻を残す感じ。ほんのちょっぴりドリーミーで、どことなくローファイっぽくて、それでも唯一無二の新しい音がしてる。Further (M5)などの勢いの強いロックだとより尚歯切れがよかったり。まるでサラダ食べてるみたいに健康的なシャキシャキ感ですごく美味しかった 笑。

曲でいうと3曲目のFruitcakeとか本当にヤバい。Subsonic Eyeの最高にヘルシーなサウンドをいっぱい魅せつつ、突き抜けるように気持ちいいスピード感がある。空気の美味しい山道を窓を開けてドライブしてるときのようなフィーリング。開放的だし、ボーカルもめちゃかっこよくて最高にノリノリになれる。めちゃ名曲だと思う。

社会問題、精神的な病み、ロックってもともとは何かに対しての強い反抗心から生まれたものだと思う。そこからサウンドメイキングがより多様になって、エレクトロニックの自由度も発達して、オルタナティブロックという概念が根付いて。でもSubsonic Eyeのロックって本当にさっぱりしてて、エスケイピズムが強かったりということもあんまり感じず、シャキシャキしたギターの健康的なサウンドで溢れてる。もうロックが本質的に持ってた社会的な態度とか何だっけ?ってなるくらい 笑。アジアのバンドは引き出しが全然ないので、大好きなやつ新しく知れてよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6. Midnight Sister - "Painting the Roses"

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~ご機嫌まろやか月曜日~

 70年代のグラムロックバロックポップの世界で完璧に固められたようなジャンル物の作品。当時のディスコルーム・ダンスパーティーにリスナーをワープさせるようなトリップ度が本当に高くて、Aldous HardingやWeyes Bloodに通じるようなクラシカルで大人の気品のよさが最強に表れてる。そこには、何十年も昔のディズニー映画を鑑賞してるときのような懐かしさたっぷりの感覚とか、それらの特殊なときめきなどもあったり。Foxes (M3)、Escalators (M5)、My Elevator Song (M8)...。1曲1曲の中に古き良き時代の風情が保存されてて、胸がいっぱいになるようなドラマとロマンスを堪能できる。サイケデリック、ローファイ、オーケストレーションサウンド一つ一つが本当にレトロチック。こだわりぬかれてる世界観ですごく完成されてた。

今作は全体的にめちゃいい曲ばかりだったけど、1番やばいなって思ったのは9曲目のWednesday Baby。メリーメローマンデー(ご機嫌まろやか月曜日 笑)とか、フリーフィーリーフライデー(自由で気持ちいい金曜日)とか、言葉遊びを入れながら毎日のことを愛おしく綴ってるナンバー。胸がいっぱいになるようなドラマとロマンスで溢れてる今作の中でも、心が1番最強の満たされ方をする曲だと思う。ほんと、バロックポップならではの軽やかで親しみやすいフィーリングが最大に表れてる。MVに流れてるゆったりとしたリズムも大好き。この曲は本当に傑作だなと思った。

Midnight Sister、8曲目のMy Elevator Songも大好きだったな...。白黒のクラシック映画をそのまま音楽化したようなやつ。背筋が凍る本気のホラーとか、クラリネットの能天気なムードとか、1曲の中に色々なシーンを含んでる感じ。ストーリーすごく豊かだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5. Pom Poko - "Cheater"

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一見するとふざけてるけど、実はとても健全

 トリッキーでぶっ飛んでるみたいなガレージロック・マスロックのめちゃくちゃ楽しいやつ 笑。サウンド自体はチープでコンパクトなサイズに収まってるけど、そこから巨大化してド派手に散ったり、急に感情を爆発させたり、または唐突にセンチメンタルで癒し的なフレーズを差し込んだり...。情緒不安定でハラハラが止まらないような最高のおもしろさがある作品だと思う。ハチャメチャな部分が多すぎて身体がバラバラになるようなエモさがあるCheater (M1)、一転してセンチメンタルさを醸し出してわけも分からず涙が誘われてしまうAndrew (M3)...。モチベーションの高いロックなのに、ゆるキャラみたいに愛らしい側面も持っていて感情が揺さぶられまくる。Danger Baby (M5)とか胸キュンがバーストするようなめちゃくちゃチャーミングなメロディーもあったり。ボーカルのキャラのJoanna Newsom特性が高いのだけど、見方次第では「Joanna Newsomがぶっ飛んでるロックやる」みたいにも捉えられるから本当に楽しい 笑。去年のMamalarkyにも通じるようなハピネスが強くてとてもツボだった。

今作で素晴らしいと思ったところは、「一見するとめちゃふざけてるけど、自分の幸せには正直で、ピュアで、実はとても健全」みたいな態度を音楽から感じるところ 笑。My Candidacy (M4)とかBaroque Denial (M8)とか、ギターがギュイーンギュイーンって飛び回ったり、無秩序で騒々しい部分が目立つけど、全体的に見るとやっぱりロックの芯をバンドとしてしっかり持っていて、音楽自体はとても丁寧に響いてると思う。Baroque Denial (M8)とかまさにそんな感じ、ぶっ飛んでるロックと癒し的なフレーズ、Pom Pokoという1つのキャラクターとして成り立ってる統一性が感じられる。そういう風な音楽の聴きやさとかも最大の魅力だったと思う。

今作はどちらかといえばジャケットが好きではなく、メディアに取りあげられる前は完全にスルーしてたけど、内容はもうそれはそれはよかった...。ハチャメチャで無器用だからこそ表現される絶大なピュアネス。こういうバンド本当に大好き。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4. Arlo Parks - "Collapsed in Sunbeams"

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「誰にでも傷はある。辛いのは分かるよ。」

 ナイトカフェで流れるようなしっとり系のネオソウル。レゲエやジャズの音楽性をキラキラのシティポップ風に、またはIn Rainbowsのオルタネイティブロック(Caroline (M5)、Eugene (M10))みたいにアレンジしてて、スムースリーで最高に素敵な作品に仕上がってた。Black Dog (M6)、Green Eyes (M7)、Bluish (M11)...、人肌恋しさが掻き立てられるようなメランコリックさ、でも同時に満たされるようなハートウォーミングの作用も強力で...。夜の都会を一人徘徊しながら聴いたら最高にエモくなりそうな曲の数々。Green Eyesとかドリーミーみがめっちゃ濃くて感情がやばくなる、本当にたまらない。歌声がSoccer Mommyっぽいクリアな美しさを持ってるところが音楽に本当によく似合ってる。

今作で頭おかしくなるくらい心打たれたのが、4曲目のHope。リスナーを慰めてくれるようなコンテンポラリージャズ系のピアノがめちゃ特徴的で、心の緊張が解けていくような最高に心地いいムードを持ってる曲。そういう穏やかな音楽の中で、「あなたが思ってるみたいに、あなたは一人じゃなよ」ってストレートにリスナーを励ましてくれる。これが本当に胸に響いてやばい。「We all have scar, I know it's hard」、リスナーに思いが届いて、心にタッチするようなリアルな温もり。実際に傷ついてるときとか、なんとなく寂しいときとかに聴いたら、涙腺がいかれてしまうくらい泣いてしまうかもしれない。今作のハイライトになるようなとても最高の名曲だった。

Arlo Parksってアルバム出す前からすごく注目されてて、聴く前からハードルが高かったと思う。個人的には、それでも易々と最高レベルを叩き出してるような素晴らしさ。弾き語りとか、特殊な編成のない素朴な演奏形態でいくらでも名曲を量産できてしまうようなハイセンス。ClairoのBagsとか、カバーのチョイスもめちゃめちゃ最高だった 笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. Yung - "Ongoing Dispute"

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いつも最高の瞬間を求めてる

 エモーショナルなギターの轟音を巧みに鳴らすようなポストパンク系統の正統派ロック。1曲目のAutobiograhyを聴いて死ぬほど感動した。打ち付けるようにして全身全霊で音を鳴らすロックの最高の瞬間。何かを強く求めるようにして、その瞬間だけ完璧にハイになる。感情を燃やすこと、それは命を燃やすこと。ロックという名のエレキギターのアート。過去も未来も一切考えず、かけがえのない今この瞬間、この時だけにフォーカスして夢中になる。4分の曲の中、数十秒くらいの一瞬だけでいい、その瞬間だけでいい。その瞬間を永遠に求めてる。もうたまらなく大好き...。まるで私が心から憧れてるロックのその本質・概念を忠実に完璧に体現したような音楽。虜になりすぎて、リピートが止まらなくなる。本当に素晴らしかった。

80sポストパンクの少し憂鬱な雰囲気、シューゲイザー的な白熱、青春を感じさせるようなストレートさ、Yungの今作は本当にめちゃめちゃかっこいい作品だった。神 of 神なリードトラックAutobiograhy (M1)以外にも素晴らしい曲がたくさん。例えば4曲目のDismantled (M4)、轟音を鳴らす激しいエモーションとは対比的なセンチメンタルな情景を見せてくれる曲。豪雨が止むように音楽の湿度が一気に変わっていく場面転換の演出みたいなのが見事だと思う。ただアツいだけじゃなく、ロックを演奏するための葛藤・モチベーションがよく見えるようなグッとくる感動がある。Unresolver (M8)も同様に最高。全身を使ってストロークするようなギターの力技パートに心打たれまくるクライマックスがある曲。ほんと、歯を食いしばるように力を込めてるのが痛いほど伝わってくる。音楽に込めたその熱量が美しくドリーミーに響くのがやばすぎる。ただでさえAutobiograhyがめちゃめちゃ神曲なのに、それと同レベルに傑作な曲を収録してるとか本当にすごい。Yung大好きすぎる、もっと有名になってほしい。

「今を生きる」とか、本でもテレビでもよく耳にするフレーズだけど、それって本当に難しいことだと思う。過去に思い浸ったたり、傷ついたり、未来に希望を抱いたり、妄想したり、絶望を感じたり...。そういうことに囚われず、今この瞬間だけを生きる~なんて、よほどの集中力がないとできないと思う。だからこそ、Yungが今作(Autobiograhyとか)で提示したような、ロックの"最高の瞬間"のこと心から愛してる。その瞬間だけ完璧にハイになるような、命を燃やすロックのその瞬間を心から愛してる。Yungもっと有名になってほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. The Big Net - "In the Service of Song"

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リスナーのことをいっぱい愛してくれる

 心に平穏をもたらしまくるような90s属性のインディーロック。寄り添ってくれるように優しくて、ギュッと抱きしめてくれるように温かくて、天国へ導かれるみたいに満たされる。私の人生ベストアーティストのYo La TengoとかSlowdiveの血を受け継いでるようなバンドの一つ。もう大好きが止まらない、こんな作品、ベストアルバムにならないわけがない。Never Knew Blue (M1)、Keep (M2)、Cowboy (M3)、Kevin's Shield (M6)...。ポカポカになって暖まるソフトな轟音の癒しがあって、心をかき乱すような愛おしさがあって、エスケイピズムが最強に濃くて。他にも、脳内麻薬を分泌するようなローファイのノイズ(Beauty Bomb (M5))、美しい光景を映し出すギターのアルペジオ、心くすぐるカントリー系のスライドギター、ハイトーンでたまらなく上品なウィスパーボイス...。心惹かれる大好きなポイントが詰まりまくってる。アートワークもめちゃめちゃ好み。超最高なアルバムだった。

代表的に大好きなのがやっぱり7曲目のIt's Not There。心に沁みる切ない風情、美しい物語への想像。メロディーがリフレインしながら、感情が高まるようにシューゲイザーへの発展も見せたり。なんて素晴らしいんだろう。。。ほんと、息もできなくなるくらい猛烈に惹かれていく。ビブラフォンのような高音のかけらとか、サウンドメイキングもとてもユニーク。この曲にThe Big Netの大好きさが凝縮されてる 笑。今作最高のリードトラックだと思った。

音楽鑑賞はある種の感情体験であり、アーティストとリスナーとの共振でもあり、同時に音楽に込められた思いをリスナーが受け取る行為でもあると思う。だから、アーティストはリスナーに愛を与えることができるし、言え換えれば、リスナーはアーティストに愛してもらう感覚を得ることができるのだと思う。The Big Netの今作は、それで言うとリスナーにたくさんの愛を与えてくれる作品。リスナーのことをいっぱい愛してくれる作品。それはときに、自分自身を大切にすることを自分自身が許可するためのとても大きなきっかけになる。そういう音楽の喜びって本当に本当に素晴らしいと思う。The Big Netマジでよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. Shame - "Drunk Tank Pink"

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揺るぎない自信、余裕のあるフルパフォーマンス

 挑発的でアグレッシブなShameのポストパンク。今作はその攻めのスタンスがもっと前面に出てるような激しい作風の感じ、リスナーを駆り立てるようなアツさがヤバくて本当に最高な作品だなと思った。ハイペースなビートを力強く叩き込んでリスナーをこれでもかと興奮させるようなAlphabet (M1)、ありのままにストレートにエモーションをぶつけることを洗練させたWater in the Wall (M5)、電撃が走るようなエッジの強いギターが本当に超かっこいいGreat Dog (M8)...。ただひたすらに反抗的で挑発的なのではなく、音楽のそのアグレッシブさを丁寧に見せるような完成度の高さがある。特にリードトラックのWater in the Wallとかほんとに名曲、特別なことをしない基本的な構成の中でShameらしさが全開でパフォーマンスされてる感じ。Nigel Hitter (M2)にも表れてるような生意気でお調子者のShameらしいキャラのよさが抜群でめちゃめちゃテンション上がる 笑。2010年代の後半からイギリスのインディーズでホットなバンドたくさん出てると思うけど、このWater in the Wallで完璧に表現されてるようなShameのアグレッシブなキャラは唯一無二のよさだと思う。全曲がすごくいい、前作より大好きだった。

アグレッシブさを丁寧に見せるというところ、特に今作はMarch Day (M4)とかSnow Day (M6)とか1/6 (M9)みたいなギターとドラムが高速で交錯するアンサンブルのやつもやばかった。刻みの細かいエネルギッシュなドラムにギターの音粒が綺麗にヒットしまくるような感じ、音楽の攻撃的な部分をスタイリッシュに見せるようなテクニック。Shameってこんなに器用なの?!って最初めちゃびっくりした 笑。そういう曲の激しさとスマートさのバランスの感じも今作の魅力的なところだったと思う。中でもSnow Dayみたいな闇闇しい曲調の中の16ビートのドラムワークはカッコよすぎてベタベタに惚れた、、、笑。

そして今作で絶対に絶対に見逃せない部分が、3曲目のBorn in Luton。一般的なポストパンクには考えられないようなゾッとする恐怖がある、迫力がある、そして身体が焼き焦げるような強烈な精神的苦痛がある。反抗的で挑発的なShameの精神の裏に潜在するダークネス。それはまるで、誰かに助けを求めるような音楽の悲痛の叫び。クライマックスのところでベースがもっとヘヴィーになるところとかやばくて、何度聴いても鳥肌が止まらない。本当に本当に素晴らしい曲だった。

容赦なく不満を爆発させたようなIceageの1stアルバム、吐き気を催すほど不健康に暴れ狂ったようなMETZの1stアルバム、限界を目指して本気でロックンロールに打ち込んだ去年のMourn...、リミッターを解除して全力を出し切ったロックの名作の中でも、今作のShameには余裕があって、自信があって、もっと調子に乗ってた感じがした(超褒めてる)。それこそ真のShameの姿だと思う。今作は完成度がとても高かった。ほんと、前半5曲までの流れが最高すぎてる...笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

プレイリスト(Spotify

open.spotify.com

 

プレイリスト(Apple Music)

温の「2021年1月ベストアルバム(温)」をApple Musicで

 

 

その他 とてもよかったもの

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Beautify Junkyards - "Cosmorama"

Bicep - "Isles"

Buck Meek - "Two Saviors"

Casper Clausen - "Better Way"

Codist - "A Dream Is Just a Big Thought"

Elori Saxl - "The Blue of Distance"

Lande Hekt - "Going to Hell"

Robbie & Mona - "EW"

Venus Ex Machina - "Lux"

Weezer - "OK Human"

 

 

 

2月はもうほとんどベストアルバム決まってる 笑

(Puma Blueとか...Julien Bakerとか...Julien Bakerとか...)

 

2020年音楽まとめ

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2020年ベストアルバムはここ!!

 

2020年下半期の記録とベストアルバムのところには書けなかったこと

 

 

 

 目次

 

 

 

 

 

 

 

月間ベストアルバム(2020年下半期)

感想一覧 → https://t.co/LYM4yaLf2g?amp=1

(上半期↓)

worried10fire.hatenablog.com

 

7月ベストアルバム

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10. E^ST - "I'M DOING IT"

9. Cloud Nothings - "The Black Hole Understands"

8. Thanya Iyer - "KIND"

7. Secret Drum Band - "Chuva"

6. Nicolas Jaar - "Telas"

5. Trevor Powers - "Capricorn"

4. Fontaines D.C. - "A Hero's Death"

3. Julianna Barwick - "Healing Is A Miracle"

2. Lianne La Havas - "Lianne La Haves"

1. Crack Cloud - "Pain Olympics"

 

8月ベストアルバム

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10. Disclosure - "ENERGEY"

9. Bully - "SUGAREGG"

8. Drugs - "Episodic"

7. Katya Yonder - "Multiply Intentions"

6. JOBS - "endless birthdays"

5. Siv Jakobsen - "A Temporary Soothing"

4. Young Jesus - "Welcome To Conceptual Beach"

3. Angel Olsen - "Whole New Mess"

2. Keely Lee Owens - "Inner Song"

1. The Microphones - "Microphones In 2020"

 

9月ベストアルバム

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10. The Flaming Lips - "American Head"

9. Devi McCallion & Katie Dey - "Magic Fire Brain"

8. Osees - "Protean Threat"

7. Deradoorian - "Find the Sun"

6. Shabason, Krgovich & Harris - "Philadelphia (feat. Joseph Shabason, Chris Harris & Nicholas Krgovich)"

5. Sault - "Untitled (Rise)"

4. Fenne Lily - "BREACH"

3. Fleet Foxes - "Shore"

2. Lomelda - "Hannah"

1. Sufjan Stevens - "The Ascension"

 

10月ベストアルバム

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10. Rian Treanor - "File Under UK Metaplasm"

9. Actress - "Karma & Desire"

8. Bartees Strange - "Live Forever"

7. Helena Deland - "Someone Now"

6. Knox Fortune - "Stock Child Wonder"

 5. Mourn - "Self Worth"

4. Pet Shimmers - "Trash Earthers"

3. Loma - "Don't Shy Away"

2. Adrianne Lenker - "songs / instrumentals"

1. Jónsi - "Shiver"

 

11月ベストアルバム

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10. Woodes - "Crystal Ball"

9. Tom Vek - "New Symbols"

8. Emily A. Sprague - "Hill, Flower, Fog"

7. Kevin & The Bikes - "Ironic Songs"

6. ROBERT HOOD - "Mirror Man"

5. Elskavon & John Hayes - "Du Nord"

4. Dirty Projectors - "5EPs"

3. Cuushe - "Waken"

2. Hypoluxo - "Hypoluxo"

1. Mamalarky - "Mamalarky"

 

12月ベストアルバム

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10. Godblesscomputers - "The Island"

9. AADJA - "Thought Dealer"

8. Son Lux - "Tomorrows II"

7. 青葉市子 - "アダンの風"

6. Jordana - "Something To Say To You"

5. Alaska Reid - "Big Bunny"

4. Taylor Swift - "evermore"

3. Ed The Dog - "Untitled.Crashed.Crashed.Crashed"

2. Salami Rose Joe Louis - "Chapters of Zdenka"

1. The Avalanches - "We Will Always Love You"

 

その他ベストアルバム

 

worried10fire.hatenablog.com

 

 

 

 

 

2020年はどんな年だった?

集団療法 "Group Therapy"

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 ライブアルバム、カバーアルバム、チャリティーの作品が数多くリリースされた2020年、その中で特にGroup Therapyが印象的だった。Porridge Radio、Happyness、Pet Shimmers、Sorry、今年話題のインディーズバンドを始めとする総勢60組くらいのアーティスト達によるライブ音源・デモ・リミックス・カバーのコンピレーションのやつ、5時間以上もあって本当に莫大なスケール...!好きなアーティストのボーナストラック集みたいなよさもあったし、知らないバンドがいっぱいで新しい音楽を探すのにもとても便利なツールになってたと思う。パンデミック期間の音楽業界を支えるためのキャンペーン作品だけど、パンデミックだからこそ出会えたスペシャルな作品だったと思う。"集団療法"ってタイトルもすごく好き。インディーロック勢だけでなくエレクトロニカ・クラブミュージック界隈のアーティストの曲もすごくよかった。

 

 

 

 

 

Radioheadラッシュ

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 代表的なところだとLianne La HavasとKelly Lee OwensのWeird Fishes/Arpeggi、そしてDeath Cab For CutieのBen Gibbardのデイリーライブで演奏されたFake Plastic Trees、あとはBBCのPhoe Bridgers(×Arlo Parks)のFake Plastic Trees...。2020年のRadioheadのカバーラッシュ、どれもRadioheadの曲のキャラクターが各アーティストのキャラクターにトランスフォームされてる感じで本当に面白かった。その中でも特にやばいなと思ったのがRosie CarneyのThe Bendsカバー。Planet TelexからStreet Spirit (Fade Out)までThe Bendsの全12曲をまるまるカバーするマジのThe Bendsカバー。最初「そこまでやる!?」って思った 笑。実際に聴いてみると流石はRosie Carney、Radioheadのロックも子守歌レベルで癒し的に変換されててやばい。High And Dryとか落ち着いてるテイストの曲はさらにドリーミー味が濃厚になってたり。それぞれの曲にしっかり思い入れを感じるような仕上がりで、23歳のRosieが持つRadiohead並びにそれらの90年代のインディーズシーンに対してのリスペクトが伝わってくる。私も90年代はGastr Del Solのポストロックとか本当に憧れを強く持ってるし、そういうのすごくいいなぁと思う。とても傑作だと思うのだけど、よく考えたらこれRadioheadのもともとの素材が最高なんだよな...って思った 笑。前作Bare (2019)とか本当によかったし、是非是非フルレングスのアルバムまた作ってほしい。

 

 

 

 

涙の延期

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 新譜のリリースがたくさん延期になってしまった2020年、それでも007とかブラックウィドウの映画みたいに1年規模の延期になる作品がなかったのは大変ありがたかった。。。Laura Marlingとかはリリース時期が春から夏に遅れて、音楽がよりぴったりハマるタイミングにずれるみたいなパターンもあったと思うし。だけどTV Priestのリリースが2021年に延期なったのはウルトラスーパーハイパー残念だった、、、泣。次世代ポストパンク界隈の中でもメキメキ頭角を現してるみたいなやつ。リードトラックしか聴けてないけど、どの曲もアグレッシブながらスマートで最高に素晴らしい。低音の分厚さとかサウンドのテクスチャも逸品。フルで聴けるようになるのが本当にめちゃめちゃ待ち遠しい。陽性者減らないし、2021年もまだまだ怪しいけど、欲求不満でストレスになるからなるべく早くサブスク解禁されてほしい 笑。

 

 

 

 

 

2020年ベストMV TOP5 

5. Yellow Days - "Love Is Everywhere"

 昔のジャズ・フュージョンとかサイケロックとかの時代のメモリーへアクセスするようなビデオ。写真に写る人それぞれに人生がある、ストーリーがある。そしてそれらのいたるところにLoveがある...めちゃめちゃ素敵だと思う。

 

 

4. Jordana - "I Guess This Is Life"

 ホームパーティーやってるところを外から通り過ぎるときのあの感情、何気ない日常の中で言葉にできないフィーリング(I couldn't tell you in words how I'm feeling)の瞬間がある。それは少し切なくて、でも満たされてるところもあって。そういう愛おしい瞬間のことを「I guess this is life」という言葉で染めるJordanaは本当にやばいと思う。

 

 

3. Lianne La Havas - "Can't Fight"

 こういう精神の根っこからハピネスが強い人、本当に心から尊敬してる。おちゃめな描写もギター弾いてるところも人間が最高に輝いて見える。最後お辞儀するところがめちゃめちゃ好きで本当にたまらない。

 

 

2. Kevin Morby - "Campfire"

 ベストインディーズカップルのイチャイチャ動画。大好きと大好きが累積されて身体が爆発しそうになる。

 

 

1. The Beths - "Dying To Believe"

 メンバーが楽しそうに演奏してるMVはどれも間違いなく最高かなと思うけど、私の中でこれは特にトップクラス。「曲にベースソロとか必要ないから」みたいなエリザベスのテキトーな感じの人柄がよく表れてて本当に大好きすぎる 笑。あとベーシストコピーのクオリティも高すぎて超びっくりした。

 

 

 

 

その他 私の中で話題になった作品

Car Seat Headrest - "Making A Door Less Open"

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 サブスク、CD、レコード、それぞれで収録されてる曲目が違うとかいうやばい作品。「レコードを買うと全てのバージョンのデジタルアルバムが手に入るけど?」「じゃあ買えばいいんでしょ~はい分かりました~」ってレコード買ってた 笑。自分の作品をプロデュースする作戦的には全然いいと思うのだけどさ、同じ曲でも違いがまるで分からないけど、、、??笑。もうちょっと分かりやすく違うテイストにしてほしかったな...笑。だけどサブスクとアナログの対立(?)みたいな現代の中で見ると、媒体それぞれに異なる価値を付けるような試みはとても新鮮だったかなと思う。そういう点で今年すごく印象的な作品だった。

 内容的にもとてもよかった。ウィル君が思う自分なりのロックのヒーローを目指してるようなオルタネイティブロックのかっこよさ。Can't Cool Me Downとか全体的にクールな印象が目立つ感じ。もともとCar Seat Headrestって名前通り車の中で曲考えてたくらいには宅録に根付いてるアーティストだと思うのだけど、そういう人物がもっとバンドを組む喜びとか、ステージで演奏する喜びとかを知るようになって、まるでロックスターのような大きな存在を夢見てるようなワクワク感に近いものを感じる。ガスマスクなアイコンが特徴的なアーティスト写真とかも本当にかっこよかった。

 

 

 

 

 

あとがき

来年は2021年、、何かの手違いでDaft Punkが新譜出したりしないかな~~~(しないかな~~~)

 

 

 

 

「2020年下半期『月間ベストアルバムTOP10』から漏れてしまったベストアルバムTOP10」感想

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毎月大爆笑しながら月間ベストアルバム作ってるけど、しばらくしてから「なんでこれベストアルバムに入ってないの...(TT)(TT)(TT)」というアルバム見つけるとめちゃ悲しくなる、、、笑。私の中でベストアルバムなのにベストアルバムじゃないみたいになってしまったやつ。(ランキング作りの運命なのかもしれないけど...。)悔しすぎるのでそんな漏れ&逃がしのアルバム10枚の感想を順不同で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10. Another Sky - "I Slept On The Floor" (8月)

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ライブ映え(大きなステージで観たい...!)

 サウンドが広域に響き渡るような果てしなさがある系のオルタネイティブロック。スタジオ、ライブハウスよりももっと大きい音空間を生成する拡張性があって、めちゃめちゃライブ映えしてるバンドだと思う。もともと私はThe Nationalとか、そのギタリストのAaron DessnerがプロデュースするLocal Natives (Hummingbird ← 人生ベスト級に大・大・大好き)のような、クリーンで開放的な音を鳴らすバンドがとてもツボなのだけど、Another Skyもめちゃめちゃそうだった。(私の中では「二代目Local Natives」みたいな位置づけ)。しかもAnother Skyはそれにプラスで、アートロック系のクールでダークなパワー・かっこよさがある。ここが本当にずるいと思う...笑。なんといってもオペラ属性の高いCatrin Vincentのボーカル、通常のオルタネイティブロックの雰囲気とは反するような雅やかで高貴なキャラクターがアートロックっぽさをより強調してる。拡張性のあるクリーンな開放感の快感も、そのオペラ属性ボーカルで高められる。とても贅沢なスキルでめちゃ魅力的だと思う。

1番好きなのはやっぱり5曲目のThe Cracks。この曲が本当に本当にたまらない。ボーカルのオペラ属性のキャラクターを活かしまくって、大迫力のステージ・アリーナライブを繰り広げるようなスケールを感じさせる曲。それぞれのパートがシューゲイザーへ発展しそうなほど全力で鳴らされてて、本当にめちゃめちゃダイナミック。もうとにかくこの曲のライブが観たい...!この曲のライブをフェスの大ステージとかで堪能したい。観客がワァって沸くのが本当によく想像できる。だから、早くビッグな存在になってほしい 笑。(もっと売れてほしい)

2020年はライブが恋しすぎて死にそうになる年だったと思う。(私が最後に観たのは2月のJay SomとHomecomings)。だから、アリーナ系ライブの音響を感じさせるAnother Skyの音源は異常に刺さった気がする。Slowdive的な深いブルーを纏う残響のAll Ends (M11)とかもめちゃよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9. Samia - "The Baby" (8月)

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2020年代ポップカルチャーのヒントになりそう

 2017年だとSoccer MommyのClean、2018年だとSnail MailのLush、去年ならClairoのImmunityとかStella DonnellyのBeware Of The Dogs......ロックバンド形態のインディーポップのやつで2020年のアーティストを選ぶなら、私的にはSamiaが有力かなと思った。ポップスとしてのメロディックなよさはもちろん、伸びやかな歌が特徴的なとても丁寧な曲が多くて、Samiaと同じZ世代のポップ好きだけでなく、もっと幅広い層にも人気を得そうな感じ。開放的なフィーリングを高めるストレートなポップのFit N Full (M2)、ハイトーンボイスや轟音ギターなども最高でたまらないTriptych (M6)、あとは胸が苦しくなりすぎるほど儚くて切ないタイプのWaverly (M8)...。ノリのよい明るいフィーリング以外にも、80年代系ポップソングのロマンスもあったりしてとてもエモーショナル。個人的に1番のお気に入りが5曲目のStellateなのだけど、Samiaはバラードも本当に最強だと思う。心満たされるアルペジオのフレーズ、ボーカルのパートが本当に愛おしくて、聴いた後もメロディーがずっと心の中に残る。SofieとかSad13とか、2020年の今年も色々なインディーポップが活躍してたけど、私はSamiaが1番好きだった。

インターネットが普及しまくって、サブスクリプションがもっと発達して、単曲だけで気軽に楽しむポップソングがより力を付けてきた気がする。そういう意味で2010年代はポピュラー音楽の盛んな時代だったのかも。2020年代のカルチャーもとても楽しみで気になるのだけど、Samiaのようなシンプルで丁寧なポップソングがこれから普及していくのかな、とか思ったり。エレクトロニカ技術で派手に装飾しまくるポップソングが逆転されていくのだとしたらかなり面白そう。Samiaすごく好きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8. I Love Your Lifestyle - "No Driver" (10月)

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ありったけのエネルギーを込めてストレートに愛を伝える

 「あのとき、どうして僕をフェイスブックに追加したの?」(Nice Jacket, Yet)、心臓が潰れてしまいそうになるくらい愛おしいエモを奏でる "I Love Your Lifestyle" (『あなたの生き方が大好き』) の3rdアルバムは、爆音をぶつけるような激しいエモの1stアルバムWe Go Way Back (2016)と、エモの中でもセンチメンタル性も磨いた2ndアルバムThe Movie (2019)のいいところどり取りな最適解...!抑えきれない思いを爆裂させるパワフルさも、センチメンタルでメロディックな安定感も、どちらもちょうどよく取り入れてある感じで、I Love Your Lifestyleのよさが凝縮されてる作品だと思う。Stupid (M1)からいきなりめちゃめちゃ最高。ハングリーにガツガツに突き進んでいく熱量の高いエモ。CHONとかPolyphia風のイケメンなマスロックギターも決めたり、リスナーを興奮させるシンガロング的なパートも含んでいるのに、愛おしさを引き立てまくるメロディー1つ1つのピュアネスは全くブレてない...。こういう曲みたいに、エネルギーをありったけ込めてストレートに愛を伝えるようなエモ・ロックにめちゃめちゃ弱いから、気が緩んでるときとか眼球が壊れそうなくらい泣いてしまう。同様にしてCar (M2)やNo Harm (M3)もすごくいい。No Harm (M3)に関しては、2ndから培ってきたような胸を引き裂くメロンコリックな響きがとても素敵に聞こえたり。前作の2ndも大好きだったけど、今作は1stアルバムのときのヘビィな音圧も戻ってきてたりしてもっと好きだった。

今作のリードトラックで絶対に外せないなと思うのが、4曲目のShilly-Shally。思わずこちらも一緒になって口ずさみたくなるような最高のノリを持ってる歌。クオリティが高すぎる長尺ツインギターソロを挿入するタイミングも完璧すぎてるし、ラストスパートに合わせてシンバルを連打しまくるような激しいエモに発展する感じもやばい。愛おしさ・ピュアネスの感情が高められまくってる。ソングライティングからソロまで本当に全部素晴らしかった。

I Love Yourlifestyleの今作は10月のベストアルバムの逃がしアルバムだった。10月終わった後に作品リリースしてるのを知って「新譜出してるんかーーーい!!泣泣」みたいになった 笑。10月のエモといえばBartees Strangeが本当に超傑作だったけど、I Love Your Lifestyleの今作も同じくらい傑作だった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7. Daisies - "Cherries - EP" (9月)

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"2020 Perfect Vision"

 90年代のテクノ・トリップホップから、リラクゼーションが強めのドローン・アンビエントまで、多様で幅広いアプローチがすごいドリームポップバンドの新譜EP。チープなかわいさがあるアナログシンセとか、それとは対極的に洗練された神々しい空間系のデジタルシンセとか、ドリームポップが持つ "ドリーミー" なところの表現にとても凝ってて本当に面白い。前作What Are You Waiting For? (2019)も年間ベスト候補並みに大好きだったのだけど、今作はその中でも、前作でいう6曲目Anyone's Styleや7曲目True Absolute Fictionあたりのダンサブルなハウス系エレクトロニカの作風で一貫されてる。このDaisiesのめちゃめちゃユニークなダンスフロアが本当にたまらない...笑。ドリームポップらしいピュアなワールド、アンビエントの大人びたワールド、テクノ・トリップホップの少しダークなワールド...、それぞれがダンスフロアを通じて並列に結びついてる感じ。リードトラックのEverybody's Moving to London (M1)から本当にめちゃめちゃ最高だと思う。バチバチにかっこいいドラムでテンションを上げまくって、そこにメロディックで素敵なボーカルを合わせてリスナーを虜にし、残響を多用した美しいインパクトを持つピアノなども合わせてとどめを刺していく...。めちゃめちゃ傑作だと思う。3曲目のLights Dancing on the Screenも上品なドリームポップで素晴らしかった。

今作で1番ツボったのは、2曲目の『2020 Perfect Vision』笑。Daisiesのドリームポップの中でも無重力なふわふわの音像が強く出てる曲。「これが2020年の理想的なビジョンだから」ってDaisiesが自分たちのエレクトロニカ&ドリームポップスを提示してるわけだから、思わずフフってなる 笑。Daisiesのドリーミーで素敵な音楽が最高なだけに、「そうだよなーーー2020年はこうだったらよかったのになーーー(?)」って納得させられまくる 笑。もう曲名の発想だけでもう優勝してる。本当に楽しかった。

今作は5曲入り25分のEP作品だったけど、「EPなのがもったいなぁぁい!!」ってめちゃめちゃ思った 笑。個人的にはEPよりアルバムの方が断然好きなので。次回はフルレングスでお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6. Protomartyr - "Ultimate Success Today" (7月)

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ヘヴィでタフな激かっこいいポストパン

 ポストパンク大好きなのだけど、それらの音楽が持つ恐怖や危険性ともっとシリアスに向き合ったようなProtomartyrのダークネスには、何物にも代えがたい絶対的なかっこよさがあると思う。治安の悪そうなワールドの中で汚れていくProcessed by the Boys (M2)、荒ぶるように狂い火を放つようなギターのパッセージがあるThe Aphorist (M4)、神格的な女性ボーカルのニュアンスで悪魔的なエネルギーすらも感じさせるJune 21 (M5)...。どの曲も破壊力があるし、怖さもあるし、ヘヴィでタフなポストパンクとして最高に仕上がってると思う。もう激ヤバ級にかっこいい...笑。1曲目のDay Without Endとかも本当に大好き。怒りの感情が爆発寸前まで高められるようなスリル、いつ何が起きるか分からないハラハラがあってめちゃめちゃ興奮する。アクモンみたいにちょっとスモーキーなUK感(I Am You Now (M3))や、心に平穏が戻るドリーミーな瞬間(Michigan Hammers (M6))など、恐怖や危険性の表現以外にも豊かな素晴らしさがあったり。全曲抜け目なしなタイプのアルバムだった。

あとは9曲目のBridge & Crownも本当に最高だった。この曲も本格的なダークネスが表れてる激かっこいいポストパンクだけど、「Protomartyrというバンドが抱えてる思いがいかに熱いか」ということを感じさせられるような曲。楽曲がエモーショナルになっていく見せ所で、迫力のあるポストブラックメタルみたいな闇闇しいシューゲイザーを発動してるところがすごくいい 笑。今作の中でもグッとくるナンバーだと思った。

2020年、まるでポストパンクの基本フォーマットを新しく更新してしまったようなFontaines D.C. (A Hero's Death)とか本当にすごい業績を残したなと思う。ちょっとポストパンクも名作いっぱいあって目がくらんでたけど、Protomartyrのこちらもよかった。(あと今年だと個人的に絶対に見逃せないのがHypoluxo...。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5. Duval Timothy - "Help" (8月)

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世界と世界がアンバランスに繋がる

 孤独と向き合うピアノソングのクラシック、未来に憧れる80年代風シティポップ、未知のエネルギーを秘めたテクニカルな電子音楽ニューエイジ。世界と世界をアンバランスに接続させ、これまでに確認したことがないような神秘的なフィーリングを描き出していく作品。そこには、歴史を振り返るような果てしない人生観や、心が空っぽになるような虚しさ、同時にそれらを尊く感じるようなエモーションもある。メロディーのリフレイン、サウンドサウンドの組み立て、豊かな発想がこれでもかと詰まっていて本当に素晴らしい。坂本龍一のようなシンプルで癒し的なピアノも不思議なくらい取り憑かれる力を持ってるし、ブルージーでソウルフルなMelanie Fayeのギター(Fall Again (M4))とかもたまらない。テクニシャンなVegynのエレクトロニカスキルも今作に貢献しまくってると思う。テクノで楽曲の美しさをより刺激的に見せるセンス(Like (M7))とか、のどかな世界の中でニューエイジの強烈なインパクトをもたらしたり(Pink (M18))とか、Vegyn関連のこの2曲だけでも、このアルバムがめちゃめちゃ最高だって思い知らされる。"Help"というアルバムタイトルの重さもそうだし、本当にとてもとても素晴らしい1枚。なんで月間ベストアルバムから漏れたんだろう...(TT)(TT)(TT)。今すごくガッカリしてます...笑。

全曲を改めて聴き直したけど、1番好きな曲なんですかと聞かれたら、2曲目のSlaveとかと僅差で1曲目のNext Tommorrowが1位かもしれない。神秘性・ミステリアス・興奮・哀愁、楽曲中に心奪われまくるピースがいくつも存在してる。本当にすさまじい曲でやばい。Duvall Timothy固有のユニークで豊かな発想とか、Vegynコラボ要素のテクニカルでハイレベルな作曲性がよく表れてる。ますますベストアルバムから漏れた(or逃れた)理由が分からない...。本当に本当に大傑作。ウルトラスーパーハイパー大好き。

何度か言ってるけど、大学院の修士論文が終わったころの1月から始まった月間ベストアルバムTOP10が12月まで続いちゃった。 ベスト10位×12ヶ月分+おまけ(20枚)でベストアルバムなるものが140枚くらい...自分でも引いてるんだけど、その中でDuval Timothyは何位になるのだろう...(現在猛スピードで順位を上げていってる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4. Kevin Morby - "Sundowner" (10月)

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様々な土地を巡るカントリー・フォークロックの旅

 60s~70s期のフォークロックの魅力を改めて現代に刻んだ Singing Saw (2016)(ウルトラスーパー素晴らしい)、そこから素朴なクラシックロックにも発展したCity Music (2017)、さらにはピアノの存在感が本当にたまらないバロックポップまで幅を広げるOh My God (2019)....。カントリー系から王道のロック、Kevin Morbyが蘇らせる古典的な音楽はどれも本当に名曲だと思う。その中でも今作Sundownerは、あてもなく漂流していく旅人のような趣を持つカントリー・フォークソングのタイプな感じ。孤独感や寂しさを抱えながら何かに思い馳せるようなフィーリングがとても深かったり、そこに自分の人生と向き合うような大人のかっこよさもあったりですごく最高だった。1曲目のValleyとか、シンプルで至高なアコースティックソングで本当に大好き。物憂いを感じさせるジャケットの雰囲気とよくマッチしたワールドの中で、心にじんわり響くようなメロディーの作用がある。ギターのソロワークも本当に豊か。(Kevin Morbyのギターってどうしてこんなにいいの??笑)。そんなKevin Morbyのギターメロディーを静寂の中で利かせるアプローチが最高すぎてるDon't Underestimate Midwest American Sun (M6)とかも素晴らしい。他にも、ボン♪ボンボン♪なフレーズが特徴的すぎるBrother, Sister (M2)、Wander (M5)なども好き 笑。Kate Le Bonみたいに呪われそうなくらいメロディーが脳内にこびりつくから笑っちゃう。今作の大人びてる作風の曲の中でもとても渋いナンバーでユニークだし、さすらいのカントリー・フォークソングの味が最高に染みてると思う。

Kevin Morbyの古典的な音楽が大好きでたまらないのは、フォークソング・ロックの伝統的なものに触れ、ニューヨーク、ロサンゼルス、日本ではないアメリカのどこかへトリップしたり、そこで様々な文化と出会うような喜びがあるから。各アルバム・各曲にそれぞれ固有の景観があって、ロマンがあって、本当に胸がいっぱいになる。それはもしかしたらUS・UKの洋ロックの醍醐味かもしれないけど、特にKevin Morbyはもっとクラシックな文化をリメイクする達人だと思う。今作も、トラディショナルなカントリー・フォークソングの作風のところに、彼の故郷のテキサスとか、アメリカの田舎の風土がよく表れてる感じ。そういう土地に一人でじっくり旅行していくような感覚、さらにはそこで色々な歴史と巡り合ったり。やっぱりKevin Morby本当に大好きだなと思った。

2020年は家に籠ることが余儀なくされてしまい、例年に比べて音楽をディグることが多くなった。その中でも気軽に摂取できるなロック&ポップスを大量に聞いてたのだけど、Thurston MooreやJeff Tweedyなど、じっくり鑑賞するタイプは摂取量が少なかったり。Kevin Morbyも他のベストアルバムに少し埋もれてしまったのだけど、Twitterの影響とかもあってどんどん来てる。(こちらもベスト入れられなかったのすごく悔しい、、、泣)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. Zora Jones - "Ten Billion Angels" (9月)

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子供の頃トラウマだったエヴァンゲリオンに似てる

 テクノロジーが過剰に発達したようなFloating Points的サイバネティック・エレクトロニカ、そして激しい悲しみや痛みを伴うArca的センシティブサウンドの残酷なハードコア、それらが構築するSOPHIEのような前衛的でかつ異次元的なワールド...。想像性が半端ないような未来的で恐ろしい世界観が本当に魅力的。1曲目のShadows to the Lightから、まさしくFloating PointsとArcaのエレクトロニカをそのまま足して2で割ったようなとても壮絶な世界観がよく表れてる。Sister's Blade (M3)では、高速のテンポで精神を高ぶらせる演出のやばさとかもあったり。ドラムンベースダブステップ、ジューク/フットワーク系のリズムワークの鬼気迫るようなスピード感で、ワールドの異次元性の恐ろしさがよく強化されてる。Low Orbit Ion Cannon (M5)では中盤にヒップホップ系ハードコアなタフなフレーズとしての恐ろしさもあったり。ただ恐ろしいだけじゃなく、電子音のハイテク感・高級感のテクスチャを洗練しまくって、それらの恐ろしさをリアルに伝えるようなテクニックがあるところが本当に素晴らしいと思う。他にも、メロディーがちょっとFKA TwigsっぽいMelancholy Princess (M7)とか、数100年先のフューチャーエレポップみたいな雰囲気がある I Wanna Lose You (M8)とかもよかった。

私が今作でものすごく心惹かれた部分は、異次元性が高くて恐ろしい音楽性や、『10億の天使』というアルバムのモチーフのところに、子供の頃に怖すぎてトラウマだったエヴァンゲリオンの世界観を連想するというところ 笑。(具体的にはアスカのエヴァンゲリオンが敵のエヴァンゲリオンに負けてしまうやつ)。エヴァンゲリオンはどちらかといえば好きではないし、全然知らないけど、昔友達に見せられた映画のシーンが本当に嫌になるくらい印象に残ってる。敵に追い詰められて完全にやられてしまうような絶対的な絶望のリアリティとかもそうなのだけど、神話的なテーマを引用した使徒のデザイン、宇宙人っぽさと同時に天使っぽさも感じられる雰囲気とか、Zora Jonesの今作の世界観ととても似てる気がする。特に5曲目のLow Orbit Ion Cannonなんかは本当にどストレートでそれ...。冒頭の恐ろしい天使の悲鳴のようなサウンドとかもう完全にあの頃感じたトラウマのエヴァンゲリオン...笑。子供の頃のトラウマが呼び起こされてしまうような圧倒的な迫力。でもそんな怖さがたまらなく大好き。

ホラー映画もだけど、やっぱり怖い芸術ってめちゃめちゃ大好きだなって思った。The Haxan CloakのExcavation (2013)とか、Valentina Lisitsaが演奏するラフマニノフの赤ずきんちゃんとか。特にZora Jonesはヴィジュアルアーティストとしての怖さを持ってるところもいいなーって思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. Land Of Talk - "Indistinct Conversations" (7月)

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ポカポカでウトウトしながら見るソフトシューゲイザーの夢

 日向ぼっこの感覚を再現するような温もりの半端ないソフトなシューゲイザー・ドリームポップ。陽だまりが暖かくて気持ちよくて、思わずウトウトしてしまうような至福の瞬間ってあると思うのだけど、その中で意識がうつらうつらになって素敵な夢を見る~みたいな、そんな体験を実現してしまう音楽...。どう考えても超最高だと思う 笑。シューゲイザーが持つ浮遊感をそれらの夢心地に作用させるのがやばいDiaphanous (M1)、ドラムやベースの低音を利かせたアタックがかっこいいLook to You (M3)、ソフトな音像で心も ふわふわ・もふもふになるのが最高すぎるWeight of That Weekend (M4)...。ソフトなシューゲイザーという音楽性、それによる陽だまりのような温もりの生成、さらにはその音楽で物語を紡ぎ出すようなドラマ性の曲想なんかもあったり、本当に素晴らしいと思う。ギターロックとしてのリフの存在が光るFootnotes (M7)も傑作。見せ所を変化させていくようなバンドアンサンブルの魅力なんかもあったりして本当にユニーク。感想を書けば書くほど、7月のベストアルバムTOP10から漏れてしまった後悔がでかくなる...笑。ほんと、めちゃめちゃベストアルバムだった。

そんな今作で最もアルバムのハイライトになってるだろうリードトラックが8曲目のA/B Futures。ソフトなシューゲイザー・ドリームポップの最高のキャラクターをぶらさないまま、そこに生き生きとしたロックの音楽性もしっかりアップデートさせてる曲。Land Of Talkが持つ夢心地の快感をさらにモチベートしていくような強力な幸せがあって本当に素晴らしすぎてる。音楽がアクティブになりすぎず、適度なテンションに保たれてるロックなのがいい。この曲はすさまじく大好きだった。その8曲目のA/B Futuresで最高な状態になった後、日が暮れて夜になってお休みなさーいみたいになるFestivals (M9)も大好きだった 笑。

前作Life After Youth (2017)も大好きな作品でフィジカル持ってる。そちらの方も愛おしい最高のドリームポップだったと思うけど、どちらかといえば、夢心地のクオリティ的に今作の方がツボみが深かったかも。というかLand Of Talkがもっと好きになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. Taylor Swift - "folklore" (7月)

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インディー音楽も我が物に

 私は高校の頃は弦楽合奏部、大学の頃はオーケストラのサークルに所属していて、学生時代はずっとクラシック~ポップスのバイオリンを演奏してた。その中でも楽曲コピーのためにThe Piano GuysのアレンジのBegin Againなんかは耳がもげるくらいめちゃめちゃリピートしてたし、同じ系統でいうとChristina PerriのA Thousand Yearsとか理性がぶち壊れて頭がおかしくなるくらい聴きまくってた。1989のような人類が滅亡するくらいポップが大爆発してる曲とかも流石に傑作で好きだけど、どちらかというとTaylor Swiftに関しては、ストリングス大活用のクラシック~フォーク型のアダルティーなポップスの方が身体に染みついてる。今作のfolkloreは、そんな馴染みのあるアダルティーなポップスとして作風が極められてるよさだけでなく、Aaron Dessner (The National)のプロデュースやBon Iverのフィーチャリングなど、大好きすぎるBig Red Machine要素が追加されてるという...。何年にも渡ってポップミュージックの頂点に立つ大大大スターのテイラーさんが、Bon IverやThe Nationalなどを好むインディー・オルタナファンも巻き込みまくるとか...「ず、ずるー、ー!!泣」って思った 笑。個人的なところだとthis is me trying (M7)とかめっちゃ好き。従来のTaylor Swiftにあったような歌が目立つポップネスが少なく、空間中によく溶け込むような丁寧な音楽性が保たれてる感じ。その中でも曲としての見せ所のピークはしっかり持っていて、リスナーを大きく揺さぶっていく高揚がある。「Taylor Swiftなんだけど、どことなくインディー感もある」みたいなこのバランス、すごく最高だと思う。

今作のキャラクターを最大に象徴してるのが、4曲目のexile (feat. Bon Iver)だと思う。Taylor SwiftとBon Iverとかいうウルトラスーパーハイパー豪華なコラボ。Bon Iverのサウンドデザインならどんな音楽も超最高になるって分かってたけど、今作のクラシック~フォーク型のアダルティーなポップスであるTaylor Swiftとは本当に相性がいい。Taylor Swiftというアーティストが持つ女王的な存在感のオーラにBon Iverの威力が組み合わさってる感じがあって、本当に鳥肌がやばくなる。もうとてつもなく最高、本当にめちゃめちゃ大好きだった。

Taylor Swift、高校~大学初期の頃によく聴いてたから、今回改めて聴き直してみたら懐かしすぎて超エモかった。(エレポップとロックを巧みに合体させたStyleとか本当に大好き。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

プレイリスト

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温の「2020年下半期の漏れ&逃しのベストアルバム(温)」をApple Musicで

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