アルバム感想(温)

My Favorite Music

「2020年2月ベストアルバムTOP10」感想

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今月の14(金)と15(土)は妹たちと泊まりでディズニーリゾートに行っていたので、14日リリースのTame Impalaは素敵なディズニーランドのホテルでお酒飲みながら聴いてた 笑。学生最後の最高な思い出の1つになったと思う。

2020年2月リリースの新譜のベストアルバムTOP10、感想をランキングで

(上位3つは同率1位)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10. Soccer Mommy - "color theory"

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寂しくなりすぎないというベスト

 Soccer Mommyのベッドルームポップ的インディーロックの素晴らしさは、「内に閉ざしていたベッドルームポップのありったけの感情を、ロックによって外の世界へ存分に解放する」というようなところにあると思う。今作も、ロックの音楽性を利用して、夢を描いたようなベッドルームポップのありったけのエモーションを思い切り解き放ってる感じがして本当にたまらない。加えて今作は、エレクトロニックなアプローチによる多種多様なサウンドの拡張や、それによる明るくてキラキラしたエモーションの強化など、前作よりダイナミクスが増したポップスとして仕上がりが強くなっていると思う。具体的にはcircle the drain(M2)やclawling in my skin(M5)など、空間系のエフェクトを充実させたような豊かなサウンドスケープになってたり。私的には、寂しさを引き立てまくったようなシンプルなバンドスタイルが特徴的なClean(2018)よりも、寂しくなりすぎないレベルまでエモーションが調整されている感じなのがとても好きだった 笑。本当、前作のCleanは切なすぎて死にたくなってたからね...笑

そういった、ありったけのエモーション、インディーロックの音楽性、充実したサウンドによるポップスの強化など、Soccer Mommyの今作の特徴がよく表れたyellow is the color of her eyes(M6)が本当に最高。前作のような胸が引き裂かれそうになるくらいエモーショナルな切なさを引継ぎつつ、サウンドがより豊かにかつダイナミックにデザインされた素敵なポップチューンになってると思う。後半で繰り出されるノイジーなギターの存在感も本当にたまらない。

洋楽好きな後輩君とよく一緒にドライブするのだけど、ドライブにおける車内音楽で後輩君がSoccer Mommyを選曲してたときがあった。めちゃくちゃびっくりしたけど超テンション上がったよね 笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9. Caribou - "Suddenly"

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ブラックミュージック的センスのかっこよさ

 前作Our Love(2014)では、妖しさの半端ないドライでミステリアスな幻想ワールドを全開に繰り広げていたと思う。今作はその世界観にも通じるような色気のある美しさを利用しながらも、ダンスビートを大胆に強調した鬼かっこいいハウスミュージックを展開していると思う。具体的には、ブレイクビーツに似たアプローチのあるSunny's Time(M3)や、ダンスフロアを最高潮にまで盛り上げるような激しい裏打ちビートのNever Come Back(M7)など。あまりかっこよさに思わず脳みそが爆発しそうになってしまった 笑。

前作Our Loveの濃密な幻想ワールドの印象からは想像できないほど、今作はヒップホップやジャズといったブラックミュージックの原始的な躍動がよく表れた作品になってると思う。New Jade(M4)では高速なリズムワークが特徴的なフットワーク系の音楽に仕上がってるし、Home(M5)に関してはヒップホップそのままな感じだし。サンプリングしたカットボイスの1つ1つからもR&Bやソウルの面影をめちゃくちゃ感じる。そういった原始的でエネルギッシュな躍動感にCaribou特有の色気のある美しさがめちゃくちゃ反映されているわけだから、それは凄まじくかっこよくなるよね...って思う 笑。

私的には、アルバム3曲目のSunny's Timeが本当にめちゃくちゃ大好き。ブラックミュージックの原始的な躍動、CaribouことDan Snaithによるボーカルの色気、そしてジャジーなピアノのアルペジオによる半端ない美しさ...!!もう本当にかっこよすぎてベタベタになるまで惚れる 笑。新譜リリースのアナウンス時にジャケを確認したときは、正直もっと地味な音楽を想像してた 笑。まさかこんなにかっこいいとは...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8. Arca - "@@@@@"

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62分にも及ぶ巨大なスケール

 (シングルだけどボリュームがアルバム級だからアルバム扱い。)Arcaの今までのキャリアの中でもクラブミュージックのダンス性がはっきり表れている作品で、62分にも及ぶスケールの中で、感情を加速させるようなダンスビートを利用しながら迫力をどんどん高めるような作品になってると思う。さらには、従来の不安感を煽るようなグロテスクで攻撃的なサウンドワークや、痛み・喪失感といった激しい悲しみの感情以外に、極上のエクスタシーを求めるような神経麻痺に似た幻覚のニュアンスがあったり。そういったように、巨大なスケール・迫力を利用しながら、真の憎しみ・怒り・悲しみを解放し、魂の救済を求めるという意図がよりはっきり感じられる作品だと思った。

Mutant(2015)で特徴的だったように、リスナーの細胞を破壊するような暴力性の高いサウンドが今作でも多く見られる。何もかも破壊したいような怒りに満ちたグロテスクで、まるで音そのものが苦しくて悲鳴を上げているように。そこには倫理的に許されないような圧倒的なヘイトと、底知れない痛みと悲しみが含まれている。負の感情を残さず全て吐き出したような芸術作品はたくさんあると思うけど、Arcaは多様化したエレクトロニカIDMの現代技術のアイディアを駆使した前衛的な作品を創造していて、ダイナミクスやリアリティがとても強く伝わる作品になってると思う。

個人的に、そういった作品を鑑賞できるということはとてもありがたく思える。ミッドサマーのラストシーンにおける主人公の気持ちに共感できるように、人間は誰でも絶対的な負の側面をめちゃくちゃ抱えていると思うから。それらを思う存分に吐き出し、苦しみや痛みを解放・共有することで、日常で溜まった不安を全て解消するような強力な安らぎを得ることができるのだと思う。今作の場合、62分にも及ぶ長いストーリーで得られるその安らぎレベルが本当にやばい(特にラスト)。本当に、鳥肌が最大になるまで半端ないほど感動した。一般的な音楽に比べて1曲62分という聴きづらさのネックはあるけれど、今作も本当に素晴らしいアート作品だと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7. Wilsen - "Ruiner"

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"大好き of 大好き"

 スピリチュアルで神聖なワールドを展開するフォークロック作品としてスーパーツボなのに、サウンドの質感がとても特殊で本当に最高。心地よく涼し気なフォークの感触を持ちながら、同時にとてもドリーミーでもあるという。まるで自然的なアウトドアの空間とベッドルームの空間が融合しているような、とても新しい音楽空間を創造していて、初めて聴いたときは「うおーなんだこれはー」ってなった 笑。最近では宅録ベッドルームポップのアーティストが数多く輩出されているし、インディーポップのニューカマーJordanaがドリームポップ系の音楽性にガレージノイズを取り入れるなど、ここ10年くらいでドリーミーサウンドのインフレが起きていると思う。その中でも、Wilsenのドリーミーサウンドは、質感を巧妙に設定したような高級感のある仕上がりで、本当に見事でとても美しい。(レコードとかでじっくり堪能したい。)
さらに今作の場合、Wilesnのフォークロック&ドリームポップというような作風をよく表したアルバム前半の3曲連続リードトラックがとてもよい。自然的で美しい聖なるフォークロックでありながら、心のときめきを誘うドリームポップの高揚が少し混ざってる感じ。私的に"ツボ×ツボ"でめちゃくちゃハマる...笑。

また、6曲目から8曲目にかけて展開されるBirdsとWeddingの大きなシーケンスは、聖なる幻想の創造に多大な精神力を費やしたような今作の最高パートだと思う。神聖なエモーションを深く重く体現している時点で既にめっちゃ最高なのに、高級感のあるサウンドの質感とも相まって本当にグッとくる。

美しくて素敵なメンバージャケも本当に最高…笑。聖なる幻想を示した音楽ワールドの切なさとめちゃくちゃ最高なマッチングをしていると思う。もう何もかも大好きだ...笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6. Tennis - "Swimmer"

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高級デザートのような幸せみ

 感覚的に言うのであれば、このアルバムを鑑賞するひと時は高級レストランにおけるデザートタイムに匹敵すると思う 笑。それくらい音楽が所持する大人のスウィートな味わいが極上な感じがする。具体的には、アダルトな気品のあるAlaina Mooreのボーカルとクラシカルなサーフポップのコンビネーションがもたらす絶品のほろ甘さ。メロウでありながらスウィーティーでほろ甘さが本当にやばい。それは大人のラブストーリーのような甘酸っぱい切なさもあるし、懐かしいような美しいレトロの風情もある。アルバム30分間が常にそのムードとほろ甘さを持っているので、私にとっては贅沢すぎるデザートのフルコースのような幸せみがあるよ...笑

実は今作で初めてTennisを聴いたのだけど、フォロワさんが言っていた"カーペンターズみ"という例えが分かりすぎてやばい 笑。実際にメンバーのAlaina MooreとPatrick Rileyは家族(夫婦)だし、オールドムービーのような70年代ポップの雰囲気や、トロトロに蕩けてしまうようなハワイアン系の暖かい音像とか本当にぴったり。そういったオールドムービー感といえばWeyes Bloodに通じるところもあるし、トロトロな暖かさと言えばBeach House感が強かったり、大好きなアーティストの大好きエッセンスが地味に詰まっている作品だった。さらに私的には、Tobias Jesso Jr.のようなシンプルなバラードだったり、大人のジェントルなラブロマンスを炸裂しまくるEmm Louise(Lilac Everything)などを連想させる作風もあったりして、ツボみがとても深かった。気軽に聴けてしまうポップアルバムではあるけれど、1曲1曲じっくり堪能したいアルバム。

周りの人が絶賛しまくっている影響で聴いたのだけど、ツイッターをそこまで使用していなかった昔の私なら、変な偏見で完全にスルーしていたと思う 笑。(昔はあんまりこういうの聴かなかった。)来月の引っ越しで荷物減らしたいのに、ハマりすぎたから我慢できずレコードも買っちゃったよね...笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5. Tame Impala - "The Slow Rush"

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"脳内トリップ × タイムトリップ"

 今作の最高なところは、最高に気持ちのいいインパラ・サイケデリックの陶酔が、過去の世界へのタイムトリップとしての効果も強く発揮し出したというところ。前作Currents(2015)よりもサイケデリアの感触に対してバリエーション豊かな変更を丁寧に施していて、結果として濃厚な味わいだった前作のサイケデリアよりも全体的にあっさりとした感じになったと思う。それによって、もともとインパラが所持していた60s~70sの大人びたアンティークな気品がより露わになって、過去への憧憬としてのイメージをより強く持ち始めている感じがする。気持ちよくラリるサイケデリアとしての脳内トリップだけでなく、現在よりもずっと遠い時代への異世界トリップでもあるということ。ただでさえ絶妙に気持ちよく酔うことができるサイケデリックサウンドとしてめっちゃ最高なのに、それが快感以上にワールドの創造としても意味を持っていて、本当にめちゃくちゃ素敵...笑。1枚のアルバムでとても濃密なワールドを展開していると思う。

前作Currentsは、サイケデリック・ロックというか、一種のロックアルバムとして大大大傑作だったと思う。「ここぞ!」というタイミングで発揮するギターソロや、エキセントリックなセンスで魅せるかっこよすぎなリフのフレーズなど、ロックらしい "リフ力" がひときわ輝いたような作品。今作のLost In Yesterday(M8)は、Currentsで獲得したその"リフ力"を継承しているリードトラックで、今作における最高の1曲だと思う。心地よく踊りまくれるグルーヴとも相まって最高なハマり方をするベースのフレーズになってるし、途中で炸裂するシンセギターのパートも本当にかっこよくて痺れる。ストーリー性のあるMVの完成度もハイレベルで本当に大好き。

去年リリースされたシングルPatienceが収録されていなくて残念だという声を聞いたけど、国内版CDのボーナストラックには収録されてるんだよね。ということは国内版を買えばもうめちゃくちゃ最高だということ 笑。私はボートラいらない派一族の人間だけど、アルバム未収録シングルをボートラとして取り入れる日本の文化は好きだよ 笑。(助かります。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4. Real Estate - "The Main Thing"

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カラフルで賑やかなワールド

 Real Estateといえば、素材本来の新鮮な質感を存分に引き出したようなエレキギターの珠玉のクリーントーン。そしてそのギターサウンドナチュラルな優しさが溢れた美しいインディーロックのワールド。バンドとして既に大大大好きなのだけど、今作は80年代初期のフュージョン系のギタープレイや、程よく踊れるディスコパンクの感覚など、カラフルで賑やかな雰囲気が表れた楽しい作風になっていると思う。そこには、昔私が叔父の部屋で聴かされていた大好きな80sジャズ・フュージョンに通じる懐かしい趣があったりとかで、結局私的にめちゃくちゃツボなやつだった 笑。Real Estateのアイデンティティでもある透明感の果てしない自然的で幻想的なヴィジョンをそのままに、テンションを程よく高めるような楽しいフィーリングがよく発揮されてる感じ。楽しすぎないちょうどいいバランスを保っていてとても最高だと思う。

中でも、そのカラフルで賑やかな性質がめちゃくちゃ表れた今作のメイントラックのPaper Cup(M2)が本当に本当に最高...。フューチャリングしてるSylvan Essoとのコラボによる楽曲の充実感がやばいし、ストリングスによる少し派手な音楽の装飾があったり、パーティー的ダンスフロアのカラフルな世界観の演出が本当に素晴らしい。まさかReal Estateの音楽でこんな賑やかなワールドを堪能できるとは思ってなかった...笑。素敵すぎて本当にやばい。

前作In Mind(2017)のときから感じてたけど、今作で確信したことは、私はReal Estateの珠玉のギターサウンドがずっと大好きであり、それが今後どれだけ多様に進化していっても結局ずっと大好きだということ。今作の場合、The Main Thing(M8)やSilent World(M11)など、コーラスのギターエフェクトが強調されたアレンジとか、カラフルな雰囲気によく似合う鮮やかなサウンドにデザインされたりしてるけど、そういうサウンドもやっぱり大好き 笑。なんか、Real Estate愛がより確実なものになった気がする 笑。また日本来てください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. The Homesick - "The Big Exercise"

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窒息しそうになるレベルで笑う

 真面目なのかふざけているのか全く分からないものなど、人は全然意味の分からないものに直面したとき、どうすることもできずただただ笑ってしまうのだと思う。The Homesickが繰り出すガレージロック~ポストパンクは、陽気で穏やかなフィーリングの状態から突然激しさを増してめちゃくちゃかっこよくなったり、置いてけぼりにされすぎて思わず笑ってしまうそのお笑いのロジックがよく働いてる音楽だと思う。最初聴いたときは思わず声が出るほど笑った 笑。大好きすぎて何周も聴いてるけど、全部ずっとめちゃくちゃ笑ってる 笑。本当に死ぬほど楽しい。

具体的には、A面とB面の1曲目に相当するWhat's In Store(M1)やThe Small Exercise(M6)において穏やかな音楽性をイメージさせるアルバムの印象操作と、そこから唐突にかっこいいポストパンク的アンサンブルを展開するというギャップ効果。南国のバカンスでのひと時のような暖かくのんびりとした音楽性を提示しておきながら、激アツのポストパンクも演奏しちゃうという。Children's Day(M2)やThe Big Exercise(M7)が本当にめちゃくちゃそれで、のんびりとした音楽性からは想像できない激しいロックのグルーヴにギャップが出まくり。特にThe Big Exerciseの中盤以降のズンズンドコドコパートは最高すぎて本当にやばい...笑。ギャップの効果でフレーズのアップテンポ感がより強調されていて、下手すると楽しすぎて窒息しそうになる 笑。

それだけでなく、7拍子が特徴的なI Celebrate My Fantasy(M4)、シンプルながら楽器の持ち味を100%発揮したようなLeap Year(M5)、最後まで激アツな盛り上がりを見せるMale Bonding(M10)など、メロディーの組み立て、アンサンブル、曲構成といったバンドのテクニック面も本当に最高。特にLeap Yearにおけるベースのキャラクターの活かし方や音の配置の仕方とか、本当にかわいくて大好きすぎる。

オランダのバンドということだけど、この音楽性が暖かくてのんびりとしたオランダの海洋性気候に由来してるのなら納得する。予想より音楽メディアでの取り上げが少なくて「なんでだー!!」という気持ち 笑。レーベルSub Popだぞ??すごくない??笑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. Nada Surf - "Never Not Toghther"

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光属性ロック・切なさ最大

 美しい輝きを放つNada Surfのロックは、様々な内容を包含していると思う。キラキラしたフレッシュな気持ちを呼び起こす最高の開放感、ネガティブな感情を吹き飛ばすような力強さ、そして透明感のある綺麗なサウンドによる切ないフィーリング、もっというと純潔な音像による祈りに似た聖なるエモーションなども。日常において精神状態をコーディネートする音楽としても、テンションを高めたいときに聴きたいロックとしても、感情を美しく記述した芸術作品としても、どの視点から捉えてもとても優秀だと思う。何より、パワフルなロックを奏でる音楽のモチベーションが、「美しい輝きを生成すること」というような、バンドが目指している方向性とかバンドとしてスタンスが本当にめちゃくちゃかっこいい 笑。私の中ではDeath Cab For Cutieに匹敵するロックヒーローの存在感がある。今作で初めてNada Surfのことを知ったのだけど、私のロックバンド・ヒーローリストが新たに更新されました...笑

前作You Know Who You Are(2016)も、空ジャケ含め光輝く開放感が最高の作品だった。今作の大大大好きなところは、儚い印象を与えるアートワーク、美しくも切ない詩的なニュアンス、Just Wait(M4)やCrowded Star(M7)など、光輝く開放的なフィーリングだけでなく、音楽のイメージに対してメランコリックな趣がよく表れているところ。もともとのNada Surfが所持している開放的でパワフルなロックの作用によって、切ないフィーリングがより倍増されている感じなのが本当にたまらない。中でもCrowded Starの切なさは本当に格別。パワフルなNada Surfのロックの輝きがこれでもかと言うほど切ないフィーリングに作用する。今でも思い返すだけで泣きそうになる。本当に最高の1曲。

私がスーパー積極的に洋楽をディグり始めたのは今からちょうど4年前(大2の冬)。それまでは高校の友達SJ君から色々な大御所洋楽バンドを教えてもらっていたけど、これまでの洋楽ライフでNada Surfに出会わなかったのが驚き...笑。これからもアンテナを広げて色々なロックヒーロー見つけたい 笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. Grimes - "Miss Anthropocene"

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混沌とした今を生きる私達へ

 Massive Attack(Mezzanine)やThe Haxan Cloakのような深みのあるダークネス、ハードロック系のギターサウンド、さらにはThe Prodigyのようなエレクトロ・ロックなど、前作からは想像もつかないほどのブラックなタイプへのモデルチェンジに成功していると思う。もともと独創性あふれる存在感の強いポップアーティストだったのに、さらに暗黒面のパワーを獲得した感じのゾクゾクする迫力が表れていて、本当にめちゃくちゃかっこいい。

今作で特徴的なダークな音像に関しては、ポップらしからぬホラー系の雰囲気も醸し出しているところがあり、アルバム全体がよりカオスチックなバランスになってると思う。そしてそこには、昨今の現代社会にも通じるような複雑で心苦しいフィーリングにも似た心理状態が含まれてると思う。実際、ゲームキャラクターのデザインを重視したようなジャケットや、創作的な神々をモチーフにした楽曲タイトルなど、非現実感の強い混沌とした世界観がよく表れていると思う。

今作の素晴らしいところは、そういったカオスチックな世界の中で提示する本作のリードトラックのDelete Forever(M3)。Grimesなりのポップセンスで、そのカオスの世界にも愛を見出そうとする彼女の想いが溢れていて、心が張り裂けそうになるほど感動する。その音楽はまるで、混沌とした世界を生きている私達の苦しみの解放を願う祈りのよう。バンジョーやストリングスといった生楽器の温かい響きが本当に心に沁みる。このDelete Foreverの世界観に対しては、MVで提示したGrimesの神格化されたキャラクター像や、アルバムのタイトルである「Miss Anthropocene(人新世)」という部分などから色々な想像が楽しめると思う。私の場合、「Grimesという超人的な存在から絶対的で強大な愛を享受する」というような構図をイメージするのだけど、不安で心苦しい現在の状況下で圧倒的な安らぎを得るように、今の私達に死ぬほどハマリまくる感じがする。本当に、今年ぶっちぎりのベストソング。実際、ダークなエレクトリックサウンドが目立つアルバムの中でアンプラグドなこの曲だけ絶妙に調和しているし、とても印象に残るナンバーで本当に本当に素晴らしい。

Grimesは音楽・美術・ダンスを全て一人でこなしてしまうスーパー一流のアーティストだと思うのだけど、楽曲を聴いて彼女のダンスを想像するのもGrimesの作品鑑賞における楽しみの一つ 笑。今作でいうとアップテンポなナンバーの4ÆM(M5)とかめちゃくちゃ独特なダンスをするんだろなーって想像してた 笑(今は妊娠中だから激しく踊れないと思うけど...)。もっとGrimesが踊りまくるMVをバンバン作ってほしいし、ライブもめちゃくちゃ観たい。アジア近辺なら日本飛び出しても観に行きたいレベルなので、ひと段落したら是非お願いします...笑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

今月はスーパー最高すぎたので順位を付けにくかった。年末の年間ベストのランキングときには順位が少し変わっちゃうかもしれない 笑。他にもShopping、Kevin Krauter、Wasted Shirt(Ty Segall & Black Pus)とかとてもよかった。

プレイリスト↓ 

温の「2020年2月ベストアルバム(温)」をApple Musicで