アルバム感想(温)

My Favorite Music

「2020年1月ベストアルバムTOP10」感想

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1月は去年からずっとBombay Bicycle Clubの新譜をウルトラスーパー楽しみにしていたのだけど、その他もとてもよい作品とめっちゃ出会えた。

本当は1月終わってすぐベスト作りたかったけど、修士論文の作成でまとめるのが遅れてしまった。(大学院生)

 

 

2020年1月リリースの新譜のベストアルバムTOP10、感想をランキングで。

(1位は何かな...!!?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10. Georgia - "Seeking Thrills"

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ただのメインストリームポップではない!

 このアルバムの最高なところは、「王道ポップにロックのエッセンスをしっかり実装して "Seeking Thrills"というワクワクするテーマに情熱的なニュアンスを付加している」というところ。キャッチーでキラキラしたフィーリングを記述したポピュラー音楽の本質的なところをエキサイティングなエモーションから捉えたテーマ性があって、世にあふれているメインストリームポップとは少し違う作家性がある。具体的には楽曲の1つ1つから表現される"ロックのグルーヴ感"。ノリのよいダンサブルなビートだけど、もっとドラムの情熱的なニュアンスが強く表現されてる感じ。Never Let You Go(M4)とかめちゃくちゃそれだと思う。ポピュラー音楽のキャッチ―なハピネスにロックのビートの興奮がしっかり作用する最高の1曲。

 個人的には、そういった"メインストリームポップ+ロック"という作風を100%発揮したようなパーティー風のジャケと、それによる音楽に対しての強力な世界観補正がもうめちゃくちゃに大好き...笑。「ポップスでノリノリになっていたのに、気持ちが高まるあまり最高にエキサイティングな状態になっちゃった」みたいな 笑。Never Let You Goを聴いたときの私もその状態になった 笑。そういうフィーリングを実現してしまうあたり、やっぱりとてもいい作品だと思う。(ジャケとNever Let You Goが特に)

 その他にもR&Bのテクニックを発揮した実験的なトラックがあったり、割と充実している作品だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9. Ethan Gruska - "En Garde"

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 オシャレMAXでチルチルしながらお酒飲む

 メロディーがキャッチーなインディーポップと、ジャジーで大人なR&B・ソウルを組み合わせたような音楽で、The 1975からNick Hakimまで、様々なオシャレサウンドを融合してておもしろい 笑。フェスやライブで映えそうなダイナミックさもあるけれど、一般的なインディーポップよりもアダルトな雰囲気が強くて、全体的にオシャレ度がめちゃくちゃ高い作品だと思う。中でもローファイ・チル系の音像を含んだ心地よい感触が本当に大好き。オシャレなフィーリングMAXな状態でチルチルしながらお酒とか飲みたくなる 笑。

 そういったハイレベルなオシャレを体現したアルバムとしてもよいのだけれど、楽曲単位で見ても強トラックが勢ぞろいな作品だなと思う。特にPhoebe BridgersをフィーチャリングしたEnough for Now(M4)はやばい...。初めて聴いたときはめちゃくちゃグッときてビビってしまった。まるで映画の主題歌やアニソンに抜擢されるんじゃないかと思うくらい完成されたコーラス。好きすぎて友達とかいろんな人に自信を持ってオススメしてる 笑(そのくらいいい曲)。フィーチャリングがPhoebe Bridgersなのがよいよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8. Andras - "Joyful"

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気持ちよく踊るために必要なものだけ

 環境系のアプローチを持つハウス・ミュージックの中でも、気持ちよく踊るために必要なもの以外を極力排除していてとてもよい。もともと私はCall SuperやFour Tetなど、アンビエント系の音像を利用したミステリアスで切ない味わいのハウス・ミュージックが大大大好きなのだけど、Andrasの本作はそういった作品でありながら、無駄のないシンプルな音構成が意識されていて、終始ダンスの気持ちよさがよく強調されてると思う。ミステリアスで切ない気品が漂いながらも、ダンスとしてのモチベーションとその気持ちよさがよく表れてる感じ。特にお気に入りのトラックはPoppy(M3)とSaga of Sweethert(M6)。最近正統派のクラブミュージックを聴けていなかったのもあって、久しぶりにめちゃくちゃハマった。

 特にPoppyは本作における最高なリードトラックだと思う。シンセとカットボイスとピアノによるメロディーの応酬。様々なキャラクターや感情が入れ替わりながらミステリアスで切なくも最高に気持ちいいダンスミュージックを演出している。初めて聴いたときから何度もリピートしてるし、2020年のベストトラックだと思う。

 1曲目聴いたときはそこまでハマらなかったけど、途中からじわじわ来た。シンプルなので作業用BGMとしても優秀かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7. Frances Quinlan - "Likewise"

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見えそうで見えなかったHop Alongの新しい一面

 フォークとロックの二つの衝突により凄まじいエモの爆発を生み出すHop Along(めっちゃ大ファン)のフロントマンFrances Quinlanによるソロアルバム。エモの概念を100%具現化してしまうような彼女の恐るべしエモーションを残しつつ、今作は従来のバンド形態にとらわれないようなオリジナリティに富んだ多彩なサウンドワークがある。そこには今までのHop Alongが持っていたセンチメンタルな音楽性だけでなく、おとぎ話のような可愛らしさやファンタジックな純粋さが表れたサンドスケープもあったり。そういうおとぎ話チックな世界観がめちゃツボだし、今まで見えそうで見えなかったHop Alongの新しい一面に出会えたことが何よりめちゃくちゃ嬉しい...!笑。あと単純に「Frances Quinlanってこんなに豊かなワールドを持ってたんだ」ってめっちゃ感動した 笑。

 Hop AlongのGet Disowned(2012)は2010年代ベストアルバムでも15位圏内に入るレベルでウルトラスーパー好きなのだけど、Frances Quinlanが作り出すメロディーってどれも即興的な多様性があると思う。だからこそ、アルバム1枚にたくさんの歌が詰まっているのだけど、聴けば聴くほど身体に馴染んでいくような深みのある味わいがある。本作もきっとそういう作品であり、これから春にかけてますます味が出てきそうだ...笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6. Dan Deacon - "Mystic Familiar"

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キャリアの集大成『Arp

 Dan Deaconの音楽には未知のジャンル「お笑い」が含まれてると思う 笑。ハイペースでわちゃわちゃしたカオスを繰り広げる激しいエレクトロニカでありながら、ハウス・テクノのような冷淡さは全くなく、フットワーク/ジュークのようなスピーディーなダンス要素もない。そこには、チルドレンミュージックを間違えて暴発させてしまったようなコメディの要素がある 笑。そういうはっちゃけた音楽性によって、子どもらしさが全開な感じの桁違いのピュアネスとハピネスを表現してるのがDan Deaconの大きな特徴だと思う。今作もその音楽性が色濃く表れてて、とても大好きなアルバムだった。

  今作の素晴らしいところは、そんなDan Deaconのキャリアの集大成のような4曲構成の大作Arp。前作Gliss Riffier(2015)で磨き上げたような可愛らしいファンタジーの世界観と、今まで以上に激しくて過激なピュアネスの両方を合体させたような大傑作だと思う。(中でもArp Ⅱ: Float Away(M5)。)人間って幸せの感情が高まりすぎると、体内の幸せフィーリングがギューッと凝縮されていくような感覚に陥ると思うのだけど、Arpを聴いた私はその状態になり、感動しすぎて死にそうになってた 笑。可愛いらしいファンタジーな世界観と激しくて過激なピュアネス、これは最高にやばい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5. Destroyer - "Have We Met"

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ブルーアイドソウルの輝きを放つノイジーなギター

 正直なところ、Dan Bejar氏による"ブルーアイドソウル的ギターロック"とういうのは全て最高だと思う 笑。今作もKaputt(2011)のような美しい響きを持つギターロックの作風だけど、今作のノイジーなギターは本当にかっこいい...!!笑。いちいち全部最高のギターなのに、ブルーアイドソウル系の透き通った輝きを放っているから本当にたまらない。その他も、スラップベースによるR&Bの大人なグルーヴや、透明感の半端ないアダルト・コンテンポラリーなピアノの味わいなど、Destroyerならではの美しいブルーアイドソウル的ロックアルバムとして完成されていると思った。単純に、アダルトな味わいを堪能できるブルーアイドソウル系の音楽としても優秀だし、ギターだけ堪能するギターロックアルバムとしても聴けると思う 笑。

 それでいながら、2020年代の始まりを感じさせるような新しい発想もいっぱいあって大好き。アダルト・コンテンポラリーやブルーアイドソウルの透明感・清涼感を保ちながらも、よりサウンドを多様に拡張したようなアイディア。特にノイズによる音楽のダイナミックな強調とか、アダルト・コンテンポラリーの色気を崩さず美しいバランスになってて本当に素敵だと思う。これを機にフィジカル持ってないDestroyer's Rubies(2006)とか今度買おうかなって思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 4. Andy Shauf - "The Neon Skyline"

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さりげない日々を綴った詩のような趣

 Andy Shaufの今作の本当に最高なところは、私達の日常に何気なく存在する情緒的な瞬間を捉えているようなところ。メロウでありながらも満たされたようなちょっとだけポップなフィーリング。それはさりげない日々を綴った詩のような趣があるし、さりげなく美しい映画のワンシーンのようでもあるかもしれない。それらの豊かな感覚を音楽として丁寧に体現していて、とても最高の作品に仕上がっていると思う。

 フォロワさんも指摘していたように、Andyの歌含め、全体的に音楽が豊かな響きを持っているのも大きな魅力の一つ。フォーキーな気品の漂うギターやピアノといったアコーステックの楽器達、それぞれが丁寧に奏でられていて余韻の残るような美しい響きを生成している。それでいながら心弾むような楽しいメロディー、ソングラインを持っていたりして、本当、めちゃくちゃ充実してると思う。

 あと個人的に!やっぱり!クラリネットを取り入れた古典的なサウンドデザインにツボりました!笑。基本的にインディーロックの分野でフルートやクラリネットなどの木管を使用しているバンドのサウンドは全部大好き(もちろんオーボエも)。そういった可愛い音像も所持した、美しくも楽しい豊かなバロック・ポップALだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. Bombay Bicycle Club - "Everything Else Has Gone Wrong"

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夢の世界に誘う催眠的なアプローチ

 ワクワクを促進させるようなファンタジーのワールドを提示し、「一緒に行こうよ!」と誘ってくれる音楽のことがどれほどに大好きか...笑。ファンタジックなアートポップ~オルタナロックってもう目ん玉がもげてしまうくらい大好きなのだけど、今作もIs It Real(M2)やI Can Hardly Speak(M4)など、前作So Long, See You Tomorrow(2014)と同様、ファンタジックなワールドに向かっていく行進曲のようなアプローチがいっぱいあって本当に最高...。さらに今作は、Good Day(M5)やEat, Sleep, Wake(Nothing But You)(M6)など、初期の頃のBombay Bicycle Clubに特徴的だったような、リスナーを夢の世界に誘う催眠的なアプローチもたくさん詰まってる。この催眠的なアプローチとは、ドリーミーな音像によるものではなく、サウンド自体が所持しているリラックス効果によるもの。アートポップ風のバンドサウンドや、フロントマンのJack Steadmanの魔法性の高いボーカルワークなど、眠りにつく感覚をもたらすような特殊なサウンドスケープを持っている。だからこそ、夢のようなひと時を堪能できるようなロマンの溢れた素敵な世界観を所持していて、もう私はめちゃくちゃにツボ&大好きなのだ...笑。

 全部大好きなのだけど、特に今作のリードトラックEat, Sleep, Wake(Nothing But You)はもうむちゃくちゃ大好き...。リリックが死ぬほど素敵なのに、その世界観を体現しながら魔法性の高い幻想的なギターが炸裂してる感じ...。ファンタジック性をダイナミックに表現していて、本当に素敵なトラックだと思う。

 Clockenflap行けなかったの死ぬほど悔しい。。。今年こそ観たい。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. Pet Shimmers - "Face Down in Meta"

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オススメしてくれた人全員ありがとう

 凄まじくエモーショナル。サイケロックやドリームポップならではの陶酔するような快感や、ローファイが醸し出すセンチメンタルなフィーリング、それにインディーポップならではの豊かなメロディーセンスなど、多様な音楽性を一つに凝縮したような圧倒的なエモーションを含んでいてめちゃくちゃ感動する。サイケやドリーミー、ローファイといった要素なら他のバンドでも色々表現されているけど、Pet Shimmersはそれだけでなく、メロディックで豊かなインディーポップのセンスが強いのが特徴的だと思う。Mortal Sport Argonaut(M3)やNobody: Me:(M9)など、アップテンポでアクティブな曲とか特に。だからこそ、心地よくも切ないエモーションと相まって深みが半端なくなってるように感じられる。

 例えるなら、Superorganismと(Sandy) Alex Gがコラボしたような感じ。サウンドをぐちゃぐちゃにしたようなのドラッグ作用の強いサイケ・ドリーミーな快感に、センチメンタルな気分を引き立てるAlex G的なローファイのセンスをプラスした みたいな。快感と切なさとポップの味わいがそれぞれ入り混じり、ほろ甘くて美しくもある。本当に素晴らしすぎる音楽だと思う。

 Pet Shimmersをオススメしてくれた全ての人にありがとう 笑。これは年間ベストの有力候補であります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. Pinegrove - "Marigold"

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嗅覚までもが侵される

 Pinegroveの音楽の何がやばいかと言うと、音楽の中にいつも心地いい風を発生させているということ。もうそのサウンドメイキングの段階で大好きすぎる 笑。それに加えて今作は、"Marigold"というテーマを持っていて、風の発生と同時に春めいた温かさを伴っているから本当に本当に素晴らしい。具体的にはDotted Line(M1)やMoment(M5)など、風の臨場感がよりダイナミックになって、音楽のカラーをより明るくしている感じとか。私たちはずっと春の訪れを待っている。それゆえこのアルバムが想起させる色彩豊かで春めいたヴィジョンを感じられたとき、心がときめく深い喜びを得ることができるのだと思う。

 そしてさらにやばいのは、Marigoldという明確なカラーイメージとその温かい香りをアルバム自体が常に持っていて、通気性の鬼高いPinegroveのバンドサウンドによる風の生成によって、嗅覚までもが侵されるというところ 笑。春特有の温かい自然の香りまでをも呼び覚ますような臨場感がある。あまりの美しさに何度も泣きそうになるし、春が本当に恋しくて愛おしくなる。

 前作Skylight(2018)や前々作Cardinal(2016)のようなめっちゃ切ないテイストのPinegroveもスーパー大好きだけど、今作の温かいカラーのPinegroveも本当に最高であったよ。マリーゴールドというテーマに本当にツボった。

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 最後にはなりますが今回の2020年1月ベストアルバムTOP10のプレイリストを載せてよう。2月は修士論文を出し終わったので事実上春休みである (۶•̀ᴗ•́)۶笑。

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