アルバム感想(温)

My Favorite Music

「2021年1月ベストアルバムTOP10」感想

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今月はインディーロック・ポストパンクの充実度がすごかったと思う 笑。ほんとに豊作すぎてランキング作るのめちゃ迷った、未だに1を位決められてない。(TOP10の内、上位4つがもう全部1位)

2021年1月リリースの作品のベストTOP10の感想をランキングで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10. CARM - "CARM"

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Sufjan StevensとBon Iverのジャンクション

 サックスならColin StetsonJenny HollingworthクラリネットならAnna Meredith、Emily Cross、管楽器奏者で大好きなアーティスト、CARMのトランペットのキャラクターもめちゃいいなと思った。透明感のある清純派ポストクラシカル(Soft Night (M2))、ワイルドな雰囲気が漂うウエスタン音楽(Nowhere (M3))、そしてYo La Tengoを採用したStereolab的90sエクスペリメンタルポップ(Already Gone (M4))、さらにはガノン戦BGMみたいな神々しい恐ろしさがあるエレクトロニカ(After Hours (M5))笑...。環境音楽のような伴奏系のアプローチから、主旋律を奏でるメインパートまで、温かいメロディーもクールなメロディーもトランペットで縦横無尽に歌いまくってる。トランペットっていう共通項はあるけど、全体で見るとかなり異質なコンピになってる感じなのもユニークで楽しい。個人的には、透き通っている綺麗な音色からバチバチにかっこいいフレーズまで、アルバムの中で表情が異なるギャップをいくつも持ってるようスキルフルなところがとてもよかったなと思う。

今作がマジでヤバいなと思ったところは、Sufjan StevensとBon IverがCARMを通じて一つのアルバムに集結しているというところ...!!笑。私はSigur RósとかSufjan StevenやBon Iverのようなアーティストが1番大好きなのだけど、私にとってその内の神のアーティスト2人、今まで共演することのなかったようなスフィアンとバーノン氏が、冒頭とラストにそれぞれガッツリ入ってる。この存在がかなり大きい!笑。センセーショナルな美しさ、心満たされまくるハーモニー、Song of Trouble (feat. Sufjan Stevens)もLand (feat. Justin Vernon)も尋常じゃないくらい大好き。この2曲が聴けるってだけでもう「CARM最高です!!泣」ってなる 笑。ほんと、ありがとうございます<(_ _)>

私オーケストラやってたのだけど、トランペットって小さい音量で吹くの難しいよって友達が言ってた。それでいうとCARMのトランペットって優しい音色・ダイナミクスが本当に丁寧。トランペットの友達に聞かせてみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9. The Notwost - "Vertigo Days"

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安心感のあるベテランバンドの名曲

 ダーク&ミステリアスな催眠性を常に所持しているようなオルタナティブロックの作品。The Flaming Lipsのエクスペリメンタル(e.g. The Terror)のような不可解な部分が多いのだけど、グルーヴィーで楽しいロックだったり、安心感の強いインディーフォークだったり、ベテランバンドの風格がめちゃ出てるような良作だった。代表的なところだと、2曲目のInto Love / Starsから4曲目のWhere You Find Meまでの流れとか。ジャケットみたいに ぼんやり輝くサウンドにうっとり魅了されてたら、突然音楽がめちゃ動き出して置いてけぼりになりそうになったり。サイケデリアな快感とアップテンポのドキドキが入り混じるような格別の味わい。そのままリードトラックのExit Strategy To Myself (M3)に突入して、本格的にロックへ変化していく。最高にグルーヴィーだし、ニューゲイザー・ポストロックのようなダーク&ミステリアスのオーラを放ってて抜群にカッコいい。そこからさらにWhere You Find Me (M4)の優しくハッピーな曲がやってきて、リスナーの信頼を取り戻していく 笑。心満たされるようなバラードで、The Notwist特有の催眠的でエクスペリメンタルな音楽性が可愛らしく表現されてる感じ。この2曲目から4曲目までの流れが本当におもしろくてすごく大好きだった。その後のShipも謎の日本語パートがあって楽しかった 笑。

今作は先行曲のSans Soleil (M10)もとてもよかった。今作で1番安心感の強いナンバーな感じ、フルートの可憐なサウンドがポツポツと音を立てる描写がとても愛おしいし、心を解放するような聖なるフィーリングも素晴らしい。もともとThe Notwistってエクスペリメンタルみが強いバンドかと思うけど、この曲はとても分かりやすい最高さがあると思う。ベテランバンドの間違いない名曲。流石のよさだった。

他にも、ドラムがバチバチに活躍してるタイプのロックのAl Sur (M13)とかもよかった。こちらはどことなくDeradoorianみたいなマジカルで謎めいたサウンドがめっちゃふわふわしてる 笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8. Goat Girl - "On All Fours"

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魔女感が出てきた

 魅惑的な音を奏でまくるゆったり系のポストパンク。前作ST (2018)のノイジーでギラギラしていたロックよりもずっと のんびりしてて、スペーシーで少し不気味なニューウェーブ・シンセポップのアプローチが多用されてる感じ。メロディーに不思議な魔力が込められてるみたいなロックに仕上がっててこっちの作品もすごくよかった。例えば3曲目のJazz (In the Supermarket)、脳内を直接刺激するようなゆらゆらのシンセサウンドとかとてもマジカルなやつ。後半のギターロックのパートもワルツのまろやかなグルーヴが利いてて洗脳されそうになる魅力があったり。穏やかな曲調の中で実はアツさを持ってるようなOnce Again (M4)とかもマジカルなエネルギーが高くてすごく最高だった。どの曲もジャケットに表れてるようなハロウィン系の世界観とよくマッチしてる。シンプルなロックで勝負しても全然負けないP.T.S.Tea I (M5)とかThe Crack (M7)とかもめちゃよかった。

今作は、8曲目Closing Inからの後半パートが本当に素晴らしかったと思う。シンセポップのハッピーな表情が強くなったり、メロディーの魔力も浸透性を高めたり、彼女達が求めてる音楽の楽園にどんどん接近していくみたいなのを感じる。私的には特に、極上のゆったりメロディーが炸裂してるAnxiety Feels (M9)とか本当に大好きすぎる。Goat Girlが持ってるサウスロンドンのホットなインディーズロックってイメージとはまた違う雰囲気があるバラード。魅惑的で濃厚だったそれまでの音楽よりもすっきりした心地よさが本当にたまらない。また逆に、濃厚で凄まじい輝き方をするシンセサウンドを強化させまくったようなWhere Do We Go? (M12)とかも大好き。ハロウィンみたいな世界観のジャケット然り、今作は全体的に魔女感がよく出てる作品だと思ったけど、このWhere Do We Go?のシンセの輝き方が1番魔女感あった気がする 笑。

初めてジャケを見たときから、「今作のハロウィン感やばいな」ってずっと思ってた 笑。実際、Goat Girlってキッズのホラーコミックの影響をよく受けてるんだね(知らなかった)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7. Subsonic Eye - "Nation of Things"

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サラダ食べてるみたい

 シャキシャキしててヘルシーなインディーロック。Camp Cope、Pinegrove、またはHomecomings、心に沁みる効果が強いクリーントーンのギターが特徴的なやつ。それらのバンド同様にセンチメンタルな愛おしいロックを奏でてて大好きが確定してた。中でもSubsonic Eyeのギターのシャキシャキ感のよさはトップクラスだと思う 笑。Cabin Fever (M2)とかAniminimism (M4)とか、和音を奏でたときに丁度いいざらつき感・ノイズのフレッシュな余韻を残す感じ。ほんのちょっぴりドリーミーで、どことなくローファイっぽくて、それでも唯一無二の新しい音がしてる。Further (M5)などの勢いの強いロックだとより尚歯切れがよかったり。まるでサラダ食べてるみたいに健康的なシャキシャキ感ですごく美味しかった 笑。

曲でいうと3曲目のFruitcakeとか本当にヤバい。Subsonic Eyeの最高にヘルシーなサウンドをいっぱい魅せつつ、突き抜けるように気持ちいいスピード感がある。空気の美味しい山道を窓を開けてドライブしてるときのようなフィーリング。開放的だし、ボーカルもめちゃかっこよくて最高にノリノリになれる。めちゃ名曲だと思う。

社会問題、精神的な病み、ロックってもともとは何かに対しての強い反抗心から生まれたものだと思う。そこからサウンドメイキングがより多様になって、エレクトロニックの自由度も発達して、オルタナティブロックという概念が根付いて。でもSubsonic Eyeのロックって本当にさっぱりしてて、エスケイピズムが強かったりということもあんまり感じず、シャキシャキしたギターの健康的なサウンドで溢れてる。もうロックが本質的に持ってた社会的な態度とか何だっけ?ってなるくらい 笑。アジアのバンドは引き出しが全然ないので、大好きなやつ新しく知れてよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6. Midnight Sister - "Painting the Roses"

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~ご機嫌まろやか月曜日~

 70年代のグラムロックバロックポップの世界で完璧に固められたようなジャンル物の作品。当時のディスコルーム・ダンスパーティーにリスナーをワープさせるようなトリップ度が本当に高くて、Aldous HardingやWeyes Bloodに通じるようなクラシカルで大人の気品のよさが最強に表れてる。そこには、何十年も昔のディズニー映画を鑑賞してるときのような懐かしさたっぷりの感覚とか、それらの特殊なときめきなどもあったり。Foxes (M3)、Escalators (M5)、My Elevator Song (M8)...。1曲1曲の中に古き良き時代の風情が保存されてて、胸がいっぱいになるようなドラマとロマンスを堪能できる。サイケデリック、ローファイ、オーケストレーションサウンド一つ一つが本当にレトロチック。こだわりぬかれてる世界観ですごく完成されてた。

今作は全体的にめちゃいい曲ばかりだったけど、1番やばいなって思ったのは9曲目のWednesday Baby。メリーメローマンデー(ご機嫌まろやか月曜日 笑)とか、フリーフィーリーフライデー(自由で気持ちいい金曜日)とか、言葉遊びを入れながら毎日のことを愛おしく綴ってるナンバー。胸がいっぱいになるようなドラマとロマンスで溢れてる今作の中でも、心が1番最強の満たされ方をする曲だと思う。ほんと、バロックポップならではの軽やかで親しみやすいフィーリングが最大に表れてる。MVに流れてるゆったりとしたリズムも大好き。この曲は本当に傑作だなと思った。

Midnight Sister、8曲目のMy Elevator Songも大好きだったな...。白黒のクラシック映画をそのまま音楽化したようなやつ。背筋が凍る本気のホラーとか、クラリネットの能天気なムードとか、1曲の中に色々なシーンを含んでる感じ。ストーリーすごく豊かだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5. Pom Poko - "Cheater"

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一見するとふざけてるけど、実はとても健全

 トリッキーでぶっ飛んでるみたいなガレージロック・マスロックのめちゃくちゃ楽しいやつ 笑。サウンド自体はチープでコンパクトなサイズに収まってるけど、そこから巨大化してド派手に散ったり、急に感情を爆発させたり、または唐突にセンチメンタルで癒し的なフレーズを差し込んだり...。情緒不安定でハラハラが止まらないような最高のおもしろさがある作品だと思う。ハチャメチャな部分が多すぎて身体がバラバラになるようなエモさがあるCheater (M1)、一転してセンチメンタルさを醸し出してわけも分からず涙が誘われてしまうAndrew (M3)...。モチベーションの高いロックなのに、ゆるキャラみたいに愛らしい側面も持っていて感情が揺さぶられまくる。Danger Baby (M5)とか胸キュンがバーストするようなめちゃくちゃチャーミングなメロディーもあったり。ボーカルのキャラのJoanna Newsom特性が高いのだけど、見方次第では「Joanna Newsomがぶっ飛んでるロックやる」みたいにも捉えられるから本当に楽しい 笑。去年のMamalarkyにも通じるようなハピネスが強くてとてもツボだった。

今作で素晴らしいと思ったところは、「一見するとめちゃふざけてるけど、自分の幸せには正直で、ピュアで、実はとても健全」みたいな態度を音楽から感じるところ 笑。My Candidacy (M4)とかBaroque Denial (M8)とか、ギターがギュイーンギュイーンって飛び回ったり、無秩序で騒々しい部分が目立つけど、全体的に見るとやっぱりロックの芯をバンドとしてしっかり持っていて、音楽自体はとても丁寧に響いてると思う。Baroque Denial (M8)とかまさにそんな感じ、ぶっ飛んでるロックと癒し的なフレーズ、Pom Pokoという1つのキャラクターとして成り立ってる統一性が感じられる。そういう風な音楽の聴きやさとかも最大の魅力だったと思う。

今作はどちらかといえばジャケットが好きではなく、メディアに取りあげられる前は完全にスルーしてたけど、内容はもうそれはそれはよかった...。ハチャメチャで無器用だからこそ表現される絶大なピュアネス。こういうバンド本当に大好き。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4. Arlo Parks - "Collapsed in Sunbeams"

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「誰にでも傷はある。辛いのは分かるよ。」

 ナイトカフェで流れるようなしっとり系のネオソウル。レゲエやジャズの音楽性をキラキラのシティポップ風に、またはIn Rainbowsのオルタネイティブロック(Caroline (M5)、Eugene (M10))みたいにアレンジしてて、スムースリーで最高に素敵な作品に仕上がってた。Black Dog (M6)、Green Eyes (M7)、Bluish (M11)...、人肌恋しさが掻き立てられるようなメランコリックさ、でも同時に満たされるようなハートウォーミングの作用も強力で...。夜の都会を一人徘徊しながら聴いたら最高にエモくなりそうな曲の数々。Green Eyesとかドリーミーみがめっちゃ濃くて感情がやばくなる、本当にたまらない。歌声がSoccer Mommyっぽいクリアな美しさを持ってるところが音楽に本当によく似合ってる。

今作で頭おかしくなるくらい心打たれたのが、4曲目のHope。リスナーを慰めてくれるようなコンテンポラリージャズ系のピアノがめちゃ特徴的で、心の緊張が解けていくような最高に心地いいムードを持ってる曲。そういう穏やかな音楽の中で、「あなたが思ってるみたいに、あなたは一人じゃなよ」ってストレートにリスナーを励ましてくれる。これが本当に胸に響いてやばい。「We all have scar, I know it's hard」、リスナーに思いが届いて、心にタッチするようなリアルな温もり。実際に傷ついてるときとか、なんとなく寂しいときとかに聴いたら、涙腺がいかれてしまうくらい泣いてしまうかもしれない。今作のハイライトになるようなとても最高の名曲だった。

Arlo Parksってアルバム出す前からすごく注目されてて、聴く前からハードルが高かったと思う。個人的には、それでも易々と最高レベルを叩き出してるような素晴らしさ。弾き語りとか、特殊な編成のない素朴な演奏形態でいくらでも名曲を量産できてしまうようなハイセンス。ClairoのBagsとか、カバーのチョイスもめちゃめちゃ最高だった 笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. Yung - "Ongoing Dispute"

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いつも最高の瞬間を求めてる

 エモーショナルなギターの轟音を巧みに鳴らすようなポストパンク系統の正統派ロック。1曲目のAutobiograhyを聴いて死ぬほど感動した。打ち付けるようにして全身全霊で音を鳴らすロックの最高の瞬間。何かを強く求めるようにして、その瞬間だけ完璧にハイになる。感情を燃やすこと、それは命を燃やすこと。ロックという名のエレキギターのアート。過去も未来も一切考えず、かけがえのない今この瞬間、この時だけにフォーカスして夢中になる。4分の曲の中、数十秒くらいの一瞬だけでいい、その瞬間だけでいい。その瞬間を永遠に求めてる。もうたまらなく大好き...。まるで私が心から憧れてるロックのその本質・概念を忠実に完璧に体現したような音楽。虜になりすぎて、リピートが止まらなくなる。本当に素晴らしかった。

80sポストパンクの少し憂鬱な雰囲気、シューゲイザー的な白熱、青春を感じさせるようなストレートさ、Yungの今作は本当にめちゃめちゃかっこいい作品だった。神 of 神なリードトラックAutobiograhy (M1)以外にも素晴らしい曲がたくさん。例えば4曲目のDismantled (M4)、轟音を鳴らす激しいエモーションとは対比的なセンチメンタルな情景を見せてくれる曲。豪雨が止むように音楽の湿度が一気に変わっていく場面転換の演出みたいなのが見事だと思う。ただアツいだけじゃなく、ロックを演奏するための葛藤・モチベーションがよく見えるようなグッとくる感動がある。Unresolver (M8)も同様に最高。全身を使ってストロークするようなギターの力技パートに心打たれまくるクライマックスがある曲。ほんと、歯を食いしばるように力を込めてるのが痛いほど伝わってくる。音楽に込めたその熱量が美しくドリーミーに響くのがやばすぎる。ただでさえAutobiograhyがめちゃめちゃ神曲なのに、それと同レベルに傑作な曲を収録してるとか本当にすごい。Yung大好きすぎる、もっと有名になってほしい。

「今を生きる」とか、本でもテレビでもよく耳にするフレーズだけど、それって本当に難しいことだと思う。過去に思い浸ったたり、傷ついたり、未来に希望を抱いたり、妄想したり、絶望を感じたり...。そういうことに囚われず、今この瞬間だけを生きる~なんて、よほどの集中力がないとできないと思う。だからこそ、Yungが今作(Autobiograhyとか)で提示したような、ロックの"最高の瞬間"のこと心から愛してる。その瞬間だけ完璧にハイになるような、命を燃やすロックのその瞬間を心から愛してる。Yungもっと有名になってほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. The Big Net - "In the Service of Song"

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リスナーのことをいっぱい愛してくれる

 心に平穏をもたらしまくるような90s属性のインディーロック。寄り添ってくれるように優しくて、ギュッと抱きしめてくれるように温かくて、天国へ導かれるみたいに満たされる。私の人生ベストアーティストのYo La TengoとかSlowdiveの血を受け継いでるようなバンドの一つ。もう大好きが止まらない、こんな作品、ベストアルバムにならないわけがない。Never Knew Blue (M1)、Keep (M2)、Cowboy (M3)、Kevin's Shield (M6)...。ポカポカになって暖まるソフトな轟音の癒しがあって、心をかき乱すような愛おしさがあって、エスケイピズムが最強に濃くて。他にも、脳内麻薬を分泌するようなローファイのノイズ(Beauty Bomb (M5))、美しい光景を映し出すギターのアルペジオ、心くすぐるカントリー系のスライドギター、ハイトーンでたまらなく上品なウィスパーボイス...。心惹かれる大好きなポイントが詰まりまくってる。アートワークもめちゃめちゃ好み。超最高なアルバムだった。

代表的に大好きなのがやっぱり7曲目のIt's Not There。心に沁みる切ない風情、美しい物語への想像。メロディーがリフレインしながら、感情が高まるようにシューゲイザーへの発展も見せたり。なんて素晴らしいんだろう。。。ほんと、息もできなくなるくらい猛烈に惹かれていく。ビブラフォンのような高音のかけらとか、サウンドメイキングもとてもユニーク。この曲にThe Big Netの大好きさが凝縮されてる 笑。今作最高のリードトラックだと思った。

音楽鑑賞はある種の感情体験であり、アーティストとリスナーとの共振でもあり、同時に音楽に込められた思いをリスナーが受け取る行為でもあると思う。だから、アーティストはリスナーに愛を与えることができるし、言え換えれば、リスナーはアーティストに愛してもらう感覚を得ることができるのだと思う。The Big Netの今作は、それで言うとリスナーにたくさんの愛を与えてくれる作品。リスナーのことをいっぱい愛してくれる作品。それはときに、自分自身を大切にすることを自分自身が許可するためのとても大きなきっかけになる。そういう音楽の喜びって本当に本当に素晴らしいと思う。The Big Netマジでよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. Shame - "Drunk Tank Pink"

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揺るぎない自信、余裕のあるフルパフォーマンス

 挑発的でアグレッシブなShameのポストパンク。今作はその攻めのスタンスがもっと前面に出てるような激しい作風の感じ、リスナーを駆り立てるようなアツさがヤバくて本当に最高な作品だなと思った。ハイペースなビートを力強く叩き込んでリスナーをこれでもかと興奮させるようなAlphabet (M1)、ありのままにストレートにエモーションをぶつけることを洗練させたWater in the Wall (M5)、電撃が走るようなエッジの強いギターが本当に超かっこいいGreat Dog (M8)...。ただひたすらに反抗的で挑発的なのではなく、音楽のそのアグレッシブさを丁寧に見せるような完成度の高さがある。特にリードトラックのWater in the Wallとかほんとに名曲、特別なことをしない基本的な構成の中でShameらしさが全開でパフォーマンスされてる感じ。Nigel Hitter (M2)にも表れてるような生意気でお調子者のShameらしいキャラのよさが抜群でめちゃめちゃテンション上がる 笑。2010年代の後半からイギリスのインディーズでホットなバンドたくさん出てると思うけど、このWater in the Wallで完璧に表現されてるようなShameのアグレッシブなキャラは唯一無二のよさだと思う。全曲がすごくいい、前作より大好きだった。

アグレッシブさを丁寧に見せるというところ、特に今作はMarch Day (M4)とかSnow Day (M6)とか1/6 (M9)みたいなギターとドラムが高速で交錯するアンサンブルのやつもやばかった。刻みの細かいエネルギッシュなドラムにギターの音粒が綺麗にヒットしまくるような感じ、音楽の攻撃的な部分をスタイリッシュに見せるようなテクニック。Shameってこんなに器用なの?!って最初めちゃびっくりした 笑。そういう曲の激しさとスマートさのバランスの感じも今作の魅力的なところだったと思う。中でもSnow Dayみたいな闇闇しい曲調の中の16ビートのドラムワークはカッコよすぎてベタベタに惚れた、、、笑。

そして今作で絶対に絶対に見逃せない部分が、3曲目のBorn in Luton。一般的なポストパンクには考えられないようなゾッとする恐怖がある、迫力がある、そして身体が焼き焦げるような強烈な精神的苦痛がある。反抗的で挑発的なShameの精神の裏に潜在するダークネス。それはまるで、誰かに助けを求めるような音楽の悲痛の叫び。クライマックスのところでベースがもっとヘヴィーになるところとかやばくて、何度聴いても鳥肌が止まらない。本当に本当に素晴らしい曲だった。

容赦なく不満を爆発させたようなIceageの1stアルバム、吐き気を催すほど不健康に暴れ狂ったようなMETZの1stアルバム、限界を目指して本気でロックンロールに打ち込んだ去年のMourn...、リミッターを解除して全力を出し切ったロックの名作の中でも、今作のShameには余裕があって、自信があって、もっと調子に乗ってた感じがした(超褒めてる)。それこそ真のShameの姿だと思う。今作は完成度がとても高かった。ほんと、前半5曲までの流れが最高すぎてる...笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

プレイリスト(Spotify

open.spotify.com

 

プレイリスト(Apple Music)

温の「2021年1月ベストアルバム(温)」をApple Musicで

 

 

その他 とてもよかったもの

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Beautify Junkyards - "Cosmorama"

Bicep - "Isles"

Buck Meek - "Two Saviors"

Casper Clausen - "Better Way"

Codist - "A Dream Is Just a Big Thought"

Elori Saxl - "The Blue of Distance"

Lande Hekt - "Going to Hell"

Robbie & Mona - "EW"

Venus Ex Machina - "Lux"

Weezer - "OK Human"

 

 

 

2月はもうほとんどベストアルバム決まってる 笑

(Puma Blueとか...Julien Bakerとか...Julien Bakerとか...)