アルバム感想(温)

My Favorite Music

「2020年8月ベストアルバムTOP10」感想

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今月のベストアルバムTOP10の厳選はとても困難だった、、、ジャンル的にいうとインディーフォーク系が多かったかもしれない。あと夏のしんどさを弱化してくれる水ジャケが強かった 笑。

2020年8月リリースの新譜、スーパー最高だった10枚の感想をランキングで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10. Disclosure - "ENERGEY"

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カーニバルのレベルまでダンスフロアを発展

 Daft PunkThe Chemical Brothers、それらの偉大なアーティストに継ぐ次世代のダンスシーンを提示してしまったようなやばい兄弟デュオ、今作はダンスフロアに収まらず、もっと人類のバイタリティを沸き起こしていくようなアフリカンミュージック系のルーツも引用し、ダンスミュージックとしての躍動を地球規模で伝達させるような壮大な作風のやつ!うおーー!(歓喜)。『ENERGY』というアルバムタイトル、スケールの巨大な大陸のジャケット、そして世界を震撼させた1stアルバムのときと同じ手ごたえを想像させるようなフェイスマスクのアイコン...!リリース前から大作のオーラをビシビシ放っていたと思うけど、その期待を裏切らないような完成度レベルだと思う。

まずは単純に曲のクオリティ。1曲目のWatch Your Step (M1)では、跳ねるグルーヴが特徴的で最高にダンサブルなやつだけど、テンションの高さが0の状態でも否応なく身体が反応してしまうほどダンサブルなのが本当にすごい 笑。Disclosure特有のハイなサウンド感を取り入れつつ、コテコテになりすぎような丁寧な調整で安定してるのも本当に上手だと思う。2曲目Lavenderからは、クラブミュージックとしてのクールさを保ちながらも徐々にバイブスを上げていく...。私の場合、もうこの時点でかっこよすぎ&楽しすぎでニコニコが止まらなくなってた 笑。さらに3曲目My Highでは、Slowthaiのパワーも借りてさらにリスナーを熱狂させまくっていく。どんどん攻めの態勢にチェンジしていくのだけど、それでも音の詰め方とかはとても綺麗だったり、リスナーの盛り上げ方みたいなのがすごく計算されてて本当に丁寧だと思う。そういう丁寧さという点だと、Kehlaniをボーカルに起用したBirthday (M10)も本当にめちゃめちゃ最高。Kehlaniそのものが所持してる おしとやかさみたいなのに、ぽわぽわシンセのかわいさまで応用させてしまうというセンス。クラブミュージックとしてのダンス性だけでなく、音の使い方も本当に素晴らしいということ。さすが200曲の中から厳選しただけある 笑。

そして今作のネクストステージ要素でいうと、マリ南西部やカメルーンの伝統音楽SSWとタッグを組んだアフリカンミュージック系のニュアンスの付加(Douha (Mali Mali) (M5), Ce n'est pas (M7), ENERGY (M8))。伝統音楽ならではの原始的な音楽性で、ハウス・テクノのダンスの躍動感をもっと深いところから掘り起こすような新しい試みがあると思うのだけど、巨大な大陸のジャケットによる印象操作も込みで、バイタリティ・エネルギーがもっと強烈に感じられる仕様になってるのが本当に素晴らしい。その中でもタイトルトラックのENERGY (M8)は今作のウルトラスーパーハイパーベストソングだと思う。Disclosureの電気ショックを与えるようにハイなサウンドのダンストラックで、サンバのようなカーニバルを実現してしまうという...。このカーニバル感によるダンスフロアの表現、クラブハウスの閉じた空間よりももっと全人類が一体となったような莫大なスケールの拡張みたいなのがあって、初めて聴いたときは本当に感動しまくってた。それはまるで、大地を揺らすほどに強力なダンスの"ENERGY"、Disclosureが追い求めた壮大なコンセプトを本当に見事に達成できてると思う。「Where your focus goes, your energy flows, Are you hearing me!?」って歌詞もものすごくいいんだよね...笑。

8曲目のENERGYも本当に大好きだけど、でももしかしたら4曲目のWho Knewの方がもっと好きかもしれない 笑。サイダーみたいにシュワシュワな音像のやつ。ジャケットが持ってる海(?)のクリアな美しい色のイメージも込みで、すごくフレッシュなサウンドでハイになれる感じが本当にたまらない。ほんと、コラボしてるアーティストも豪華で好きな曲だらけだった。ちなみに今作でコラボしてるアーティストの中で私が一番好きなのはコモン兄さんです。(最近見た映画だとTHE INFORMER/三秒間の死角とかよかった)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9. Bully - "SUGAREGG"

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高校生の夏休みのあの感じ 泣

 グランジロックのようなぎらついた熱エネルギーを満タンにチャージして、メロディー感の半端ないスーパー元気なパワーポップを最後までかっ飛ばして行く感じ!WeezerとかOso Osoとかと同じくテンションが高まりまくる安定したハピネスが供給される最高なやつ...!!笑。ロックとしての熱いエモーションを心がときめくメロディー感に影響させるような、もう揺るぎないよさが保証されてるタイプのやつだと思うのだけど、ジャケットに示されてる圧倒的な清涼感・爽快感の品質とかもやばいし、BullyことAlicia Bognannoの持ち味が多様な歌のスキルもすごい。激しくパンクさせていくようなシャウト系(Where to Start (M3), Stuck in Your Head (M8))も見事にこなすし、ソウルフルに歌い込むようなテクニックも持ち合わせつつ、ファルセット系のソプラノもマスターしちゃってるような感じ。さらに言えばそのそれぞれを瞬間的に切り替えてミックスさせるような歌い方とかも。パワーポップとしての音楽性抜きにしても歌のパートがめちゃめちゃ強いと思う。特に私的には2曲目のEvery Tradition (M2)の反則級に気持ちいい対旋律的なコーラスとか本当にめちゃめちゃ大好き 笑。シャウト系のアグレッシブなボーカル要素も特徴的だけど、その中で透き通った高音域ボーカルとしてのギャップを効果的に見せてて素晴らしいと思う。というか今作、パワーポップの音楽性としても、そういうロックとしての切れ味とインディーポップ系の甘さを上手に並列できてると思う。特にその甘さという部分だと、Come Down (M9)とかSoccer Mommyレベルでキュンキュンするし 笑。リリース前からSub Popが激推ししてただけある、とても良質。

今作のパワーポップ性が呼び起こす恥ずかしいくらいの心のときめき!それはなんといっても!高校生の夏休みの感覚のような青春のど真ん中すぎるあの感じの感じです!!!(大号泣)。この感覚が本当に素敵で愛おしくてたまらない。1曲目のAdd It Onから元気MAXで爽快に駆け抜けていくのだけど、そのはじける元気・駆け抜けていくガムシャラ感というか、ストレート性というか、そしてパワーポップとしてのメロディックな甘さとか、もっというとジャケットの夏休み感とか、全ての因子が中高校生だった頃の恥ずかしいくらい真っ直ぐだった感覚を呼び起こす性質を持ってると思う。青春ど真ん中のサマーチューンというところだと、今年6月にリリースされたHindsのThe Prettiest Curseとも通じる部分があると思うけど、どちらかというとHindsのホームパーティー感よりもBullyの今作の方が日本の中高生向けの趣があると思う 笑。SCHOOL OF ROCK!とか、ティーネイジ層に刺さる邦ロックの感じとかもそう。私の妹とかそういう文化に根付いた人なので、さりげなくオススメしていきたいなと思う 笑。

Sub Popの激推しの今作、他にもハイクオリティな部分だと、シューゲイズっぽさとAliciaのボーカルの甘さが極上に溶け合っていくようなLike Fire (M7)、パワーポップから少し離れたメランコリーな情緒さえ描いていくようなHours and Hours (M11)、ラストで少しドライに仕上げて締めくくるような感動があるWhat I Wanted (M12)など。ちなみに私が1番大好きなのはStuck in Your Head。今作で1番かっこいいナンバーだと個人的には思ってる...笑。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8. Drugs - "Episodic"

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サイケと泣きメロの相性のよさを改めて開花

 例えるなら、"センチメンタルな泣きメロを贅沢に用意しためちゃめちゃエモーショナルなガレージロック×サイケポップ" という感じだと思うのだけど、ロックとしてのかっこよさも涙を誘うメロディックな美しさも両方備えてる最強っぷりが一般的なインディーロック作品よりもすごくて本当に素晴らしいと思う。サウンドのキャラクター的にはKing Gizzard & the Lizard WizardとかOsees(Thee Oh Sees, Oh Sees)に近いクラシカルでアシッドなハードロック系のやつだけど、その中でロマンチックにキラキラ輝く切ないメロディーをしっかり歌う感じ。1曲目のTry Meでエンジンが点火するように突き進んでいくロックを始めたと思ったら、2曲目のJoyrideでポップの甘酸っぱいテイストが出てきて、3曲目のParalyzedになると中盤で昇天しそうになるほど神聖なファルセットのコーラスまで出現したり。そんな風にロック要素と泣きメロ要素がアルバム全体に巡らされているのだけど、二つの要素を同時に取り入れる音楽性のよさ以上に、それらがびっくりするくらい良質なところが本当に充実してると思う。例えば、Positive Feedback Loop (M6)とかがそう。1発目から胸キュンを発生させるような切ないポップで始まるのに、中盤パートになったら心が熱くなりまくるようなギターロックをぶちかましたり。ロック要素と泣きメロ要素を両方モリモリに取り入れるだけでなく、それぞれを最高に魅せるような曲作りに細工されてる感じ。しかもこの曲、ロックと泣きメロの二つの要素が相乗的に一体化するような性質もあるから、それぞれのコンビネーションでエモーションが大変なことになる...笑。ほんと、大好きな曲だからもっと長尺でやってほしい。身体がもっともっとその音楽を求めてる。

私的に、今作がめちゃめちゃ最高だなと思ったところは、サイケデリックの音像が持つキャラクターと泣きメロの相性のよさを改めて開花させたというところ。代表的なところだとアルバム5曲目のMirageサイケデリックの陶酔・目眩の感覚にDrugsならではのめちゃ強い泣きメロを組み合わせて、切なさの感情にえぐい幻覚をプラスさせるようなやばさ。ただでさえ心に沁みる泣きメロとしての質が高いのに、それらの感情をもっとキツくさせるようなサイケならではのエモーションの強化。それは言い換えれば、メロディーが充実したサイケポップだからこその醍醐味でもあると思うのだけど、今までにこれほど強い泣きメロのサイケに出会ったことがなかったから本当に感動した。あと、8曲目のPulling Tissue from the Lobeに出てくるサイケの泣きメロも本当に最高。めちゃくちゃロマンチックで心が掻き乱されまくる。惚れるほどにかっこいいハードロックも演奏するのに、どうしてここまで音楽性を急転移したりして極上の泣きメロを引き出せるのか...笑。本当に素晴らしくて泣きそうになる。

泣きメロ要素じゃなくてロック要素のところだと、7曲目のEvidentialが本当に最高すぎて笑っちゃう 笑。泣きメロを奏でるサイケポップの面影が潰れてしまうくらい、ボーカルが暴走するように喚きまくるパートが用意された曲。本当にはちゃめちゃで激アツで桁違いに興奮する 笑。泣きメロもそうだけど、エモーションの起伏が激しくて全然予測できないから本当に楽しい。ロックパートも本当に最高だと思う。

サブスク・インターネットの発達で音楽にびっくりするくらい気軽にアクセスできるようになってしまった時代。昔のように(私今25だけど)、アルバム一つ一つの出会いが貴重だったような頃に比べると、出会う作品数が膨大になってしまって、どれもありきたりな作品に感じてしまうリスナーが多くなってしまっているのかもしれない(It's me)。そんな中でも、Drugsの今作は流し聞きしてても「むむ?」となるような光るものをたくさん持ってると思う。実際、彼らは自宅で数年前から音源を貯め込んでたみたいで、デビューアルバムの今作はラインナップの全曲が本当に強い。インディーロック勢の中でも類い稀な才能を持ったバンド的な。すごく期待してる、応援してる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7. Katya Yonder - "Multiply Intentions"

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ポケモンでいうエスパー・ゴースト・フェアリータイプあたり

 神秘的な尊さの果てしないエクスペリメンタル的ベッドルームポップ。妖精が出現するような温かいファンタジー(Invented Journey (M6))から、Cindy Leeのような背筋の凍るクラシック系ホラーの世界観、さらには もののけ姫ラピュタのようなジブリ的ワールドまで、幻想性について幅広く追求されたような作品、なのでもう問答無用に私のどストライクです...笑。先月リリースされたTrevor PowersのCapricornやNicolas JaarのTelasのように、エレクトロニカならではの自在なサウンドメイキングで幻想性を創造する作品群ももちろん大好きなのだけど、Katya Yonderの今作は特に、Summer of '84のようなコスミックな音像を多用したホラー系の世界観としての幻想性が本当に秀逸だと思う。アナログシンセのめちゃめちゃレトロな雰囲気が怖さをより強調するSpinning Olimpia (M3)、不協和音のベルで不穏な空気を演出しまくるPeering into the Distance (M4)、亡霊を復活させる儀式のように本気の恐ろしさすら感じさせてしまうInterlude (M13)など。それぞれの曲が宗教音楽にもコネクトするように心霊的な重さを持ってるのがめちゃ最高だし、オルガンなどの鍵盤楽器によるアルペジオのフレーズ感も本当に美しくてたまらない。ジャケットのロウソクのアイテムによるイメージも本当に素晴らしく絶妙。それらはまるで、現代のベッドルームポップの音楽性で創造する新しいレクイエムとも言えるかもしれない。もともとKatya YonderことKatya Prokinaは、ロシアのシューゲイザー・ドリームポップバンドのTip Top Tellixの人だけど、今作Multiply Intentionsはシリアスでホラーな曲調の中にそのTip Top Tellixのポップ感が適応されてる感じが本当に最高だと思う。(ちなみにTip Top Tellixの音源もかなり好き。)

ホラー系の世界観もゾクゾクするほど本当に最高なのだけど、Вновь и вновь (M8)のようなジブリ的ワールドのところもめちゃめちゃ心惹かれた。ここでいうジブリ的ワールドとは、例を挙げるならMotion GraphicsのMezzotint Glissとかそういうやつ。トトロの楠木とか、もののけ姫で描かれてる太古の森とか、深みのある緑と強い自然をイメージさせるような木製楽器のサウンド。木琴楽器やフルートみたいに生楽器本来の神秘的な音色を味わえるだけでなく、童心に返ってミステリアスなものに対する純粋なときめきが呼び起こされる感覚も本当に大好き。そういうところにKatya Prokinaのドリーミーな歌がブレンドされてるのもまた最高なんだよね...笑。

相変わらずですが、こういう神秘的な作風のやつに私本当にザコすぎるので月間ベストにランクイン。直近だとMusic For 18 Musiciansを再解釈したErik Hallとか、Jenny Hval、Emeraldsっぽさもあったと思う。ポケモンでいうところのエスパー・ゴースト・フェアリータイプあたり。フェアリータイプは新しく出たタイプなので、ポケモンを全くやったことがない私は全然知らない。(知らないのかよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6. JOBS - "endless birthdays"

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90年代のポストロックシーンにも直撃

 現代で新しく生み出されたどの芸術作品も、様式・ジャンル・メソッドなどの点で、先人の作家が古くから開拓した何かしらの方向性に囚われてしまうような運命が常にあるのかもしれないと思う。でもJOBSのアルバムは、その運命から大きく外れるようにものすごく突飛で奇怪な作風のやつ。「こういうの待ってました!泣」ってものすごく興奮する 笑。表面上の分類的にはステレオタイプエレクトロニカって感じだけど、その中で常識を打ち破りまくるような混沌と崩壊が多く含まれてる感じ。冒頭のA Toast (M1)では、表打ちと裏打ちを複雑に織り交ぜていくような2拍子のリズム体系で不安定感を煽りながら、脳みそを刺激するような強い低音でリスナーをショックさせる。また、意識を放心させるような気持ち悪さと美しさを両方実現する電子音のメロディーも導入してたり。アルバムの1発目から恐ろしいくらい前衛的な作品であることを予感させる最高のワクワクが感じられる。Striped Cotton Blanket (M3)に関しては、17拍のトリッキーなフレーズを休憩なしに連射しまくってリスナーを思い切りぶっ飛ばしたり 笑。不規則の拍感で作り出す圧倒的な興奮の感じでいったら、今年4月にリリースされたLorenzo SenniのScacco Matto (Discipline of Enthusiasm)にも通じるぐらい、とてもパワフルでエネルギッシュなナンバーだと思う。Planned Humans (M7)なんかは、音像をより鮮やかに魅せるための音響利用の爆発力を発揮したエクスペリメンタルのテクノを繰り出したり。アルバムの楽曲がそれぞれ、予想を裏切るどころか、あまりに未体験すぎてパニック状態みたいになるくらいよい。初めて聴いたときの喜びが忘れられないくらいずっと心に残る素晴らしさ。前にも言ったけど、この壮絶なワクワク感・ゾクゾク感、数年前(いやもっと昔の高校生とか、)洋楽オタクに目覚めたての頃以来の感覚かもしれない...。特にThe Booksとか、DJ ShadowのEndtroducing...とかあたり(どういう括り??)2020年代に入ってもこういう作品と出会えるということが本当に嬉しい...泣。

今作がなんといっても素晴らしいと思うのは、混沌と崩壊のショッキングな印象を残す過激な音楽性の裏に、それと対極に位置する安定したオアシスのワールドを同時に所有しているというところ。それの代表例がOpulent Fields (M4)、1曲目から3曲目までで提示した混沌・崩壊の世界が逆転するようなユートピア。まるでこの世の向こう側に到達するようにヘヴンリーな平安を取り戻していくのだけど、Gastr Del Solのような謎に満ちた深いファンタジーさえ想起させる果てしない美しさがあって本当にたまらない。プラス、それまでの崩壊した世界で残っていた混沌の残骸を感じさせるようなボロボロの装飾音を活用してたりで、本当にロマンが掻き立てられまくる。Gastr Del Solに似てるやつ、まさかこんなところで90年代のポストロックシーンのプチリバイバルに直撃することになるなんて...笑。他にも、Words About Shapes (M6)とか、混沌と平安の狭間で揺れ動くような楽曲もすごくいいのだけど、1番ツボすぎてやばいのがアルバム2曲目のBrain。エレキの弦楽器におけるハーモニクスを利用しまくったような楽曲だと思うのだけど、混沌・崩壊のワールドの中でこんなにもハーモニクスの浮遊感をミステリアスに魅力的に演出しまくる音楽は他にない気がする。しかもそれらのハーモニクスだけでメロディーを構築するとか、あまりにツボすぎてもう笑うしかない 笑。本当に素晴らしいいハーモニクスサウンド

2020年、大学院の修士論文が終わったのをきっかけに月間ベストアルバムを作り始め、それが8月まで続いてるけど、いざ月々でベストアルバムを作ってみると本当に最高の作品ばっかりでちょっと戸惑ってる 汗。年間ベストアルバム級の作品が多すぎて50位とか絶対収まらなさそう 笑。(年間ベストは『大好き of 大好きアルバム 頂上決戦』みたいになると思う)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5. Siv Jakobsen - "A Temporary Soothing"

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ジャケット負けしない気持ちよさ・美しさ

 ぷかぷか浮いてて快適すぎるジャケットの印象に全く劣らず、水面に輝く光のようにゆったりとした気持ちいい美しさがたっぷり感じられまくるフォーキーなオルタナロック。BibioやSóleyにも通じるような北欧系の民謡的なアプローチを取り入れつつ、Hundred Watersのようなメロウなファンタジーを発揮していくボーカルが特徴的だと思うのだけど、インディーフォーク、オルタナロック、どのサイドから捉えても本当に最高でめっちゃ大好き。じっくりと重みのあるフォークのFear the Fear (M1)、曲の後半で音の存在をマジカルに魅せるギミックが素晴らしいFight or Flight (M2)、2拍子に身を任せて気持ちよさを強調するようなShine (M3)、アイリッシュ音楽のようなストリングスで音楽に神聖なテーマを付加するFraud, Failure (M5)などなど...。インディーフォークとしての自然的なサウンドのテクスチャも最高だし、音の存在をよりマジカルにさせるための装飾が散りばめられたオルタネイティブロックとしても豊かで、かつトラディショナルな童謡のように聖なる世界観の深みもやばいという。"好き+好き+好き"みたいな作風でとことん突き刺さりまくるし、ボーカルの声質が大ファンのNicole Miglis(Hundred Waters)やWaxahatcheeに近いところもあって無条件に最高評価をしてしまう...笑。実際、今作はフォーク、ロックとしてだけでなく、Siv Jakobsenの透明感が至高な歌声を魅せまくった一種の歌モノとしてのよさもめちゃめちゃあると思う。9曲目のOnly Lifeとか、その至高のボーカルでエモーション密度を高めまくるように歌い込むのだけど、もう本当にめちゃめちゃよすぎて超感動する。シンプルなピアノの伴奏による方法で歌の存在感を全面に出すようなI Call It Love (M12)とかも本当に強い。よさが多面的に用意された良曲揃いのアルバムだと思う。

こんなにたくさん最高の曲があるのだけど、6曲目のA Temporary Smoothingがその中で「マジかよ...」と思わせるくらい本当にやばい 泣。フォークのテクスチャ、マジカルな音の装飾、窓の外を眺めながら真夏の夜に聴いたりしたら、あまりのエモさに気絶するんじゃないかと思うくらい、夕闇に溶け込んでいくようなSiv Jakobsenの美しいフォーキーな音楽の魔法が込められてる。そもそも今作は、気持ちよさが半端なさすぎるジャケットのイメージの時点でもうとびきりに最高なわけだけど、そのジャケットの気持ちよさのパワーをも借りてしまうところが本当に恐ろしい。何回鑑賞しても鳥肌がバーストする。アルバムのタイトルトラックでもあるし、本当に絶大な特別感を持ってる曲だと思う。そこから一連の流れで展開される7曲目のAny Whereも歌モノとしての最高に完成されてる。すごくやばいセクションだと思う。

今作の気持ちいいジャケット、BullyのSUGAREGGもそうだけど、キンキンに冷えてる水のイメージってこの季節だと本当にたまらない 笑。特に今作はSiv Jakobsenの音楽性的にもこのジャケット感と強くリンクする部分があると思う。さらに言えば、ジャケットの湖のような水面のモチーフのところに、揺らめくような穏やかさが含まれてるのも本当に最高。その点だと、ワルツの美しい揺らぎ方をする4曲目のA Feeling Felt or a Feeling Madeとか、ジャケットにめちゃめちゃぴったりでやばい。ほんと、気持ちよさが半端ない作品だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4. Young Jesus - "Welcome To Conceptual Beach"

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マニアックなポストロックってめちゃかっこいいからね...

 3曲目まで聴いたら疑いようがないくらい傑作のアルバムだって納得させられてしまうようなポストロック作品...笑。ノイジーなギターを鳴らしていくようなロックとしてのエッセンスをしっかりコアに搭載しつつ、バンドアンサンブルのインストメロディーを充実させるテクニックも所有していれば、モダンジャズ風のサックスメロディー(Pattern Doubt (M2))でエレガントな華を添えたりするものだけど、ボーカル自体はオペラみたいにめちゃめちゃ高貴な属性だったり...。色んな種類の美しさを同時に取り揃えたような唯一無二のバランス感が本当に絶妙だし、それらのバラバラな複雑性を巧みにオリジナル化させていく美的センスとかも含めて、本当にめっちゃ傑作のアルバムだと思う。7曲収録されてるけど、1曲1曲がスケールの大きいストーリー性を持ってるところもとても高密度ですごい。アルバム出だしの1曲目のFaithから、そのYoung Jesusの高い技術力が十分に提示されてると思う。ネジが飛んでしまったように狂ったツインギターソロを演奏したと思ったら、そこからピタッと縦をそろえた変則的なアクセントをキメていったり、徐々に音楽を盛り上げていったところにオペラ特性のある高貴なボーカルを全開させたり。ポストロックとしておもしろさも満点だし、ギターロックとしても本当にかっこいい。そこから移行する2曲目のPattern Doubtでは、ポストロックよりもジャズ風の色気が一気に舞い込んできて、音楽がたまらないほど鮮やかな色を帯びていく。とにかくサックスのエレガントでジェントルなメロディーが素敵すぎてやばい...笑。1曲目のかっこよさからは思いつかないほど上品で、ギャップを効かせて感情を大きく揺さぶるようなエネルギーも感じられるから本当に素晴らしい。ただでさえ1, 2曲目の流れがそんな感じで既に超最高なのに、今作一のベストトラックである3曲目(un)knowingがその次に用意されてるという、、、笑。高貴なボーカルの存在をメインで置いたような圧倒的に温かくて切ない曲調、そこにMogwaiみたいに痛烈なギターを当てはめてクライマックス級にド派手なシーンを繰り広げるようなコンビネーション。感動が巨大すぎて思わず号泣しながら叫びそうになってしまう。Microphones In 2020もそうだけど、もしかしたら楽曲最大の見せ所でシューゲイズ系の轟音ギターを繰り出す曲は全部最高だって決まってるのかもしれない 笑。ほんと、一曲一曲がめちゃ大作、全く抜け目がない。

ロック要素、アンサンブル、エレガントさ、今作は色々な技術をコレクションしたような実験的な音楽だと思うけど、それらによる豊かでカラフルな感情たちを最終的にはロックさせる方向に向かっているのがたまらない。1曲目のFaithのラストとか、7曲目のMagiciansのラストとか、インスト・ポストロックとしてのフレーズ感を大事にしてる感じ。フリーセッションっぽい長尺トラックが目立つのも、そういう精神が表れてるからだと思う。やっぱりマニアックなポストロックバンドとしてのキャラクターモデルというか、そういうのめちゃめちゃかっこいいからね 笑。個人的はそういうマニアックなバンド感の部分でいうと、4曲目のMeditationsの後半とかOughtっぽい異端児のガレージロックのインディー感があったり。そういうところもすごく気に入ってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. Angel Olsen - "Whole New Mess"

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"All Mirrorsの反動"

 【問題】天性の歌唱力を持った最高のSSWが自身のすごくいい曲をすごくいい感じにセルフカバーしたらどうなるでしょう? → 【答え】すごくよくなる。......「だよねーーー!!」ってなった 笑。ストリングスを大活用する豪快なアプローチで神々しい存在感すら放ってた力作の前作All Mirrors (2019)、今作はそれらの楽曲をデビュー当時のように原点回帰した弾き語りの形式でオリジナルレコーディグしたわけだけど、前作が巨大なパワーを外向的に発散させてた分、今作はそれらのパワーが内向的に向かっていくようにエモーションの反動をもたらしてるところが私的に凄まじくグッとくる。それは言い換えれば、音楽が鳴らされていた空間がより閉じたものになって、Angel Olsenの歌に含まれる悲しみや切なさのフィーリングにもっと寂しさや空虚なニュアンスが加わった感じ。個人的には例えば今作3曲目の(New Love) Cassetteとかめちゃめちゃそういう味わいがする。もともとAll Mirrorsに収録されてるNew Love Cassetteの原曲がめっちゃ大好きというのもあるけど、あのド派手な威力のあったストリングスのアレンジがなくなるだけで、こんなにも心をえぐられそうになるなんて...。そもそもAngel Olsenの神がかった繊細さは、空間が静寂になればなるほどその真価を把握できると思うのだけど。今作はレコーディング環境が100年もの時を経た古びた教会というのもあって、Angel Olsenのその至高の繊細さがより剝き出しになって表れてると思う。もちろんダイナミックなアレンジのAll Mirrorsの作風もとても感動的なのだけど、もっと生々しさの表れた今作も本当に素晴らしい。前作とセットでお得、Angel Olsenのことがもっともっと大好きになる。

今作の最大の特徴といえば、セルフカバー以外に新しく用意されたオリジナルの2曲、Whole New Mess (M1)とWaving, Smiling (M6)。これらの曲が本当に素晴らしくて鳥肌がもげそうになる。Whole New Messは、Angel Olsenの得意とするビブラートでリスナーの心を震わせまくるやつ。外向的に働いてたAll Mirrorsの反動も活かされてるし、リスナーをそっと抱きしめてくれるような圧倒的な温もりが込められてて本当にめちゃめちゃ泣きそうになる。こんなにリスナーの心を直に暖めてくれるような癒しを歌えるアーティスト、なかなかいないと思う。またWaving, Smiling (M6)は、Angel Olsenのルーツとなっているような和やかなカントリーの曲。音粒の輪郭はっきり表れたカントリー系のギターの音色、高らかに歌う高音の歌のパッセージ、こちらも本当に温かくてめちゃめちゃたまらない。もうほんと、この2曲だけが収録されたカップリングのシングルだけでもベストアルバム認定したくなる 笑。

それらのオリジナル曲がめちゃめちゃ素晴らしいのだけど、ライブバーションだとその素晴らしさがもっと強化されてて本当にやばい。(→ Angel Olsen: Whole New MessAngel Olsen - Waving, Smiling (Live at the Masonic Temple))。ライブならではの臨場感が現れて、低音域の音響もより強くなって、Cigarrets After Sexみたいな濃厚さすらも発生する感じ。原曲の圧倒的な素晴らしさだけでなく、身体がトロトロに溶けていくような恍惚も体感できてしまうという。この人弾き語りライブ、本当に最高なんだよね...。お願いです!!!!来日してください!!!!(爆死)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. Keely Lee Owens - "Inner Song"

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か゛っ゛こ゛よ゛す゛ぎ゛る゛ーーー(失神)

 Kelly Lee Owensといえば、フロアオリエンテッドでストイックなテクノと、耳に優しく浸透するふわふわのベッドルームポップのダブル。まるでパラレルワールドみたいに非現実的で不思議なフィーリングスが溢れてて、我を忘れてしまうくらい本当に魅惑的な世界観なのだけど、今作はモダンテクノとしてクールなダンス性がより主張されてる作風のやつ...。テクノならでは集中力を燃料にして作品に対しての中毒性をより高めまくってる感じ、かっこよすぎるあまり思わず膝から崩れ落ちそうになった 笑。本当に超超超かっこいい。まずはアルバム1曲目のAreggi (Radiohead)、憂鬱なオーラ持つ原曲が彼女ならではのミステリアス&クールなセンスで雰囲気がガラリ、スピード感のあるテクノに大変身。本当にかっこよすぎるのでテンションがぶち上がってしまうのを抑えられない...笑。そこから勢いに乗って展開される今作リードトラックのMelt! (M3)は、前作よりももっとバチバチにテクノテクノしてるやつ。Meltというタイトル通り、脳みそが攻撃されるようなサイケデリックな感触もあって、ものすごくゾーンに入っていくエネルギーがある。もうこの時点で完全に虜なのだけど、ゾーンに入りまくったMelt!の後に用意されてるRe-Wild (M4)も凄まじいよさ...。ドリーミーな音像の濃いダブステップだけど、彼女が影響を受けたBjörkトリップホップみたいなダウナー感・ホラーっぽさみたいなのもよく反映されてる感じ。従来からのミステリアスでふわふわの深いエレクトロニカの持ち味が強化されてる感じで本当にたまらない。そこからまだまだ波に乗っていくJeanette (M5)。Melt!の激しいテクノとRe-Wildのふわふわなエレクトロニカが交錯していくように合体するパート。ここで絶頂に到達してもう泣いちゃう。ミステリアスでクールでふわふわだけどキレッキレ。めちゃめちゃかっこいい。前作ST (2017)のデビュー時からこの人かっこいいなとは思ってたけど、まさかここまでツボに刺さりまくることになるとは...笑。

そんなアルバム前半でもう大満足してるのだけど、後半パートも素晴らしい。印象的なのが7曲目のCorner of My Sky、フィーチャリングがThe Velvet UndergroundJohn Caleなのがインパクトある。こちらは前半パートのエネルギッシュなテクノとは対極的に、Kelly特有のミステリアスなオーラの生成に精力が注がれてる曲。恐ろしいくらい取り憑かれてしまうような不思議さに満ちてるのだけど、内容的にも7分ととてもボリューミーだし、Melt!に並ぶ今作のメイントラックの一つだと思う。これからも、オタッキーで風変りなアーティストとどんどんコラボしてほしい 笑。

前作よりも進化してる部分、ラストのWake-Upの存在も見逃せない。Kellyのボーカルを強調したフックのあるフィナーレ。ソフトなシンセオルガンのサウンドが輝き出して迫力を作っていく感じとか本当にめちゃめちゃ感動する。テクノ・エクスペリメンタルだけでなく、ポップとしての引き出しも見せてくれる曲。もっとブレイクしてほしい!日本にも是非是非来てほしい!泣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. The Microphones - "Microphones In 2020"

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自伝を音楽のアートとして完成させるということ

 The Microphonesの今作が素晴らしくて素晴らしくてたまらないのは、音楽による感情の創造性を強く信頼し、人生の中で心に深く残っているかけがえのない瞬間を蘇生しようとするというところ。その創造性による感情増幅の効果を用いて、永遠に愛おしい過去への憧れを可能な限り引き出していくような試み。ずっと昔の若き頃の自分と対峙するように現在を超越していくトリップの素晴らしさはもちろん、自伝として構築されるその音楽のボリューミーなストーリー性や、それぞれのシーンに固有のビジョンを与えるような多彩なアレンジなど、コンセプトから内容まで何もかもが本当に素晴らしすぎると思う。そもそも私的には、The MicrophonesことPhil Elverum(Mount Eerie)という人物の自伝を44分にも及ぶスケールで1曲に落とし込むという超大作の作風だけでもう大勝利してると思う 笑。音楽を再生したその瞬間からその物語が始まって、断片的に残された記憶の感覚を頼りに脳内のイマジネーションを深く掘り下げて没頭していく。押し寄せては引いていく波動のような揺らぎのコードフレーズが本作の基盤になっているけど、リスナーに与える安らぎが本当に絶大で格別なフレーズだし、その揺らぎによる増幅によって音楽のワールドに対しての没頭性がどんどん深くなる効果があるのも本当にお見事すぎると思う。特に本作は、歌い出しまでのイントロでその絶大な安らぎのフレーズを7分間も継続させてる。アコースティックの音色、フレットノイズ、ありのままのギターコードの存在だけで成り立っているパート。私はこのイントロの安らぎの味わいが本当に大好きで、1音目から本当に心奪われるのだけど、このイントロの部分だけで本作がいかに圧倒的に最高の作品であることが伺えると思う。44分間も没頭したくなるほど、Phil Elverumが愛してるメロディーだってすごく共感できる感じ。7分を経た後の歌い出しの感動もより大きくなるし、本当に圧倒的なイントロだと思う。

44分のストーリーにおけるそれぞれのシーン固有のビジョン・多彩なアレンジというところだと、やっぱりノイジーなギターサウンドが提示する灼熱のエモーションの要素は本当に絶大なよさだと思う。それはまるで、永遠に愛おしい過去の感覚を求める過程で、残されていた当時の記憶が破壊されてしまいそうになるような感覚。本当にめちゃめちゃエモーショナルで胸が締め付けられまくるほどたまらない。果てしなく思い馳せるような憧れが溢れた世界の中で、シューゲイザーの破壊的な轟音を起用してるのが本当に大好きすぎる。ビートの強いドラムと組み合わせて感情を激化させるようなパッセージも同様。それは、Microphones In 2020という自伝をコンセプトとした詩のよさだけでなく、純粋にインディーロック作品としてもめちゃめちゃ最高だということ。アコースティックの魅力が満ちたイントロだけでなく、そういう方面のよさを兼ね備えてるとか、本当にツボすぎてやばい。その他にも、ピアノを強調したクラシック・バロックな趣だったり、心が満たされるドリーミーなアンビエントの感動だったり、音楽表現の演出が極められてる。超超超傑作だと思う。

ただでさえ音楽的にもよさが鬼のように詰まりまくってる作品だけど、詩的な部分でいうと私的には雨の描写がものすごく心に響く。私が覚えた感触的に、Microphones In 2020という自伝の思い馳せるような愛おしさの部分は、"雨"という神秘的なファクターと本当にぴったり一致するから。特に車の中から感じる雨の匂いとか、とても繊細な感覚まで蘇生しようとしてるのが本当にやばい。実際に、曲を聴いてそういう雨の匂いを感じる瞬間が何回かあるのだけど、そういうマニアックな情景の部分まで深く共感できるって本当に最高すぎると思う。私はあまり音楽に歌詞のよさは求めない派の人間だけど、流石に今作に関しては自伝としての密度がやばすぎて、歌詞を無視するのは無理だった 笑。

"I decided I would try to make music that contained this deeper peace" (この深い安らぎを含んだ音楽を作ろうと思った)、私が今作で最も好きな歌詞の部分。記憶・体験・思い出・それらの愛おしい感覚を芸術として表現し、作品化させ、永遠に保存するという行為はこの上なく崇高なことだと思う。甘酸っぱくて恥ずかしいほどの青春をベッドルームポップとして保存したYouth LagoonのThe Year Of Hibernation(2011)然り。こういう作品本当にツボすぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

プレイリスト🍎↓

(The Microphonesは長いので除去、Katya Yonderはサブスクなかった 泣)

温の「2020年8月ベストアルバム(温)」をApple Musicで

Katya Yonder → https://metronrecords.bandcamp.com/album/multiply-intentions

 

その他とてもよかったアルバム・EP

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Another Sky - "I Slept On The Floor"

Black Marble - "I Must Be Living Twice- EP"

Bright Eyes - "Down In The Weeds, Where The World Once Was" 

Dan Deacon - "Well Groomed"

Duval Timothy - "Help"

Jason Molina - "Eight Gates"

The Magic Gang - "Death Of The Party"

Sam Prekop - "Comma"

Son Lux - "Tommorws Ⅰ"

Victoria Monet - "Jaguar"

Washed Out - "Purple Noon"

Whitney - "Candid"

 

★8月1週目リリースの新譜 感想・ランキング★

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9月の1位はSufjan Stevens。。。(予言)